映画「生きてるだけで、愛」感想・レビュー(カッコ悪くてもいい、一生懸命に生きている人間は輝いている)

映画「生きているだけで、愛」 映画
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こんにちは映画ファン宮川(@miyakawa2449)です。

映画「生きているだけで、愛」を2回、シネモンドで(金沢市香林坊香林坊東急スクエア 109・4F)観てきました。

原作は同じタイトル「生きてるだけで、愛」(著者:本谷有希子・新潮社)になります。

原作者の本谷有希子さんは地元、石川県出身(白山市)で、高校は金沢市にある錦丘高等学校を卒業。
小説家、劇作家、演出家、女優などクリエイティブな方です。

2016年に発表された小説「異類婚姻譚(講談社)」で第154回芥川龍之介賞を受賞されています。

地元出身者の小説が原作となる映画を、観れる機会は少ないので楽しみでした。

肝心の映画ですが、公式サイトに書いてあるまさに次の言葉がぴったりな映画です。

「今を懸命に生きる、不器用な男女の真っ直ぐでエモーショナルなラブストーリー。」
「ほんの一瞬でも、分かり合えたら」

ラブストーリーという言葉で片付けると物語の側面だけを切り出した表現になりますが、「今を懸命に生きる」というところがズバリ的(まと)を得ていると思いました。
今を懸命に生きるためにもがく寧子。まさに命がけの、魂の叫びのような、魂と魂がぶつかり合う映画でした。

イントロダクション引用元: イントロダクション|映画『生きてるだけで、愛。』公式サイト 11/9(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

生きてるだけで、ほんと疲れる。鬱が招く過眠症のせいで引きこもり状態の寧子と、出版社でゴシップ記事の執筆に明け暮れながら寧子との同棲を続けている津奈木。そこへ津奈木の元カノが現れたことから、寧子は外の世界と関わらざるを得なくなり、二人の関係にも変化が訪れるが……。

鬱の寧子は明らかにマイノリティとして描写されていましたし、自己表現が苦手な津奈木は標準的な社会人として描かれていました。
そして、寧子も津奈木も、取り巻く周囲の人間たちに追い詰められていきます。
ただ、生きていくだけでストレスで押しつぶされていく現代社会の側面を儚くそして、エグい感じに見せてくれます。

それでは映画「生きているだけで、愛」を紹介します。

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映画「生きているだけで、愛」予告

映画配給元 クロックワークスの公式 YouTube 動画

映画「生きているだけで、愛」あらすじ

引用元: ストーリー|映画『生きてるだけで、愛。』公式サイト 11/9(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

同棲して三年になる寧子(趣里)と津奈木(菅田将暉)。もともとメンタルに問題を抱えていた寧子は鬱状態に入り、バイトも満足に続かない。おまけに過眠症のため、家にいても家事ひとつするわけでなく、敷きっぱなしの布団の上で寝てばかり。姉との電話やメールでのやり取りだけが世間との唯一のつながりだった。

一方の津奈木も、文学に夢を抱いて出版社に入ったものの、週刊誌の編集部でゴシップ記事の執筆に甘んじる日々。仕事にやり甲斐を感じることもできず、職場での人間関係にも期待しなくなっていた。それでも毎日会社に通い、家から出ることもほとんどない寧子のためにお弁当を買って帰る。

津奈木は寧子がどんなに理不尽な感情をぶつけても静かにやり過ごし、怒りもしなければ喧嘩にすらならない。それは優しさであるかに見えて、何事にも正面から向き合うことを避けているような態度がむしろ寧子を苛立たせるが、お互いに自分の思いを言葉にして相手に伝える術は持っていなかった。

ある日、いつものように寧子が一人で寝ていると、部屋に安堂(仲里依紗)が訪ねてくる。かつて津奈木とつき合っていた安堂は彼に未練を残しており、寧子と別れさせて彼を取り戻したいと言う。まるで納得のいかない話ではあったが、寧子が津奈木から離れても生きていけるように、なぜか安堂は寧子の社会復帰と自立を手助けすることに。こうして寧子は安堂の紹介で半ば強制的にカフェバーのバイトを始めることになるが…。

監督 関根光才
脚本 関根光才
原作 本谷有希子「生きてるだけで、愛。」
製作 甲斐真樹
出演者 趣里
菅田将暉
田中哲司
西田尚美
松重豊
石橋静河
織田梨沙
仲里依紗
音楽 世武裕子
製作会社 『生きてるだけで、愛。』製作委員会
ハピネット
スタイルジャム
配給 クロックワークス
公開 2018年11月9日
上映時間 109分
コピーライト ©︎2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会

