こんにちは映画ファン宮川(@miyakawa2449)です。
映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」たちを観てきました。
この映画は実話をベースとした作品です。
メインの男たち4人は、実在するナイト・リッダー新聞社ジョナサン・ランデー、ウォーレン・ストロベル、ジョン・ウォルコットと、元従軍記者でジャーナリストのジョー・ギャロウェイ。
この映画は、2001.9.11.のアメリカで起きた同時多発テロ以降の、当時ブッシュ政権が行なった情報操作により起きた「イラク戦争」に対して、メディアの役割と、正しい情報に目を向けることの大切さを訴えた作品です。
最近もフェイクニュースなど話題になっています。
アメリカのことは遠く離れた海の向こうのことと捉えるがちですが、この日本のメディアも偏った報道が目立っており他人事ではありません。
偏重報道がイコール即、戦争という話ではありませんが、メディアやSNSに踊らされない信念をしっかり持ちたいと思いました。
また、強烈すぎる愛国心は戦争や分裂を引き起こすという警告のメッセージでもあります。
今の日本に戦争を起こすことは難しいでしょうが、その昔、愛国心の強さから幾度と戦争を起こした過去があります。
舞台を日本に置き換えて観ると、恐ろしさの伝わり方が変わる映画でもあるかもしれません。
それでは映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」を紹介します。
映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」予告
公式YouTubeアカウント『記者たち~衝撃と畏怖の真実~』予告編より
映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」あらすじ
引用元:映画『記者たち~衝撃と畏怖の真実~』公式サイト「ストーリ」より
2002年、ジョージ・W・ブッシュ大統領は「大量破壊兵器保持」を理由に、イラク侵攻に踏み切ろうとしていた。
新聞社ナイト・リッダーのワシントン支局長ジョン・ウォルコット(ロブ・ライナー)は部下のジョナサン・ランデー(ウディ・ハレルソン)、ウォーレン・ストロベル(ジェームズ・マースデン)、そして元従軍記者でジャーナリストのジョー・ギャロウェイ(トミー・リー・ジョーンズ)に取材を指示、しかし破壊兵器の証拠は見つからず、やがて政府の捏造、情報操作である事を突き止めた。
真実を伝えるために批判記事を世に送り出していく4人だが、NYタイムズ、ワシントン・ポストなどの大手新聞社は政府の方針を追認、ナイト・リッダーはかつてないほど愛国心が高まった世間の潮流の中で孤立していく。
それでも記者たちは大儀なき戦争を止めようと、米兵、イラク市民、家族や恋人の命を危険にさらす政府の嘘を暴こうと奮闘する…
映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」基本情報
原題 | Shock and Awe |
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監督・製作・出演 | Rob Reiner(ロブ・ライナー) |
脚本 | Joey Hartstone(ジョーイ・ハートストン) |
製作 | Matthew George(マシュー・ジョージ) Michele Reiner(ミシェル・ライナー) ElizabethA.Bell(エリザベス・A・ベル) |
撮影監督 | Barry Markowitz. A.S.C(バリー・マーコウィッツ) |
美術 | Christpher R. DeMuri(クリストファー・R・デミューリ) |
衣装 | Dan Moore(ダン・ムーア) |
編集 | Bob Joyce(ボブ・ジョイス) |
キャスト | Woody Harrelson(ウディ・ハレルソン) James Marsden(ジェームズ・マースデン) Rob Reiner(ロブ・ライナー) Jessica Biel(ジェシカ・ビール) Milla Jovovich(ミラ・ジョヴォヴィッチ) Tommy Lee Jones(トミー・リー・ジョーンズ) |
配給 | アメリカ合衆国 Vertical Entertainment 日本 TWIN |
公開 | アメリカ合衆国 2018年7月13日 日本 2019年3月29日 |
上映時間 | 91分 |
コピーライト | ©2017 SHOCK AND AWE PRODUCTIONS. LLC. ALL RIGHTS RESERVED. |
映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」の感想・レビュー
予告編を観たときにトミー・リー・ジョーンズが出演しているのが見えて、彼の出演シーンを期待していました。
トミー・リー・ジョーンズといえば今ではメン・イン・ブラック(MIB)で有名ですが、私の中では頭の切れる3歩も4歩も先を見通せる連邦捜査官「逃亡者(1993)」「追跡者(1998)」や、計算高い検事役「依頼人(1994)」のイメージが強いです。
予告編の中で「伝説の記者だ」と紹介されるトミー・リー・ジョーンズに連邦捜査官や検事役だった頃の面影を重ねて期待して観てきました。
トミー・リー・ジョーンズも今年9月で76歳になられますが、スクリーンで観た彼は堂々としていて安心感がありました。
もっと、彼の活躍が観たかったですが、残念ながら出番は少なめでした。
