映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
第92回アカデミー賞® 6部門ノミネート‼
<衣装デザイン賞>を受賞!(ジャクリーン・デュラン)
【作品賞】【脚⾊賞(グレタ・ガーウィグ)】【主演⼥優賞(シアーシャ・ローナン)】【助演⼥優賞(フローレンス・ピュー)】【作曲賞(アレクサンドル・デスプラ)】
映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』はコロナ禍で日本での公開が遅れていましたが、6月12日より無事公開されました。
監督は2017年の映画『レディ・バード』でも、アカデミー賞で監督賞・脚本賞のノミネートされた実力派のグレタ・ガーウィグが「監督・脚本」を勤めました。
主演にはグレタ・ガーウィグ監督の映画『レディ・バード』でも主演を務めたシアーシャ・ローナンをはじめ、エマ・ワトソン、フローレンス・ピューとそうそうたる面々が連ね、話題をさらっています。
時期的にもうアカデミー賞の時期を過ぎてしまいましたが、作品賞にノミネートされたことをうなずかせる仕上がりでした。
映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』予告編
YouTube:ソニー・ピクチャーズ 映画公式チャンネルより
映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』あらすじ
19世紀、アメリカ、マサチューセッツ州ボストン。
マーチ家の四姉妹メグ、ジョー、ベス、エイミー。情熱家で、自分を曲げられないため周りとぶつかってばかりの次女ジョー(シアーシャ・ローナン)は、小説家を目指し、執筆に励む日々。自分とは正反対の控えめで美しい姉メグ(エマ・ワトソン)が大好きで、病弱な妹ベス(エリザ・スカレン)を我が子のように溺愛するが、オシャレにしか興味がない美人の妹エイミー(フローレンス・ピュー)とはケンカが絶えない。
この個性豊かな姉妹の中で、ジョーは小説家としての成功を夢見ている。
ある日ジョーは、資産家のローレンス家の一人息子であるローリー(ティモシー・シャラメ)にダンス・パーティで出会う。
ローリーの飾らない性格に、徐々に心惹かれていくジョー。しかしローリーからプロポーズされるも、結婚をして家に入ることで小説家になる夢が消えてしまうと信じるジョーは、「私は結婚できない。
あなたはいつかきっと、もっと素敵な人と出会う」とローリーに告げる。
自分の選択でありながらも、心に一抹の寂しさを抱えながらジョーは小説家として自立するため、ニューヨークに渡る――。
映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の基本情報
- 原題:Little Women
- 監督・脚本:グレタ・ガーウィグ(『レディ・バード』)
- 原作:ルイーザ・メイ・オルコット『若草物語』
- 製作:
- エイミー・パスカル
- デニーズ・ディ・ノヴィ
- ロビン・スウィコード
- 音楽:アレクサンドル・デスプラ
- 出演:
- シアーシャ・ローナン
- ティモシー・シャラメ
- フローレンス・ピュー
- エリザ・スカンレン
- エマ・ワトソン、ローラ・ダーン
- メリル・ストリープ
- 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
- 上映時間:135分
- 著作権:© 2019 CTMG. All Rights Reserved.
映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』感想・レビュー
とても華やかな映画でした。
19世紀のアメリカ、今よりも封建的で女性の地位もまだ低かった頃、キリスト教徒でも伝統を重んじリウカトリック信者ではなく、キリストの教えを時代に合わせて新解釈するプロテスタントの道を歩んでいったマーチ家。
革新的なマーチ家で育った四姉妹の実体験を原作にした小説『若草物語(原題:Little Women)を元にしたのが映画「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」です。
四姉妹が生き生きとしていて4人それぞれに夢や希望にあふれている。
少女時代から大人時代までの流れを豪華な4人の女優が演じきり、華やかな映画にならないはずがない。
長女のメグを演じるのは「ハリー・ポッター」の主演や「美女と野獣」でヒロインを演じたエマワトソン。
次女ジョー(本編の主人公)は本作のグレタ・ガーウィグ監督とは2度目のタッグを組むシアーシャ・ローナン。
三女はエリザベスを演じるエリザ・スカンレンは映画デビューが2019年の新人であり、「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」はデビュー4作目であり今後の活躍が期待されます。
四女(末っ子)を演じたのは本作はもちろん、今年日本でも話題をさらっている「ミッドサマー」「ブラック・ウィドウ」と有名作品に引き続き出演しているフローレンス・ピュー。
今をときめく女優たちがスクリーン内を所狭しと、活発に動き回る映画は本当にキラキラしていました。
彼女たちの少女期では将来の夢を語らい、子どもっぽい仕草や、表情がなんともいえません。こちらも元気になります。
大人になるにつれて、夢と現実をどう折り合いをつけるのか悩みつつ、大人の女性としての魅力的な表情がたまりません。
時代設定は19世紀後半のアメリカですが、彼女たちの感性は現代を生きる女性たちにも共感できるように描かれています。
この映画監督は女性のグレタ・ガーウィグだからこそ、彼女たちの魅力を最大限に引き出すことができたことは誰もが疑わないことでしょう。
映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』キャストで振り返る