映画「生きてるだけで、愛」感想・レビュー

上手く伝える術(すべ)がない2人と、取り巻く大人たち

主人公の寧子(趣里)が「鬱」と「躁」に悩んでいて、合わせて過眠症という病気も併発しており、映画のテーマとしてはデリケートな作品だなと最初思いました。

とは言え、「鬱や躁で悩んでいる人を理解しましょう」という啓蒙活動(けいもうかつどう)をしている映画ではありません。

原作では寧子の一人称で物語が進みますが、映画では三人称視点の形を取っています。

そして、寧子を中心とした映画の形を取りつつ、寧子に振り回される同棲パートナーの津奈木(菅田将暉)視点の物語も描かれます。

寧子は精神的に不安定(躁鬱)なところがあるけど、津奈木は会社員として働いていて自分を自制している普通の会社員。

原作では描かれなかった、津奈木の出来事が描写されることで津奈木も寧子と形は違えど悩みを持ち、周囲の人間に振り回される姿は観ていて切なくもあり、負けるなよって応援したくなりました。

寧子、津奈木の2人はそれぞれ異なる「悩み」を抱えて、同じ屋根の下で暮らしているけど、お互いに自分の気持ちを伝える術(すべ)を持っていない。
すれ違いや、空回りがあって、伝える、伝えない以前の問題ではあるんだけど。

もっと上手く立ち回ればいいのにって思う気持ちもなくはなかったけれど、自分に正直に生きるのって難しい世の中だよなって思いました。

正直に生きようとするが故に、周りとの齟齬(そご)が生まれ上手く社会の枠にはまれない。

寧子、津奈木を取り巻く人たちが出てきます。
やたらと心の広い店長、鬱に理解を示す店長の奥さん、正論を語る後輩、強引な上司など。
彼らの言動をぜひ注意深く見て、聞いて欲しい。
注意深く観ていると彼らの言動に違和感を感じるときがでてきます。表面的な対応としてはありなんだろうけど、寧子と津奈木はそんなものは求めていない。
そこをぜひ感じて欲しい作品でもあります。

『ほんの一瞬でも、分かり合えたら』

鬱や躁は確かに一般の方と比較すれば正常ではないのかもしれないけど、他人に対してマウントをとり優位に立とうとする人間は危険だなとも思いました。

人間はマウントを取られていることがストレスになり、精神的負担になることを表現していました。
寧子もただ単に己を知って欲しかっただけだし、津奈木も自分のやりたい仕事をしたかっただけ。周りがマウントを取るのではなく、歩み寄り、知ろうとする姿勢があればまた違った結果になっていたのかもしれません。

映画の宣伝メッセージに「ほんの一瞬でも、分かり合えたら」があります。

『「一瞬でも深くお互いに理解し合う時間」を持つことがとても重要、そのためには本気で心から語り合う(魂のぶつかり合い)ことがときには大事です』、って教えている感じがしました。

Wikipediaより 『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』

画像引用元:Wikipediaより
『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』

原作の小説を読むと、葛飾北斎が描いた「富嶽三十六景」の1つ「神奈川沖浪裏」をテレビで見たという、寧子のエピソードがあります。
「五千分の一秒の一瞬を切り出した葛飾北斎の感性」について言及するエピソードです。
現代科学が葛飾北斎に追いつき、北斎が当時見た景色が科学的に証明されているわけだけど、人間の感性が五千分の一秒を理解できることに憧れている寧子。一瞬(五千分の一秒)でも本質を理解し合えたらいいなあと、思った瞬間の彼女のエピソードです。
寧子と津奈木は年単位の同棲をしているのに・・・・。

エンディングテーマは、世武裕子「1/5000」 ミュージックビデオ 『生きてるだけで、愛。』エンディング・テーマ(配給:クロックワークス)がYouTubeに公開されています。

映画「生きてるだけで、愛」をキャストで振り返る

寧子:趣里

映画「生きてるだけで、愛」より 趣里が演じる、寧子。

映画「生きてるだけで、愛」より
趣里が演じる、寧子。
©︎2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会

主人公、趣里。
「鬱」と「躁」を繰り返し、生きることが辛くなっている。
自分の感情を爆発させることがときどきある。

  • 趣里
  • 生年月日 1990年9月21日
  • 出生地 東京都
  • 血液型 O型
  • 両親 父親は水谷豊、母親は伊藤蘭。
  • 主な映画受賞リスト
    • 第3回 高崎映画祭 最優秀主演女優賞 (『生きてるだけで、愛。』)
    • 2019年 おおさかシネマシネマフェスティバル 主演女優賞(『生きてるだけで、愛。』)
    • 2019年 第42回日本アカデミー賞 新人俳優賞(『生きてるだけで、愛。』)

津奈木:菅田将暉

映画「生きてるだけで、愛」より 菅田将暉が演じる、津奈木。

映画「生きてるだけで、愛」より
菅田将暉が演じる、津奈木。
©︎2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会

趣里の現在の彼氏、津奈木。
3年間同棲している。ゴシップ誌の編集者(原作では編集長)。
原作では描かれなかった、寧子と関わっていたときの津奈木の心情を菅田将暉が演じ切ります。

