映画『ターミネーター:ニュー・フェイト (原題:Terminator: Dark Fate)』がいよいよ日本で11月8日公開されました。
ターミネーターシリーズの生みの親であり、大ヒット作『ターミネーター(原題: The Terminator・1984年)』『ターミネーター2(原題: Terminator 2: Judgment Day・1991年)』の監督を務めたジェームズ・キャメロンが製作・原案に復帰(監督はティム・ミラー)。
また、『ターミネーター2』より正式続編として、リンダ・ハミルトンが『サラ・コナー役』として戻ってきました。
リンダ・ハミルトン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェームズ・キャメロンのタッグが28年ぶりに集結。
1作目『ターミネーター(原題: The Terminator・1984年)』から数えて35年目に当たります。
『審判の日』1997年8月29日の核戦争は免れて、歴史は変わったが、運命(FATE)は変わらなかった。
サラ・コナーとT-800の運命は常に1つなのか?
いよいよ、その答えがここに記されるのかもしれません。
映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』予告編
映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』あらすじ
引用元 : 映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』公式サイト 2019年11月8日(金)全国ロードショー
メキシコシティの自動車工場で働く21歳の女性ダニーが弟のミゲルとともに、ターミネーター”REV-9″に襲われる。
彼らを守ったのは、同じく未来から送り込まれた強化型兵士のグレースだった。
かろうじて工場から車で脱出するダニー、ミゲル、グレース。執拗に追いかけてくるREV-9を、ハイウェイで待ちかまえていたのは、サラ・コナーだ。
ターミネーターを宿敵として人生を送ってきた彼女は、REV-9とも激しい死闘を繰り広げ、「アイルビーバック」と言って、その場を去っていった。再び合流したサラは、ターミネーター情報の謎のメールが誰かから届くと告白。グレースはその発信元がテキサス州のエルパソだと突き止め、3人はメキシコからの国境越えを決意する。
しかし、国境警備隊員になりすましたREV-9が彼らを指名手配していた。そしてエルパソで、サラやダニーを待っていたのは、あの男だった・・・・。
監督 | ティム・ミラー |
脚本 | デヴィッド・S・ゴイヤー ジャスティン・ローズ ビリー・レイ |
原案 | ジェームズ・キャメロン ゲイル・アン・ハード |
原作 | ジェームズ・キャメロン チャールズ・H・イグリー ジョシュ・フリードマン デヴィッド・S・ゴイヤー ジャスティン・ローズ |
製作 | ジェームズ・キャメロン デヴィッド・エリソン |
製作総指揮 | ジェームズ・キャメロン |
出演 | サラ・コナー / リンダ・ハミルトン T-800 / アーノルド・シュワルツェネッガー グレース / マッケンジー・デイヴィス ダニー(ダニエラ)・ラモス / ナタリア・レイエス Rev-9 / ガブリエル・ルナ |
公開日 | アメリカ合衆国 2019年11月1日 日本 2019年11月8日 |
上映時間 | 129分 |
著作権 | © Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film |
そもそも『ターミネーター』の映画で何を魅せるのか?
- 『ターミネーター(原題: The Terminator・1984年)』
- 『ターミネーター2(原題: Terminator 2: Judgment Day・1991年)』
- 『ターミネーター3(原題: Terminator 3: Rise of the Machines・2003年)』
- 『ターミネータ4(原題: Terminator Salvation・2009年)』
- 『ターミネーター:新起動/ジェニシス(原題: Terminator Genisys・2015年)』
- 『ターミネーター:ニュー・フェイト (原題:Terminator: Dark Fate・2019年)』
作りに作りましたね、『ターミネーター』の映画。
今回で6作目です。
スターウォーズで例えるなら、エピソード1〜6まで揃いました。
『ターミネーター』シリーズは2作目が一番これまでヒットしています。
1作目が有っての2作目であり、AIであるターミネーターと人間の心の関わりが描かれた意欲作でした。
これまでの『ターミネーター』ではそれぞれ描かれているものが異なります。
『ターミネーター:ニュー・フェイト (原題:Terminator: Dark Fate・2019年)』を除いて、ここでは過去の作品を簡単に整理してみたいと思います。