主演ではないのでそこは我慢するしかありませんでしたが。
若い2人の記者が行き詰ったときに、颯爽と現れて大物官僚に詰め寄るシーンはさすが存在感がありました。
イラク戦争とナイト・リッダー社について
実話を元にしたアメリカ合衆国の映画。
アメリカ政府がイラク政府(当時フセイン大統領)を悪者に仕立て上げ、大手メディアはこぞって政府に迎合した広報を行なっていた。
真実を伝えて戦争をやめさせるために、裏付けた批判記事を書き続けるナイト・リッダー社は国内で孤立し、身内からも批判されていく。
結論は歴史が証明している通り、戦争は止められませんでしたが、事実間違った戦争だったことは歴史が証明している。
これって怖いですよね。アメリカ人のテロに怯える恐怖心と、国を愛する愛国心を巧みに操り、イラク侵攻を正当化し、戦争を行なったお話です。
昔の日本もメディアを操作し、これと同じことをしていました。
しかも、2003年3月20日に開戦したイラク戦争は、同年5月にジョージ・W・ブッシュにより「大規模戦闘終結宣言」が出ましたが、問題の大量破壊兵器は見つかりませんでした。
映画が焦点を当てているところはここまででした。
しかし、実際は悪いことにイラク国内の治安悪化が問題となり、戦闘は続行。
2010年8月31日にバラク・オバマにより改めて「戦闘終結宣言」と『イラクの自由作戦』の終了が宣言されています。
バラク・オバマが、イラク戦争の終結を正式に宣言したのは、米軍の完全撤収より2011年12月14日。2003年3月20日のイラク侵攻より10年過ぎてからのことでした。
肝心の映画は2003年5月のところで戦争は終わったと告げています。
映画が見せたかったのは大手のメディアと戦ったナイト・リッダー社の紹介だったので、2003年5月で戦争が終わったというアナウンスはそれはそれで納得できるのですが、できればイラク戦争のその後ももっと分かりやすく見せて欲しかったと思いました。
作りがすごく丁寧で俳優たちも製作陣も頑張っていることはよくわかるし、魅力的なキャラクターたちがそこにいるのですが、盛り上がりが今1つ足りなかった、というのが僕の正直な感想でした。
上映時間が91分と短めなところもあるので、30分追加して盛り上げりのある終わり方にし、テーマ(正しい報道のあり方)に対してのメッセージ性をもっと分かりやすく、具体的にできれば全体の評価が上がったかもしれません。
映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」をキャラクターで振り返る
ジョナサン・ランデー(ウディ・ハレルソン)
新聞社ナイト・リッダーの記者ウォーレン・ストロベル。
国家安全保障担当の特派員。
特派員としてアフガニスタン、イラクを現地取材し、世界に様子を伝えた。
- Woody Harrelson(ウディ・ハレルソン)
- 生年月日 1961年7月23日
- 出生地 アメリカ合衆国テキサス州ミッドランド
- 主な映画出演作品
- Solo: A Star Wars Story(ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー・2018)/ベケット 役
- War for the Planet of the Apes(猿の惑星: 聖戦記・2017)/大佐 役(人間)
- Natural Born Killers(ナチュラル・ボーン・キラーズ・1994)/主演 ミッキー・ノックス 役
ウォーレン・ストロベル(ジェームズ・マースデン)
ランデーと共にイラク侵攻、大量破壊兵器の取材をする。
1つ1つの緻密な裏付けを行う。
決して憶測で記事を書かない真面目な男。
- James Marsden(ジェームズ・マースデン)
- 生年月日 1973年9月18日
- 出生地 アメリカ合衆国オクラホマ州スティルウォーター
- 主な映画出演作品
- Superman Returns(スーパーマン リターンズ・2006)/リチャード・ホワイト 役/サターン賞助演男優賞ノミネート
- X-Men: The Last Stand(X-MEN: ファイナル ディシジョン・2006)/スコット・サマーズ / サイクロップス 役
- X-Men united(X-MEN2・2003)/スコット・サマーズ / サイクロップス 役
- X-Men The Movie(X-MEN・2000)/スコット・サマーズ / サイクロップス 役
ジョン・ウォルコット(ロブ・ライナー)
ナイト・リッダー社のワシントンD.C.支局長のジョン・ウォルコット。
大手メディアが政府の発表に追従する迎合記事を発表する中、政府発表に疑問を持つ2人の記者を表からも裏かも支えるボス。
2人が行き詰った時、2人の援護射撃をするために伝説の記者を呼び寄せる。
ジョン・ウォルコットは元々アレック・ボールドウィンが演じる予定になっていましたが、撮影前に降板。
やむなくロブ・ライナーが演じることになったという経緯がありました。
- Rob Reiner(ロブ・ライナー)/本映画 監督・製作兼任
- 生年月日 1947年3月6日
- 出生地 アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市ブロンクス区
- 主な映画監督作品
- LBJ (LBJ ケネディの意志を継いだ男・2016)
- The Bucket List (最高の人生の見つけ方・2007)
- Misery (ミザリー・1990)
- Stand by Me (スタンド・バイ・ミー・1986)
リサ(ジェシカ・ビール)
ストロベルの恋人。