この映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の魅力な何と言っても主演の四姉妹の個性的な魅力と人生にあります。
それでは4人のキャストをはじめとして、彼女たちを取り巻く出演者を振り返りましょう。
主人公 次女ジョー・マーチ/シアーシャ・ローナン
小説家になることを夢見る主人公ジョー・マーチであり、モデルは「若草物語」の原作者ルイーザ・メイ・オルコット。
結婚こそが女性の幸せと社会一般的に信じられた19世紀のアメリカにおいて、結婚よりも自分の夢を叶えることがいちばんの幸せと信じるが、結婚を頑なに断るばかりに孤独に苛まれる。
ジョーを演じたシアーシャ・ローナンはハツラツとした女性を演じ切りました。
彼女の魅力がスクリーンで輝いていました。
彼女がグレタ・ガーウィグ監督の『レディ・バード』でも主演を務めています。
- Saoirse Ronan(シアーシャ・ローナン)
- 生年月日 1994年4月12日
- 出身地 アメリカ合衆国 ニューヨーク・ブロンクス区
- 国籍 アイルランド
- 主な映画出演作品
- Little Women(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語・2019) / 主役 ジョー・マーチ 役 / アカデミー主演女優賞ノミネート・英国アカデミー賞 主演女優賞ノミネート・ゴールデングローブ賞 映画部門 主演女優賞 (ドラマ部門)ノミネート・その他
- Mary Queen of Scots(ふたりの女王 メアリーとエリザベス・2018) / 主演 メアリー・ステュアート 役
- Lady Bird(レディ・バード・2017) / 主演 クリスティン・マクファーソン (レディ・バード) / アカデミー主演女優賞ノミネート・英国アカデミー賞 主演女優賞ノミネート・ゴールデングローブ賞 映画部門 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門)受賞・その他
- The Grand Budapest Hotel(グランド・ブダペスト・ホテル・2014) / アガサ 役
長女 メグ・マーチ/エマ・ワトソン
長女メグは結婚することが幸せにつながると疑わない、典型的な19世紀のアメリカ人女性。
ジョーに女優になるように強く勧められるが、メグは普通の人生を歩むこと以外に興味はない様子。
メグを演じたエマ・ワトソンと言えば派手やかなイメージがありましたが、今回はいい意味で普通の地味な女性を演じていたと思います。
おしとやかで古風な考え方を持つ我慢強い昔ながらの女性です。
- Emma Watson(エマ・ワトソン)
- 生年月日 1990年4月15日
- 出身地 フランス・パリ
- 国籍 イギリス
- 主な映画出演作品
- Little Women(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語・2019) / 主演 メグ・マーチ 役
- Beauty and the Beast(美女と野獣・2017)/ ヒロイン ベル 役
- Harry Potter Series(2001〜2011)/ 主演 ハーマイオニー・グレンジャー 役
■エマ・ワトソンが出演していたハリー・ポッターのまとめ記事
三女 エリザベス・マーチ(ベス)/エリザ・スカンレン
自分の体を顧みず、他人を助ける心優しいベス。
四姉妹のの中で最も控えめな性格で自己主張をあまりしないが、みんなから愛されている。
ベスを演じた女優のエリア・スカンレンは三女の役を演じましたが、四女を演じたエイミーよりも実年齢は若く小柄に見えるところも演出上必要となるポイントだったと思います。
理由は本編を見ていただければわかります。
- Eliza Scanlen(エリザ・スカンレン)
- 生年月日 1999年1月6日
- 出身地 オーストラリア・シドニー
- 主な映画出演作品
- Little Women(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 ・2019) / エリザベス・マーチ 役
四女 エイミー・マーチ/フローレンス・ピュー
四姉妹の末っ子で最も自己主張が激しく原作ではみんなから嫌われるキャラクターのエイミー。
映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』はジョーとの衝突は何度かあるものの『嫌われ者』という描き方ではなく、自分の意見がはっきりしていて、自分の意見を曲げない女性という描き方がされています。
本映画では四姉妹の少女時代から大人時代にかけて描かれるが、今年24歳のフローレンス・ピューが13歳役をそのまま演じているの様子が見られます。
映画『ミッドサマー』の撮影が終了してから、本作の撮影に合流したらしいですが、見事な切り替えだったともいます。
また、フローレンス・ピューが演じたエイミーが癇癪を起こすシーンでは『ミッドサマー』の主人公ダニーと表情がシンクロして見えた瞬間もあり面白かったです。
- Florence Pugh(フローレンス・ピュー)
- 生年月日 1996年1月3日
- 出身地 イングランド・オックスフォード
- 主な映画出演作品
- Black Widow(ブラック・ウィドウ・2020)
- Little Women(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 ・2019) / エイミー・マーチ 役
- Midsommar(ミッドサマー・2019) / 主演 ダニー 役
■フローレンス・ピューが主演した話題作『ミッドサマー』紹介記事
母 ミセス・マーチ/ローラ・ダーン
四姉妹の母親ミセス・マーチ。
夫の帰りを待ち続けつつ、四姉妹を温かく見守る母親。
ミセス・マーチを演じたローラ・ダーンは様々映画でいろいろな役を演じ分ける名脇役というイメージが強い。
