映画『チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜(原題:Poulet aux prunes)』は2011年公開のフランス・ドイツ・ベルギー合作のちょっぴりファンタジー要素が入ったラブストーリーです。
映画の内容はコメディー要素が強いですが、主人公のバイオリニストの生き様と恋心のその行く末を描いが物語です。
主演は二枚目俳優のマチュー・アマルリックが、気難しいバイオリニストで三枚目のナセル・アリ役を演じます。
そして、彼が生涯で唯一愛した女性イラーヌ役をゴルシフテ・ファラハニが演じます。
イラーヌは映画の冒頭に一瞬出てしばらく登場しませんが、終盤クライマックスにかけて重要な役として登場します。
ユニークな笑いで観るものの心を掴みつつ、愛と哲学の形を問いかけてくれる作品です。
映画『チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜』予告編とあらすじ
引用元:YouTubeムービーより
【天才音楽家ナセル・アリは、死ぬことにした。大切なバイオリンを壊されたから―。】
ベッドに横たわり、死を待ちながら人生を振り返るナセル・アリ。技術はあるが、おまえの音は空っぽだと、師匠に叱られた若き修業時代。
本物の音色を見つけ、絶大な人気を獲得し、演奏旅行で世界各地を飛び回った黄金時代。
人生最大の失敗となった愛のない結婚。
何よりも怖く誰よりも大切な母の死。
大好きなソフィア・ローレン、大好物のチキンのプラム煮。そして今も胸を引き裂くのは、叶わなかった恋。
8日目、ついに死が訪れるその時、聴く者すべてが涙する、ナセル・アリの伝説の音色の秘密が明かされる──。
映画『チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜』基本情報
- 監督
- マルジャン・サトラピ
- ヴァンサン・パロノー
- 脚本
- マルジャン・サトラピ
- ヴァンサン・パロノー
- 原作 マルジャン・サトラピ『鶏のプラム煮』
- 製作
- ヘンガメ・パナヒ
- ナレーター エドゥアール・ベール
- 出演者
- 天才音楽家ナセル・アリ / マチュー・アマルリック
- アリの妻 ファランギース / マリア・デ・メデイロス
- アリの元カノ イラーヌ / ゴルシフテ・ファラハニ
- 音楽 オリヴィエ・ベルネ
- 撮影 クリストフ・ボーカルヌ
- 製作国
- フランス
- ドイツ
- ベルギー
- 上映時間 92分
- 著作権
- (C) Copyright 2011 Celluloid Dreams Productions – The Manipulators – uFilm
Stidio 37 – Le Pacte – Arte France Cinema – ZDF/Arte – Lorette Productions – Film(s)
- (C) Copyright 2011 Celluloid Dreams Productions – The Manipulators – uFilm
映画『チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜』感想・レビュー
大人なら忘れられない恋が誰にもあります。
それを思い出したくなる、甘く切ない感動のラブストーリー。
生きる目的を見失い『死』を決意した主人公ナルセ・アリ(マチュー・アマルリック)が死に至る人生最後の8日間で人生を振り返ります。
人が死に至る8日間を描く映画作りをしているのに、滑稽で笑えるちょっぴりファンタジーに仕上がったラブストーリーは見事でした。
悲壮感があまり感じられない作品なので、悲壮感が苦手な人でも大丈夫な映画です。
ナレーション役の俳優エドゥアール・ベールが第三者視点で物語の解説・進行役を行い、常に主人公ナルセ・アリの悩みや心情を語るナレーションが見事な演出になっています。
マチュー・アルマリックがナルセ・アリの半生を演じ、エドゥアール・ベールがナレーション役としてナルセ・アリの心の内を語る。
二人三脚あるいは二人羽織のような演出手法がユーモアに溢れて楽しめる作品でした。
一番関心するのはナレーション役だったエドゥアール・ベールが映画の最後、ナルセ・アリが死ぬ直前に『ある役割』を持って彼の前に現れるのです。
この演出には驚かされましたが、ものすごく納得がいきました。
エドゥアール・ベールは決して主人公ではないが、主人公の心の内を語ってきたことが最大限に活きる役が与えられて登場してきたのです。
ナレーションと『ある役割』の一人二役にはどんな意味があるのかは映画を観て感じて欲しい。
死ぬ直前に現れたある1人のその『ある役割』とは?