【登場人物重視】サラ・コナー、カイル・リース、ジョン・コナー、ターミネーターなど登場人物にフォーカスした『ターミネーター』『ターミネーター2』
『ターミネーター』『ターミネーター2』はサラ・コナーを中心とした登場人物にフォーカスした物語である。
特に物語のコアは『サラ・コナー』と『ターミネーター』である。
そして、登場人物たちの運命を結びつけるために用意されたのが、『スカイネット』や『審判の日』という設定であった。
スカイネットが生み出した、ターミネーターがサラ・コナーやジョン・コナーの命を狙うという本筋が描かれていれば、『スカイネット』も『審判の日』も視覚情報が必要ないのが『ターミネーター』『ターミネーター2』だった。
2029年の荒廃した未来を映像で描く上で見せられた情報はターミネーターとハンター・キラーだけだった。
審判の日の瞬間は『ターミネーター2』でサラ・コナーの想像上の映像として表現はされた。
これらの2つの作品はあくまで『運命(フェイト)をターミネーターによって翻弄される人の物語』。
『スカイネット』『審判の日』という設定がこの物語の神秘性を高めていた。
【世界設定重視】『ターミネーター』シリーズの設定(伏線)を見える化した意欲作品『ターミネーター3』『ターミネーター4』
『ターミネーター3』では『ターミネーター』『ターミネーター2』では描かれなかった、『スカイネット』の誕生と、『審判の日』が描写される。
神秘性という禁断のパンドラの箱を開けてしまったのだ。
大人になったジョン・コナーやお馴染みのT-850(アーノルド・シュワルツェネッガー)は出てくるが、サラ・コナーは白血病で亡くなった設定になっている。
また、女性型ターミネーターT-Xも出てくる。
この作品は女性型ターミネーターのTX、空軍が完成させたスカイネット(サイバーダイン社から引き継いで)が審判の日やハンター・キラーを生み出してしまうというところを丁寧に描いています。
この映画の見せ場はあくまでスカイネットと、ハンター・キラー誕生、そして、審判の日であると個人的に考えています。
ジョン・コナーは正直言っていてもいなくても成り立つ物語でした。
また、『ターミネーター4』はあくまで邦題であり、公式(原題: Terminator Salvation)にはナンバリングではない作品。
ここで描かれたのは『ターミネーター』の誕生であった。
抵抗軍(レジスタンス)となったジョン・コナーとカイル・リースの出会いも描かれますが、この4作目の映画は「ターミネーター」誕生にまつわる物語です。
とうとうアーノルド・シュワルツェネッガーが出演もなくなった作品だった。
ターミネーター誕生に向けて行われた、人体実験の被害者がターミネーターとして扱われ抵抗軍に追い詰められるシーンはグッとくるものがありました。
見た目も心も間違いなく人間であるはずなに・・・
【リブート】『ターミネーター』〜『ターミネーター4』までをグッと凝縮し、『ターミネーター1』のシナリオベースの『ターミネーター:新起動/ジェニシス』
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』はこれまでの『ターミネータ』シリーズの中では特殊な物語でした。
ターミネーターの1作目、2作目、3作目、4作目を全て足してリブートして描きなおした超意欲作でした。
分かりやすくいうと、『もう1つの1984年』と『新しい審判の日』が描かれているのです。
- もし、サラ・コナーが既に戦士だったら
- もし、既にT-800がサラ・コナーの味方で彼がサラ・コナーの育ての親だったら
- もし、未来から送り込まれたT-800 VS サラ・コナーとサラのT-800が戦ったら
- もし、T-1000が既に送り込まれていたら
- もし、ジョン・コナーが敵に回って来たら
これらの「もし」をシナリオに描き、「スカイネット」誕生と破壊までを描いた作品が『ターミネーター:新起動/ジェニシス』でした。
『ターミネーター:ニュー・フェイト 』はどこに重きをおいて鑑賞するかによって評価が分かれる(好みが分かれる)
『ターミネーター』シリーズは監督や製作のチームにより、表現する内容や見せ方が異なっています。
よく言えば、多様性のあるシリーズ作品ですが、悪く言えば表現するものに一貫線がなくブレているシリーズということです。
見る側が作品を理解しようとして見れば、それぞれ良い点があり、楽しめます。
しかし、作品を鑑賞する際の着眼点が異なると『評価が別れやすい』作品です。
わかりやすく言えば理解しにくいシリーズだと思います。
『サラ・コナー』や『カイル・リース』、『ジョン・コナー』はもちろん、『T-800』などの彼ら登場人物が大好きで、人物描写や関係性について『ターミネーター』シリーズを楽しんでいる人であれば、『ターミネーター:ニュー・フェイト 』は存分に楽しめたと思います。