最近では『マリッジ・ストーリー』でやり手な離婚弁護士役をしているが、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』では反乱軍を逃すために一人で帝国軍に飛び込んでいったホルド提督を演じています。
- Laura Dern(ローラ・ダーン)
- 生年月日 1967年2月10日
- 出生地 アメリカ合衆国 ロサンゼルス
- 主な映画出演作品
- Little Women(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 ・2019) / ミセス・マーチ 役
- Marriage Story(マリッジ・ストーリー・2019)/ ノーラ・ファンショー 役 / アカデミー賞 助演女優賞受賞・英国アカデミー賞 助演女優賞受賞・ゴールデングローブ賞 助演女優賞受賞・その他
- Star Wars: The Last Jedi(スター・ウォーズ/最後のジェダイ・2017)/ レジスタンス ホルド提督 役
- The Master(ザ・マスター・2012)/ ヘレン・サリヴァン 役
- Jurassic Park III(ジュラシック・パークIII・2001)/ エリー・サトラー博士 役
- Jurassic Park(ジュラシック・パーク・1993)/ エリー・サトラー博士 役
■ローラ・ダーンが出演している、リーアム・ニーソン主演の復讐劇
マーチおばさん/メリル・ストリープ
裕福な暮らしを送っている四姉妹の祖母であるマーチおばさん。
女性は裕福な男性と結婚することで幸せになれるという考えを持ち、孫娘たちにも裕福な男性との結婚を求めている。
メリル・ストリープは実力派の女優であり、存在感があります。
彼女が登場するシーンでは不思議と空気が張り詰めるところがさすがメリル・ストリープといったところでしょうか。
それでも孫娘たちへの期待を寄せる厳しささの表情がある一面、孫娘を愛する優しい表情のギャップが魅力的でした。
- Meryl Streep(メリル・ストリープ)
- 生年月日 1949年6月22日
- 出生地 アメリカ合衆国ニュージャージー州サミット
- 主な映画出演作品
- Little Women(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 ・2019) / メリル・ストリープ 役
- Mary Poppins Returns(メリー・ポピンズ リターンズ・2018) / トプシー 役
- The Post(ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書・2017) / 主演 キャサリン・グラハム 役 / 1アカデミー主演女優賞ノミネート
- The Iron Lady(マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙・2011) / 主演 マーガレット・サッチャー 役 / アカデミー主演女優賞受賞・英国アカデミー賞 主演女優賞受賞・ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門)受賞
セオドア・ローレンス(ローリー)/ティモシー・シャラメ
四姉妹の幼なじみであり、裕福な家庭で育つローリー。
ジョーとはいつも仲の良い喧嘩をする間柄、歳を重ね大人になるに連れて友情が愛情に変わっていく様がみていていじらしさを伝わってきました。
四姉妹が「今は人生の岐路に立ったされている」というときにさり気なく登場しする。
お坊っちゃまで苦労をあまり知らないローリーを演じたティモシー・シャラメは甘いマスクで優男といったイメージでした。
主人公のシアーシャ・ローナンと同じく、映画『レディ・バード』に出演しています。
- Timothée Chalamet(ティモシー・シャラメ)
- 生年月日 1995年12月27日
- 出身地 アメリカ合衆国ニューヨーク・マンハッタン
- 国籍 フランス
- 主な映画出演作品
- Little Women(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 ・2019) / セオドア・ローレンス 役
- Beautiful Boy(ビューティフル・ボーイ・2018) / 主演 ニック・シェフ 役 / ゴールデングローブ賞助演男優賞ノミネート・英国アカデミー賞助演男優賞ノミネート
- Lady Bird(レディ・バード・2017) / カイル・シャイベ 役
映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』まとめ
四姉妹の少女と大人の時期を次女ジョーの視点を通して交互に表現し、四姉妹それぞれが求めた己の幸せのお話でした。
子どもの頃は無邪気に何の恐れも不安も持たず夢を語らい楽しく過ごし、大人になるにつれて様々な責任や現実と折り合いをつけながら暮らしていく4人たち。
伝統やしきたり、合理性といった物がうるさい時代を各々に感じながらも生きた彼女たち。
今どきなら、各々が違ってそれでいいと思いますが、当時は勇気がいるかったでしょう。
1人として同じ幸せはない。
それぞれに価値観があり、価値観が違えばそれは共有もできないし、幸せの価値を図ることができません。
結婚、夢の実現、音楽、経済的自立など四姉妹それぞれに幸せとなる価値が違う。
結婚と夢の現実は相容れないものなのか?
様々な問題を定義してくれる映画でしたが、最後は感動のフィナーレを迎えます。
以上、「映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』感想・レビュー」でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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