映画『ダンケルク(原題:Dunkirk)』は2017年公開のクリストファー・ノーラン監督・脚本・製作の実話を元にした戦場での生き残りを掛けたサバイバル映画です。
クリストファー・ノーラン監督が映画化した実話とは「第二次世界大戦のダンケルクの戦いにおいて、1940年5月26日から6月4日にかけて行われた、連合軍の大規模撤退作戦」のことです。
ダンケルクの作戦は史上最大の奇跡と呼ばれており、ドイツ軍に追い詰められていた40万人のイギリス・フランスの連合陸軍を救出した作戦です。
救出できても数万人と言われていた作戦だったにも関わらず、海軍だけでなく民間の船舶たちの協力を得ることでき、30万人以上が救出された最大の作戦であり、これらの実話を元にした映画が『ダンケルク』です。
海や空のシーンはオールロケであり、一部セットを組んだ撮影はありますがブルーバックによる合成は一斉使わない撮影でこの映画は作成されました。
映画で現れるダンケルクの砂浜や防波堤は今のダンケルクにセットを組み、再現しています。
海や空の撮影はシーンとシーンを繋ぐのが至難の技であり、多くの映画監督を悩ませてきています。クリストファー・ノーラン監督の腕の見せ所です。
第90回アカデミー賞(2018年)では作品賞、監督賞、美術賞、撮影賞、編集賞、音響編集賞、録音賞、作曲賞の8部門にノミネートされ、編集賞、録音賞、音響編集賞を受賞しています。
映画『ダンケルク』予告編
映画『ダンケルク』特別予告 2020年7月31日(金)IMAX®/4D/Dolby Cinema™にて緊急公開
YouTube:ワーナー ブラザース 公式チャンネルより
1940年、海の町ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士。
背後は海。
陸・空からは敵――そんな逃げ場なしの状況でも、生き抜くことを諦めないトミー(フィオン・ホワイトヘッド)とその仲間(ハリー・スタイルズ)ら、若き兵士たち。
一方、母国イギリスでは海を隔てた対岸の仲間を助けようと、民間船までもが動員された救出作戦が動き出そうとしていた。
民間の船長(マーク・ライランス)は息子らと共に危険を顧みずダンケルクへと向かう。英空軍のパイロット(トム・ハーディー)も、数において形勢不利ながら、出撃。
こうして、命をかけた史上最大の救出作戦が始まった。果たしてトミーと仲間たちは生き抜けるのか。
勇気ある人々の作戦の行方は!?
[究極の臨場感 ][究極のタイムサスペンス][究極の映像体験]――360°全方位から迫る息もつかさない99分間!
©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.
映画『ダンケルク』基本情報
- 原題 Dunkirk
- 監督 クリストファー・ノーラン
- 脚本 クリストファー・ノーラン
- 製作
- クリストファー・ノーラン
- エマ・トーマス
- 製作総指揮 ジェイク・マイヤーズ
- 撮影 ホイテ・ヴァン・ホイテ
- 美術 ネイサン・クローリー
- 編集 リー・スミス
- 衣装 ジェフリー・カーランド
- 音楽 ハンス・ジマー
- キャスト
- トミー:フィン・ホワイトヘッド
- ピーター:トム・グリン=カーニー
- コリンズ:ジャック・ロウデン
- アレックス:ハリー・スタイルズ
- ギブソン:アナイリン・バーナード
- ウィナント陸軍大佐:ジェイムズ・ターシー
- ジョージ:バリー・コーガン
- ボルトン海軍中佐:ケネス・プラナー
- 謎の英国兵:キリアン・マーフィー
- ミスター・ドーソン:マーク・ライランス
- フィリア:トム・ハーディ
- 配給 Warner Bros. Entertainment Inc.
- 上映時間 106分
- 著作権 ©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.
