何不自由なく育ってきた4人の大学生たちが1200万ドルするビンテージ本を盗む犯罪に手を染めた実話を映画化したクライム(犯罪)作品。
2004年にアメリカのケンタッキー州で実際に起きた実際の事件を忠実に再現している映画です。
作中で実際の犯罪者たちと関係者たちが当時を回想するシーンが絶妙のタイミングとバランスで差し込まれます。
まさにハイブリッド・ドキュメンタリー・クライム作品。
実話を元にした映画というと、実話をベースにして実際の話からかけ離れたスケールサイズに大きくなることが多いですが、この映画は実話通りの映画です。
犯罪経験のない未来有望な若い才能ある大学生がなぜ、犯罪に手を染めていったのか、本人たち、関係者、被害者たちの正直な心境も語られます。
映画を観る者の好奇心をくすぐり、1200万ドルに取り憑かれた若者4人の犯罪計画の恐ろしさを知ることになります。
監督はドキュメンタリー映画『The Imposter』(12年)で英国アカデミー賞最優秀デビュー賞を受賞したバート・レイトン監督。
4人の大学生(犯罪者)のうち2人、中心人物のウォーレンをエヴァン・ピーターズ(X-MENシリーズ・シルバークイック)、ウォーレンの友人スペンサー・ラインハードをバリー・コーガン(聖なる鹿殺し、ダンケルク)らが演じます。
映画「アメリカン・アニマルズ」予告編
YouTube公式アカウント: PHANTOM FILMより
5/17(金)公開『アメリカン・アニマルズ』120秒本予告
映画「アメリカン・アニマルズ」ストーリー・あらすじ
引用元 : 映画『アメリカン・アニマルズ』 | 大ヒット上映中
オレたちは待っていた、
“何か”が起こる日を。「I’m Alive!!」とジョニー・サンダーを歌いながら車で飛ばしていく青年、ウォーレン(エヴァン・ピーターズ)とスペンサー(バリー・コーガン)。
廃棄された食べ物を盗むことで最小限のリスクを楽しむ、そんなどうしようもない毎日だ。くだらない日常に風穴を開けたい、特別な人間になりたいと焦がれる2人は、大学図書館に貯蔵される貴重な本を盗み出す計画を思いつく。
手に入れれば1200万ドル、誰よりも自由を求めるウォーレンと、スペシャルなことを経験したいと願うスペンサーは仲間集めを始めることに。
目をつけたのは、FBIを目指す秀才エリック(ジャレッド・アブラハムソン)と、当時既に実業家として成功を収めていたチャズ(ブレイク・ジェナー)。
彼らは互いを『レザボア・ドッグス』に習い「ミスター・ピンク」「ミスター・ブラック」などと呼び合うのだった。
強盗作戦決行日、特殊メイクをして老人の姿に扮した4人は遂に図書館へと足を踏み入れる――。そこで彼らを待ち受ける運命とは?これは、刺激を求めて道に迷ったアメリカン・アニマルズ達の物語。
映画「アメリカン・アニマルズ」
原題 | American Animals |
監督 | Bart Layton(バート・レイトン) |
脚本 | Bart Layton(バート・レイトン) |
製作 | Derrin Schlesinger(デリン・シュレシンガー) Katherine Butler(キャサリン・バトラー) Dimitri Doganis(ディミトリ・ドガニス) Mary Jane Skalski(メアリー・ジェーン・スカルスキー) |
製作総指揮 | David Kosse(デヴィッド・コッシ) Sam Lavender(サム・ラヴェンダー) Len Blavatnik(レン・ブラバトニック) Aviv Giladi(アヴィヴ・ギラディ) Toby Hill(トビー・ヒル) Piers Vellacott(ピアース・ベラコット) Tory Metzger(トーリー・メッツガー) Darren M. Demetre(ダーレン・M・デメトレ) |
出演 | Warren(ウォーレン・リプカ):Evan Peters(エヴァン・ピーターズ) Spencer(スペンサー・ラインハード):Barry Keoghan(バリー・コーガン) Eric(エリック・ボーサク):Jared Abrahamson(ジャレッド・アブラハムソン) Chas(チャールズ・T・アレン2世(チャズ)):Blake Jenner(ブレイク・ジェンナー) |
音楽 | Anne Nikitin(アン・ニキティン) |
公開 | アメリカ合衆国 2018年6月1日 イギリス 2018年9月7日 日本 2019年5月17日 |
配給 | Phantom Film Co.,Ltd. |
製作国 | アメリカ合衆国 イギリス |
上映時間 | 113分 |
コピーライト | (C)AI Film LLC/Channel Four Television Corporation/American Animal Pictures Limited 2018 |
映画「アメリカン・アニマルズ」感想・レビュー
「アメリカン・アニマルズ」は目が離せず、グイグイ引き込まれていく映画です。
犯罪経験がない若い学生たちが思いつきで1200万ドルの本を大学の図書館から盗むという実話の映画。
「オーシャンズ11」「レザボア・ドッグス」「華麗なる賭け」といった映画を参考に犯行計画を立てる。
「強盗計画を立てる」という刺激の強い麻薬に酔った2人は、「強盗計画を計画から実行へ、実行から成功させる」段階に進めることを真剣に考え始める。
仲間が増え、計画にリアリズムが備わったとき刺激を求め続けるために動き出した強盗計画は坂道を転げ落ちるように止まらなくなる。
なんども踏みとどまるタイミングはあったはずなのに。
これが目が離せない。
なぜなら、実際の犯罪者4人、その関係者が登場して当時の心境を語るシーンがあるのだが、ドキュメンタリー部分の差し込み方がセンセーショナルなのだ。
本人たちが語ることで一見すると無茶な計画話がリアルになり、そして、スリリングな話になる。
この映画を見る観客たちはおそらく、4人の犯罪者のうち、主犯格と思われるウォーレン(エヴァン・ピーターズ)または、スペンサー(バリー・コーガン)の視点で映画を観ていくことになると思う。