しかし、『ターミネーター』シリーズをこれまで支えてきた世界観や伏線、例えば、スカイネットやタイムパラドックスなどに重きをおいている人にとっては、一言いわずにはいられない満足できない作品ではあったかもしれない。
『ターミネーター:ニュー・フェイト 』が好みの分かれる理由
ある時はサラ・コナーとターミネーターといった登場人物を見せていたのに、違うシリーズでは『スカイネット』や『ターミネーター誕生』と言った『映画の背景』を見せている。
特に『映画の背景』は伏線と呼ばれるものなので明確に描いてしまうと、それが動かせなくなってしまいます。
- 『サイバーダインのもつターミネーターの全てが破壊された』(ターミネーター2)
- 『サラ・コナーは白血病』で死んだ。(ターミネーター3)
- 『空軍がサイバーダインの情報を引き継いでいた』(ターミネーター3)
- 『サラ・コナーが別の並行世界では1984年で既に戦士だった』(ターミネーター:新起動/ジェニシス)
- 『サラ・コナーは生きていた』(ターミネーター:ニュー・フェイト)
こうやって書くととにかくデタラメなんです。
(ジェームズ・キャメロンは『ターミネーター2』以降はなかったことにする。と明言しています)
見る側がどの設定の『ターミネーター』作品を愛しているか?
どの設定を大切にしているのかによって、新作の『ターミネーター:ニュー・フェイト (原題:Terminator: Dark Fate)』の評価は別れます。
またはどんなストーリーを求めるかによっても評価が別れるでしょう。
私は『スカイネット』や『審判の日』の伏線は理解しているし、興味はありますが、それがどうやって誕生したのかの興味は薄いです。
むしろ、戦士サラ・コナーや『ターミネーター2』で描かれたT-800のように人間とAIの運命にすごく興味があります。
なので今回の新作『ターミネーター:ニュー・フェイト (原題:Terminator: Dark Fate)』は私にとってストライクな作品でしたし、楽しめました。
しかし、『スカイネット』や『審判の日』、『ターミネーター本来の殺人マシーン性』、『抵抗軍の攻防(ジョン・コナー含む)』の描写などを、こよなく愛する人たちにとっては納得できない映画だったかもしれません。
映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』キャストで振り返る
サラ・コナー / リンダ・ハミルトン
1984年の『ターミネーター』1作目にサラ・コナーを演じてからは35年。
大ヒット作1991年の『ターミネーター2』から28年ぶりのサラ・コナー役。
28年間のブランクを感じさせない存在感がスクリーンから伝わってきました。
映画のパンフレットに描かれていましたが、演じたリンダ・ハミルトンは『サラ・コナーが28年間、辛い生活をしてきたこと、深い悲しみを探求してきて何を掴んだか』これをスクリーンに表現したかったと述べていました。
サラ・コナーの生き様がまさに演じられていたと思います、
- Linda Hamilton(リンダ・ハミルトン)
- 生年月日 1956年9月26日
- 出生地 アメリカ合衆国メリーランド州
- 主な映画出演作品
- Terminator 2: Judgment Day(ターミネーター2・1991) / サラ・コナー 役
- King Kong Lives(キングコング2・1986) / 主演 エイミー・フランクリン 役
- The Terminator(ターミネーター・1984) / サラ・コナー 役
T-800 / アーノルド・シュワルツェネッガー
これまでのシリーズでもっとも人間らしいT-800を演じたアーノルド・シュワルツェネッガーでした。
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』でのT-800と通じる人間らしさはありますが、表現する方向性が真逆だと感じました。
ジェニシスでは機械らしさが残る形で人間に進化した姿でしたが、今回はターミネーターのAIが限りなく人間に正常進化したT-800でした。
今年で74歳になるアーノルド・シュワルツェネッガー。
今作の『ターミネーター』で勇退できるともっとも美しいでしょうね。
- Arnold Schwarzenegger(アーノルド・シュワルツェネッガー)
- 生年月日 1947年7月30日
- 出生地 オーストリア・シュタイアーマルク州
- 主な映画出演作品
- Terminator: Genisys(ターミネーター:新起動/ジェニシス・2015) / ターミネーター(T-800) 役
- Terminator 3: Rise of the Machines(ターミネーター3・2003) / ターミネーター(T-850) 役
- Terminator 2: Judgment Day(ターミネーター2・1991) / ターミネーター(T-800) 役
- The Terminator(ターミネーター・1984) / ターミネーター(T-800) 役
グレース / マッケンジー・デイヴィス