映画『ダンケルク』ストーリー
防波堤(陸):1週間の出来事
映像はドイツ兵に追い詰められたイギリス兵トミー(フィン・ホワイトヘッド)の逃走シーンからスタートする。
トミーがたどり着いた場所はダンケルクの砂浜。
ダンケルクに追い込まれた40万人の兵士たちが、砂浜に足止めをくらい救命ボートに乗るための長蛇の列に並ぶ。
ダンケルクは陸・海・空ともにドイツ軍に包囲され逃げ場がなかった。
ドイツ軍の攻撃をいつ受けてもおかしくない状態で救出作戦は行われる。
突如としてあらわれる戦闘機による銃撃や爆撃、破壊される桟橋、飛び散る兵士たち。
生と死の運命はわずか数メートルで結果が変わる。
兵士たちの運命を写す映像の中心には若い兵士としてトミー(フィン・ホワイト)、ギブソン(アナイリン・バーナード)、アレックス(ハリー・スタイルズ)がそれぞれ登場する。
彼らは掃海艇に無事乗り込み本国へ帰国と思いきや、様々な試練が彼らを襲い再びダンケルクの砂浜に戻ることに。
トミーたちの生還は果たして実現するのか、とてもハラハラしながら観続けることになります。
投降して捕虜になるか、ドイツ軍に攻撃を仕掛けて死を迎えるか、イギリス本土に生きて帰るか3つの選択肢の中で、彼らは本土に生きて帰ることを選択した。
長くて辛い1週間の物語。
海:1日の出来事
『防波堤:1週間の出来事』に並行して物語が進み、いつしか合流する『ある海の1日の出来事』
ダンケルクに残された同胞たちを救出するために、英国海軍が民間船を徴用するなか、中には自分の意志でダンケルクに向かう民間人も居た。
小型船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)もその1人でした。
航海に付き添うのは息子のピーター(トム・グリン=カーニー)とその友人のジョージ(バリー・コーガン)の2人。
途中難破船に残る英国兵(キリアン・マーフィー)を救助するが、船がダンケルクに向かっていることを知った英国兵はイギリス本土に戻るように執拗に意見する。
ミスター・ドーソンたちと意見の対立を見せた英国兵は大胆な手に出るが・・・
空:1時間の出来事
ダンケルクから撤退させるダイナモ作戦を支援するため、イギリス空軍の戦闘機がダンケルクに向かって3機が飛び立つ。
明らかに形勢不利なまま、すぐにドイツ兵に遭遇し、隊長機が撃墜されてしまう。
続く交戦でファリア(トム・ハーディ)の乗る戦闘機は燃料計が故障してしまう。
帰投するための燃料を残すように注意を受けていたが、続けて飛行するファリアとコリンズの2人。
絶対不利な状態なまま彼らはダンケルクの防波堤を目指すが・・・
映画『ダンケルク』感想・レビュー
地元映画館にIMAX劇場が無いのが残念です。
私はこれを4DXで観ました。
迫力、スケール、音楽、時を刻む音、全てがすごい映画でした。
第二次世界大戦当時のダンケルクの浜辺、防波堤を再現した監督の本気度。
海も空も全て実際にカメラで撮影する。
ブルバーック(合成用シート)を1つも使わず全てをカメラの前で写す。
銃撃も、空中戦も、沈没シーンも、海に飲まれる人々も全てカメラ前で再現!
本物のアクション・サバイバル映画を久しぶりに観ました。
言っては悪いが最近のアクション映画は過激にすることを目指すばかりで、どう観ても合成やCGにしか見えず、しらふに戻ってしまうことがしばしばあります。
しかし、このダンケルク で写っているものは全て本物の映像です。
映画の開始直後、ドイツ兵に追い詰められて命からがらダンケルクの防衛線に逃げ込むイギリス兵。
そして、イギリス兵が目の当たりにする、ダンケルクの浜辺に船に乗りイギリス本土に帰るために何列にも並ぶイギリス兵たちの姿、あれは全てカメラが写した映像である。
防波堤部分に併設されている桟橋も、当時の設計図を元にこの映画のために再現した巨大なセットです。
銃撃シーン、船の爆破シーン、大型船が沈むシーンも全て撮影によるものです。
また、海に浮かぶ各海軍の船や、イギリス兵たちを救出するために訪れる民間船の数々も当時活躍した船が実際にイギリスから海峡を渡り、フランスのダンケルクに訪れて撮影されているのです。
とにかくこの映画はスケールもリアル感も迫力もすごいです。
次の展開が読めず、最後まで楽しめます。
映画『ダンケルク』の3つの話が交錯し、クライマックスに向かいます
第二次世界大戦当時、世界最強の水準と謳われたドイツ軍にフランスの港町ダンケルクに追い詰められた英国・仏国の40万人の連合軍は陸海空と逃げ場をなくしていました。
生きて帰ることを選んだ彼らがどんな思いで1週間あの砂浜で足止めをくらっていたのか。
『防波堤の1週間』が映画の全体の流れの軸となっています。
後ろをドイツ兵、前を海に挟まれた絶体絶命の状況の中、は生きて帰ることを願った40万の兵士たちの物語。
そこへ民間人でありながら居ても立っても居られなくなり、自ら救援に向かう民間船の物語『海の1日』と、戦闘機でダンケルクの砂浜に救援に駆けつける『空の1時間』の出来事が時折、差し込まれます。
それぞれが各々の思いで行動をしていても一致団結して作戦を成功させようと奮闘する姿が生々しく映っています。
ダンケルクから帰ろうとする一部の兵士、ダンケルクに駆けつけて兵士を生きて連れ帰そうとする民間人、空からダンケルクの兵士を守ろうとする戦闘機乗りの3つの魂の映画を観て欲しい。
映画『ダンケルク』をキャストで振り返る
トミー(フィン・ホワイトヘッド)【防波堤(陸):1週間の出来事】