ストロベルの記事を読み、彼の仕事と彼を理解するために外交問題を掘り下げて研究する。
真面目なストロベルの内面を理解してくれているからこそ表面だけでなく、仕事への理解を示してくれている。
多くは語らないが、ジャーナリストとしての彼への一途な愛が伝わる一幕が見せ所。
- Jessica Biel(ジェシカ・ビール)
- 生年月日 1982年3月3日
- 出生地 アメリカ合衆国ミネソタ州イーリー
- 主な映画出演作品
- Total Recall(トータル・リコール・2012)/メリーナ 役
- THE MOVIEThe A-Team(特攻野郎Aチーム・2010)/キャリサ・ソーサ大尉 役
- The Texas Chainsaw Massacre(テキサス・チェーンソー・2003)/主演 エリン 役
ヴラトカ・ランデー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)
ジョナサンの妻ヴラトカ。
旧ユーゴスラビア出身で、紛争により祖国がバラバラになった苦い経験がある。
国民の強い愛国心からアメリカ国内の世論が「戦争賛成」に傾いていることを懸念している。
旧ユーゴスラビアの愛国心が強い国民性があり、そのことが仇となった過去を知っている。
演じたミラ・ジョヴォヴィッチもソビエト連邦出身で、演じた役のヴラトカと似た境遇にあっており、複雑な心理描写を見事に演じている。
- Milla Jovovich(ミラ・ジョヴォヴィッチ)
- 生年月日 1975年12月17日
- 出生地 ソビエト連邦 キエフ
- 国籍 アメリカ合衆国
- 主な映画出演作品
- Resident Evil: The Final Chapter(バイオハザード: ザ・ファイナル・2016)/主演 アリス・アバーナシー 役 ( アリシア・マーカス)
- Resident Evil: Retribution(バイオハザードV リトリビューション・2012)/主演 アリス・アバーナシー
役 - The Fifth Element(フィフス・エレメント・1997)/リールー 役
ジョー・ギャロウェイ(トミー・リー・ジョーンズ)
ランデー、ストロベルの2人が取材に行き詰まったとき、編集長のウォルコットが招聘した伝説の記者。
ベトナム戦争の取材経験がある元従軍記者であり、現在ジャーナリスト。
- Tommy Lee Jones(トミー・リー・ジョーンズ)
- 生年月日 1946年9月15日
- 出生地 アメリカ合衆国テキサス州
- 主な映画出演作品
- Men in Black III(メン・イン・ブラック3・2012)/エージェントK 役
- Captain America: The First Avenger(キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー・2011)/チェスター・フィリップス大佐 役
- Men in Black II(メン・イン・ブラック2・2002)/エージェントK 役
- Men in Black(メン・イン・ブラック・1997)/エージェントK 役
- The Fugitive(逃亡者・1993)/サミュエル・ジェラード 役/アカデミー助演男優賞受賞・ゴールデングローブ賞 助演男優賞受賞
最後に
映画としての評価は決して高くないし、盛り上がりにかける仕上がりでした。
監督・脚本・出演を果たした、ロブ・ライナーは何を僕たちに見せたかったのか?伝えたかったのか?
ロブ・ライナーはインタビュー記事(パンフレット)でこう話しています。
トランプ大統領はフェイクニュースを引き合いに出して “メディアは民衆の敵だ”というが、報道が真実を伝えなければ独裁政治が生まれてしまいます。
それを阻止するためには、一般市民が、何が今起きているのかを知らなければいけません。
それでこそ民主主義だと思います。
イラク侵攻が始まった2003年から、イラク戦争をテーマにした映画を撮りたいと考えていたというロブ・ライナー。
その時からロブ・ライナーは政府発表には疑問を持っていた様子です。
そう考える彼はこの映画を通じて、マスメディアと一般市民へ向けての「警告」的なメッセージを伝えたかったと言えるでしょう。
マスメディアには「真実を伝えることを貫くこと」、一般市民には「真実を見極める眼をもつこと」がそれぞれ重要だと警告したかったのではないでしょうか。
メディアに限らず、SNSでも、ネットでも嘘の情報が氾濫しており、一見してどれが正しいかわからなくなることがあります。
虚偽な情報に踊らされない感性は、これからの社会で生き残る上で重要だと思いましたね。
これは私の憶測ですが、イラク戦争が完全に終了してまだ10年も経っていないため、この映画は新しすぎたのかもしれません。
大人の事情で伝えきれないことがあったのかも。
もう、5年後か、10年後に映画化していれば今回作よりも、より踏み込んだ仕上がりになっていたかもしれない、そう感じさせる作品でもありました。
以上、『映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」感想・レビュー(強すぎる愛国心は目を曇らせ戦争に走る危険がある)』でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
宮川(@miyakawa2449)でした。
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コメント
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