彼らいずれかの視点で物語を追うことで、観客たちも強盗計画の進み具合に一喜一憂することになる。
そして、「犯罪計画」を立てて実行する麻薬に酔いしれるのだ。
犯罪経験ゼロの彼らが「オーシャンズ11」を初めとしたクライム映画の主人公たちのようにスマートに犯罪を実行し、逃げ通せるわけではない。
しかし、1200万ドルの本を盗むことに成功することを期待する気持ちと、もし失敗したときの不安の心の鬩ぎ合いが見る者の心をギュウギュウを締め付けて息苦しくしてくる。
いつたどり着けるわからない1200万ドルの未来が見せてくれる刺激的な向こう岸に必死に泳ぎ続けるのだ。
多くのクライム映画が主犯格視点で描かれることが多いが、この作品はそれだけに止まらない。
この作品では実際の犯人以外に当時の大学の先生、犯人たちの家族、そして、実際の被害者が当時の心境、そして、現在の自分たちの考えを語る。
この犯人たち以外の語りも加わることがこの映画の信ぴょう性を高めさせ、他のクライム映画との違いを自覚させてくれている。
やりすぎると犯罪抑止を啓蒙する説教くさい映画になるかもしれないが、そういった説教くささはあまり感じられない。
犯人たちは自分たちの当時を振り返っているだけだし、家族や先生たちも振り返っているだけで誰も「犯罪はいけない」「反省するべきだ」といったことは言ってはいない。
作中、演じている俳優たちの物語の中に実際の犯人が同じスクリーンに映ることもあれば、会話するときもある。
とても印象的で効果的な使い方がされていた。
この実在の犯人の作品への出演の様子は次のYouTube映像で少しだけみることができます。
配給元PHANTOM FILM公式アカウント: YouTubeチャンネルより
実在の犯人が劇中に登場する!スペシャル映像
短い時間で整理しまとめられている映像なのですごく刺激的な映像に仕上がっています。
ドキュメンタリー映画のように当時を回想するシーンが差し込まれる場合もありますが、演じている俳優たちのセリフを実際の犯人が拾って答えたりと、映画とリアルの融合(ハイブリッド)な演出が刺激的に作品を盛り上げています。
映画「アメリカン・アニマルズ」をキャストで振り返る
Warren Lipka(ウォーレン・リプカ)
今回の事件の中心人物で首謀者であるウォーレン。
常に刺激を求めており、平凡な日常を過ごしたくないと思っている。
度胸はあり、行動力もある。
- Evan Peters(エヴァン・ピーターズ)
- 生年月日 1987年1月20日
- 出生地 アメリカ合衆国 ミズーリ州
- 主な映画出演作品
- Dark Phoenix(ダーク・フェニックス・2019)/(ピーター・マキシモフ / クイックシルバー Peter Maximoff / Quicksilver)
- X-Men: Apocalypse(X-MEN: アポカリプス・2016)/ (ピーター・マキシモフ / クイックシルバー Peter Maximoff / Quicksilver)
- X-Men: Days of Future Past(X-MEN: フューチャー&パスト・2014)/(ピーター・マキシモフ / クイックシルバー Peter Maximoff / Quicksilver)
Spencer Reinhard(スペンサー・ラインハード)
ウォーレンといつもつるんで廃棄の食品を盗みスリルを楽しむ日々を過ごしている。
- Barry Keoghan(バリー・コーガン)
- 生年月日 1992年10月17日
- 出生地 アイルランド・ダブリン
- 主な映画出演作品
- The Killing of a Sacred Deer(聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア・2017)/ マーティン 役
- Dunkirk(ダンケルク・2017)/ ジョージ・ミルズ 役
Eric Borsuk(エリック・ボーサク)
- Jared Abrahamson(ジャレッド・アブラハムソン)
- 出身地 カナダ
Chas Allen(チャールズ・T・アレン2世(チャズ))
- Blake Jenner(ブレイク・ジェンナー)
- 生年月日 1992年8月27日
- 出生地 アメリカ合衆国フロリダ州マイアミ
まとめ
1人ではできないことも、2人、3人と増えることで計画の実現性が大きくなっていく。
実現性が大きくなってきたことを感じた彼らは気も大きくなり、計画の危険性や穴に気づかなくなっていく。
1200万ドルという媚薬に心をうばわれて目が節穴になっていく。
映画「オーシャンズ11」などでは有能なプロデューサーとディレクターが存在し、計画の穴を埋める優秀なプロフェッショナルが存在していた。
そして、誰もが話し合いの段階で計画の危険性を十分に話し合っていた。
そのお陰で難攻不落のカジノの地下金庫から売り上げ金を盗みだすことに成功しました。
しかし、映画「オーシャンズ11」はフィクションです。
映画「アメリカン・アニマルズ」はノンフィクションであり、完全な実話であることを忘れてはいけない。
虚構と現実は違うのだ。
知り合いのスーパーの廃棄処分の食料を盗む刺激で終わっていれば、また違った未来だったが、彼らは犯罪を犯し、逮捕され、実刑を受け、刑期を終えて、新しい未来に向かっている。
この映画を観る人は「犯罪計画を立てる側」「逮捕された側」そして、「家族が逮捕される側」と「強盗を受ける側」のいろいろな側面を見せられることになります。
刺激が強すぎるので十分気をつけて観て欲しい作品です。
以上、『実話犯罪映画「アメリカン・アニマルズ」感想・レビュー(実在の犯人と、犯人役の俳優が共演する青春クライム映画)』でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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