若い兵士。
ダンケルクの前線でドイツ軍に責め立てられて命からがら友軍に合流するが、そこはダンケルクの砂浜。
前を海、後ろをドイツ軍に挟まれて我先になんとか船に乗って本国に帰ろうとあの手この手とつくそうとする。
- フィン・ホワイトヘッド(Fionn Whitehead)
- 生年月日 1997年7月18日
- 出身地 イングランド・ロンドン
- 主な映画出演作
- 【映画デビュー作】Dunkirk(ダンケルク・2017)/ トミー 役
ギブソン(アナイリン・バーナード)【防波堤(陸):1週間の出来事】
ダンケルクの浜辺でトミーと出会った口数が少ない兵士。
負傷兵を担架に載せて、病院船に運ぶ様子をトミーと眺めていたギブソンは語るよりも行動していた。
負傷兵を病院船に乗せて自分たちもダンケルクの浜辺からすぐ離れようと。
しかし、事はそう簡単には進まなかった。
- アナイリン・バーナード(Aneurin Barnard)
- 生年月日 1987年5月8日
- 出生地 ウェールズ
- 主な映画出演作品
- 【映画デビュー作】Dunkirk(ダンケルク・2017)/ ギブソン 役
ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)【海:1日の出来事】
イギリス海軍が民間船を徴兵し、ダンケルクに海軍が救援船を送ろうとする中、民間人でありながらダンケルクに向かって救援に向かう一般人がいた。
ミスター・ドーソンはその民間人の代表的な1人。
彼は第一次世界大戦を始めたのが自分たちの世代であり、若者たちがその尻拭いに第二次世界大戦で戦っていることを歯痒く思っていた。
- マーク・ライランス(Sir Mark Rylance)
- 生年月日 1960年1月18日
- 出生地 イングランド・ケント州
- 主な映画出演作品
- Ready Player One(レディ・プレイヤー1・2018) / ジェームズ・ドノヴァン・ハリデー / アノラック (オアシスの開発者) 役
- Dunkirk(ダンケルク・2017)/ ミスター・ドーソン 役
- Bridge of Spies(ブリッジ・オブ・スパイ・2016) / ルドルフ・アベル 役 / 第88回アカデミー助演男優賞受賞・第69回英国アカデミー賞英国アカデミー賞 助演男優賞受賞・第73回ゴールデングローブ賞 助演男優賞ノミネート …..その他多数
ファリア(トム・ハーディ)【空:1時間の出来事】
ダンケルクの戦いに向かって飛ぶ戦闘機パイロットの1人。
ダンケルクで戦闘をしても帰投できるだけの燃料を残すように命令をうけるファリアだが。
- トム・ハーディ(Tom Hardy)
- 生年月日 1977年9月15日
- 出身地 イングランド・ロンドン
- 主な映画出演作品
- Venom(ヴェノム・2018) / 主演 エディ・ブロック(ヴェノム) 役
- Dunkirk(ダンケルク)(2017)/ファリア役
- Mad Max: Fury Road(マッドマックス 怒りのデス・ロード) (2015)/第21回放送映画批評家協会賞最優秀主演男優賞アクション映画部門・ロンドン映画批評家協会賞男優賞/マックス・ロカタンスキー役
- The Dark Knight Rises(バットマン ダークナイト ライジング)(2012年)/スーパーヴィラン ベイン役
映画『ダンケルク』まとめ
感動と興奮と切なさが共存する素晴らしい映画でした。
この映画は各セクション(陸・海・空)ごとに注目する主人公が変わります。
そのため感情移入する対象はその都度変わるでしょう。
これはクリストファー・ノーラン監督の考え方なのかもしれないですが、あの時代、あの場所では誰もが主人公だったのかもしれません。
主人公が変わる物語と知らずに観ていると、感情移入しづらい場合があるので苦手な人は「場面によって主人公が代わる」ということを意識して映画を観ていれば絶対楽しめるでしょう。
ブルーバックを使わず数々の海のシーンを撮影しきったクリストファー・ノーラン監督はすごいし、登場する船舶も当時のものを用意し、戦闘機も型は違えどほぼ当時と同じ戦闘機を用意し、実際に飛ばしている。
何でもブルーバックで作成し、合成する映画が多い中で実際の映像を撮影している話を聞けると非常に嬉しく思います。
CGを多用する映画を否定している感想ではありません。
例えば、魔法や超能力といったモノが出てくる映画であれば、どうしてもCGに頼らざるを得ない作品も出てくるでしょう。
しかし、CGに頼りすぎて本来実写で撮影できるものまでCG化すると映画製作も歯止めがかからなくなるし、嘘っぽくなりがちです。
その点ではクリストファー・ノーラン監督の撮影へのこだわりは尊敬の念を抱かずにはいられません。
最後まで生き抜こうとしても死んでしまう兵士ももちろんいますが、この映画は必死に生き抜いた兵士のサバイバル映画です。
当時の防波堤を再現し、当時の民間船も集め、また、当時の戦闘機(限りなく近いモデル)を用意し、そうして撮影されたこの映画の完成度の高さと、リアルさは圧巻です。
106分と比較的短い時間の映画ですが、重厚さがあり、観終わった後は安堵のため息をつくことでしょう。
以上、「映画『ダンケルク』感想・レビュー(ど迫力の生き残りを掛けたサバイバル戦争映画)」を最後までお読みいただきありがとうございました。
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