この演出は非常に評価が高いと思います。
映画『チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜』をキャストで振り返る
天才バイオリニスト ナセル・アリ(マチュー・アマルリック)
天才バイオリニスト ナセル・アリだが、芸術家故に気難しいところがあり、世間的な常識とはかけ離れた行動をする。
- Mathieu Amalric(マチュー・アマルリック)
- 生年月日 1965年10月25日
- 出身地 フランス
- 主な映画出演作品
- At Eternity’s Gate(永遠の門 ゴッホの見た未来・2018) / ポール・ガシェ医師 役
- The Grand Budapest Hote(グランド・ブダペスト・ホテル・2014) / セルジュ・X 役
- Poulet Aux Prunes(チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜・2011) / 主演 ナセル・アリ 役
- 007 Quantum of Solace(007 慰めの報酬・2008) / ドミニク・グリーン 役
▼マチュー・アマルリックが出演している『007 慰めの報酬・2008』の紹介記事
ナルセ・アリの妻 ファランギース(マリア・デ・メデイロス)
仕事が安定せず、子どもの世話も満足にしてくれない夫ナルセ・アリに怒りをぶつけることがしばしばみられる。
夫を愛しているがその愛情がうまく伝わらず歯痒い思いをする。
- Maria de Medeiros(マリア・デ・メデイロス)
- 生年月日 1965年8月19日
- 出生地 ポルトガル・リスボン
- 主な映画出演作品
- Poulet Aux Prunes(チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜・2011) / ファランギース 役
- Pulp Fiction(パルプ・フィクション・1994) / ファビアン 役
- Três irmãos(日本未公開・1994) / ヴェネチア国際映画祭女優賞 受賞
ナルセ・アリの元カノ イラーヌ(ゴルシフテ・ファラハニ)
天才バイオリニスト ナセル・アリが交際していてた昔の彼女。
深く愛し合っていた2人だが止むに止まれず別れる道を選んだ若き日の2人たち。
- Golshifteh Farahani(ゴルシフテ・ファラハニ)
- 生年月日 1983年7月10日
- 出身地 イラン・テヘラン
- 主な映画出演作品
- 【Netflix映画】 Extraction(タイラー・レイク -命の奪還-・2020) / ニック・カーン 役
- Les Filles du Soleil(バハールの涙・2018)/ 主演 バハール 役
- Pirates of the Caribbean: Dead Men Tell No Tales(パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊・2017) / ハイファ・メニ 役
- Paterson(パターソン・2016) /ローラ 役
- Poulet Aux Prunes(チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜・2011) / イレーネ 役
▼ゴルシフテ・ファラハニが出演している映画『タイラー・レイク -命の奪還-・2020』『パターソン・2016』紹介記事
まとめ
全体的に不思議な(ファンタジー)な雰囲気で物語が進行していきます。
ナルセ・アリの視点で夫婦、家族、兄弟、恋人、師匠といった様々な人たちとの関わり方をみせてく映画は、哲学をみせてくれます。
観るものの中にある哲学は皆さん違って当然であり、感じ方はそれぞれ違いますが、様々な感情を巻き起こしてくれる映画です。
ファンタジーな雰囲気でユーモア溢れる絵作りにしてあることで、抵抗なくその哲学を無意識で考える時間を作ってくれているのかもしれません。
見始めたときは『ちょっと、合わないかも?』と思うところもありましたが、映画というフィルターを通してみていることで内容を理解してくると、『これもありだな』と感じる作品でした。
観終わった後は切ない気持ちが心を苦しめてきましたが、ナルセ・アリは最後にどんな気持ちで最後を迎えたのか語り合いたい気持ちになる映画です。
生きていく上で大切なものを失ったナルセ・アリが失望の上で、静かな死を求めたのだとすれば、最後の彼の心情はなんだったのでしょうか?
もし、あなたの感想があればお聞かせください。
以上、「ファンタジーなラブストーリー映画『チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜』感想・レビュー」でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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