強化型兵士のグレース(あらすじ情報)を演じたマッケンジー・デイヴィス。
『ターミネーター(原題: The Terminator・1984年)』のカイル・リースと同じようなポジションとして、ダニーの命を守るために未来から現れる。
『ターミネーター』シリーズでは数少ない2人目の女性戦士の誕生でした。
強化型兵士ということで、その戦闘能力はターミネーターのそれと負けず劣らず迫力満載でした。
ショートヘアー、鍛え抜かれた身体からは戦士としての覚悟と迫力が満ち溢れていたと思います。
戦う女性という視点で考えると、女性型ターミネーターは『ターミネーター3』で過去に1度存在しましたが、見た目は色気が強い女性スタイルで、サラ・コナーやグレースとは見た目が真逆でした。
- Mackenzie Davis(マッケンジー・デイヴィス)
- 生年月日 1987年4月1日
- 出生地 カナダ ブリティッシュコロンビア州バンクーバー
- 主な映画出演作品
- Blade Runner 2049(ブレードランナー 2049・2017年) / マリエット 役
- The Martian(オデッセイ・2015) / ミンディ・パーク 役
ダニー(ダニエラ)・ラモス / ナタリア・レイエス
突然、未来からきたターミネーターに命を狙われるダニーを演じた、ナタリア・レイエス。
ダニーは『ターミネーター(原題: The Terminator・1984年)』のサラ・コナーと同じく命を狙われる理由も戦い方も知らない、守られる側の女性でした。
未来からやってきたターミネーター(REV-9)に突然襲われて彼女の運命もまた翻弄されていくわけですが、ときに逞しく、時に可愛い表情を見せてくれました。
- Natalia Reyes(ナタリア・レイエス)
- 生年月日 1987年2月6日
- 出生地 コロンビア ボコタ
『ターミネーター:ニュー・フェイト』の総括
シリーズが長いという特徴を忘れてはいけません。
今はもう21世紀。
『ターミネーター』は1984年の1作目公開から35年が経ちました。
80年代を代表するメジャー映画作品と言えば、「E.T」「インディージョーンズ 失われたアーク」「ブレードランナー」「トップガン」「シャイニング」「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」。
どれも全て古典作品になりつつあります。
私は1984年当時はまだ小学生でした。
テレビで『ターミネーター』を初めて見た小・中学生当時、何度攻撃を受けても動きを止めないターミネーターを見て、『悪夢の中で逃げようともがいても、悪夢に追いつかれる絶望感』に似たものを感じたのを今でも覚えています。
当時の主役だった『サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)』と『T-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)』を再び主役に抜擢して、描いた作品が『ターミネーター:ニュー・フェイト』である。
自ずとこの作品はサラ・コナーであり、T-800の物語だったことがわかります。
しかし、今の20代、30代の若い人の目には、おばさんと、おじさんが騒いでいる映画と目に映るかもしれません。
ジェネレーションギャップという言葉はあまり使いたくありませんが、世代間で受け取り方が変わる作品でもあります。
今回の『ニュー・フェイト』では『サラ・コナー』以外に女性主人公が2人存在します。
未来から登場する強化型兵士グレース(マッケンジー・デイヴィス)。
グレースに守られる一般女性ダニー(ナタリア・レイエス)。
2人とも1987年生まれで、今年32歳。
1作目が公開された当時はまだ生まれてもいなかった。
REV-9を演じたガブリエル・ルナは1982年生まれで彼も彼女たちと同世代なのだ。
この3人の登場人物はまさに見る側のジェネレーションギャップを埋める効果もあったと思われる。
因みにリンダ・ハミルトンは63歳、アーノルド・シュワルツェネッガーが72歳です。
『サラ・コナー』『T-800』という縛りがあるとすれば、年齢的にも今回で終わると綺麗な映画としてフィナーレを飾ることができたのではないでしょうか。
今、この時を逃しては作れなかった作品だったと思います。
とにかくこの映画を簡単に言い表すとすれば、『サラ・コナーが男前で最高にかっこよく、T-800が陰ながら寄り添っていてくれた』そんな作品だったと思います。
心からそう思う素敵な作品でした。
以上、「映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』感想・レビュー(着目点を過去5作から分析)」でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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