  • 生年月日 1993年2月21日
  • 出生地 大阪府
  • 血液型 A型
  • 主な映画受賞作リスト
    • 2017年 第72回毎日映画コンクール 男優主演賞(『あゝ、荒野』)
    • 2017年 第41回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞(『あゝ、荒野 前篇』

その他のキャストたち

映画「生きてるだけで、愛」より キャストリスト

映画「生きてるだけで、愛」より
キャストリスト
©︎2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会

安堂:仲 里依紗(なか りいさ)

津奈木の元カノ。
津奈木と別れたことを後悔しており、元サヤに戻りたいと思っている。
自己中心的で男のことになると見境がなくなる。
原作では結婚への焦りを感じさせていた。

  • 仲里依紗
  • 生年月日1989年10月18日
  • 出身地 長崎県
  • 血液型 B型
  • 主な映画受賞作品リスト
    • 2010年 第34回 日本アカデミー賞 新人俳優賞(『時をかける少女』『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』)

村田:田中哲司(たなかてつし)

寧子がバイトすることになるイタリアンレストランの店長。
広い心をしめしてくれる。

  • 田中哲司
  • 生年月日 1966年2月18日
  • 出身地 三重県
  • 血液型 A型
  • 配偶者 仲間由紀恵
  • 職業 舞台・映画俳優
  • 主な映画出演作品
    • 人魚の眠る家(2018年) – 進藤 役
    • 劇場版 SPEC〜結〜 漸ノ篇/爻ノ篇(2013年、東宝) – 冷泉俊明 役
    • 真夏の方程式(2013年) – 柄崎敬一 役(ガリレオシリーズ)

真紀:西田尚美

村田の奥さんで、レストランを切り盛りしている。
鬱への理解を必死に示してくれる。

  • 西田尚美
  • 生年月日 1970年2月16日
  • 出生地 広島県
  • 血液型 B型
  • 主な映画出演作品
    • 図書館戦争-THE LAST MISSION-(2015年10月公開)-折口マキ 役
    • 真夏の方程式(2013年) – 三宅伸子 役(ガリレオシリーズ)
    • 図書館戦争(2013年)-折口マキ 役

磯山:松重豊

津奈木が務めるゴシップ雑誌の編集長。

  • 松重豊
  • 生年月日 1963年1月19日
  • 出生地 福岡県
  • 血液型 AB型
  • 主な映画出演作品
    • 2018年 コーヒーが冷めないうちに(9月21日公開、塚原あゆ子監督) – 房木康徳 役
    • 2018年 検察側の罪人(8月24日公開、原田眞人監督) – 諏訪部利成 役
    • 2018年 探偵はBARにいる3(12月1日公開、吉田照幸監督) – 相田 役

美里:石橋静河

津奈木が務めるゴシップ雑誌の後輩。

  • 石橋静河
  • 生年月日 1994年7月8日
  • 出生地 東京都
  • 家族構成 家族 石橋凌(父)/原田美枝子(母)/優河(姉)
  • 主な映画出演作品
    • 2018年 きみの鳥はうたえる(9月1日公開)- 佐知子 役
    • 2017年 映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(5月13日公開)- 主演:美香 役/第30回東京国際映画祭 東京ジェムストーン賞・第9回 TAMA映画賞 最優秀新進女優賞・第39回ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞など多数受賞

莉奈:織田梨沙

寧子のバイト先の先輩。元引きこもりのツンデレ女子。

  • 織田梨沙
  • 生年月日 1995年11月12日
  • 出身地 千葉県
  • 職業  女優・モデル
  • 主な映画出演作品
    • 2017年 STAR SAND -星砂物語-(ロジャー・パルバース監督、8月4日公開、日豪合作) – 主演・梅野洋海
    • 2016年 秘密 THE TOP SECRET(大友啓史監督、8月6日公開、松竹) – 露口絹子 役

最後に

「今を懸命に生きる、不器用な男女の真っ直ぐでエモーショナルなラブストーリー。」
「ほんの一瞬でも、分かり合えたら」

この言葉がぴったりな映画です。

寧子と津奈木の心のすれ違いが描かれていますが、2人ともまっすぐで、自分に正直でありたいと考えている人間たちです。

不器用だけど、魂と魂がぶつかり合う彼らの恋愛と生き様を観て欲しいです。

潔いまでに不器用な生き様を、極限までにカッコよく見せつけてくれています。
カッコ悪くてもいい、一生懸命に生きている人間は輝いているんだと気づかされる作品でもありました。
ほんと、映画っていいなって思わせてくれます。

以上、『映画「生きてるだけで、愛」感想・レビュー(カッコ悪くてもいい、一生懸命に生きている人間は輝いている)』でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

映画ファン宮川(@miyakawa2449)でした。

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コメント

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