映画『フォードvsフェラーリ』感想・レビュー(男たちが戦ったのはフェラーリだけではなかった。クリスチャン・ベイルの芝居は最高だが。)

映画『フォードvsフェラーリ』感想・レビュー(男たちが戦ったのはフェラーリだけではなかった。クリスチャン・ベイルの芝居は最高だが。)

映画『フォードvsフェラーリ』
第92回アカデミー賞®4部門ノミネート‼
【作品賞】【録音賞】【編集賞】【音響編集賞】
2月10日に発表されたアカデミー賞で、『フォードvsフェラーリ』は【編集賞】【音響編集賞】の2冠に輝きました(2020年2月10日にリライトしました)。

 

映画『フォードvsフェラーリ』は1966年の「ル・マン24時間レース」における、絶対王者フェラーリをフォードが打倒した実話を元にした物語である。

マット・デイモンやクリスチャン・ベイルというアカデミー俳優が初共演で主演を務めた話題作。
日本での公開は今年1月10日だが、1月13日にアメリカで第92回アカデミー賞のノミネート作品が発表されると、作品賞、音響編集賞、録音賞、編集賞の4部門にノミネートされた(アメリカでは映画公開2019年11月15日)。
第92回アカデミー賞は2月10日に発表され、『フォードvsフェラーリ』は音響編集賞、編集賞の2冠を達成した。

この映画『フォードvsフェラーリ』は「フェラーリの買収に失敗したフォードが、フェラーリに勝つために新しい車を作る」までをみせる映画ではない。

この映画が魅せたかったのは、巨大企業フォードの『打倒フェラーリ』の依頼に翻弄されながらもそれに抗い、それでもフォードのために最速でレースに勝てる車と仕組みを作り上げた男たちの友情物語。

元レーサーでカー・デザイナーのキャロル・シェルビー(マット・デイモン)が車をデザインし、負けず嫌いで喧嘩っ早いケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)がテスト走行を繰り返す。
喧嘩っ早くて協調性に欠けるケン・マイルズはフォードの重役に目をつけられてなんどもチームから外されそうになる。

速い車を作りたい、負けたくないという男たちの情熱や執念、執着に近いものをこれでもか!と見せつけてくれる。

初めてプロトタイプを走らせたときのマイルズのレーサーとしての高揚感。
シェルビーがプロジェクトの舵を取り、マイルズはプロトタイプ車の弱点と改善点を語り続ける。
改良に改良を重ねて、日に日に完成に近づく車。

目標達成目前で歓喜するシェルビーとマイルズの2人の前に、横槍を入れて足を引っ張り出すフォードの重役たち。
その度に『頼むこの2人の男の思う通りにやらせてくれ、絶対にうまくいくから!』と映画を観ている側は願うが、開発資金を提供するフォードの力の前にはそうは上手くいかない。

何度も横槍や挫折を繰り返しながら、それでも諦めずにフォードの重役たちに、ぐうの音も出ないほどの圧倒的な実力と結果を見せつけるシェルビーとマイルズの戦いがとにかく熱かった!

繰り返しになるが、映画『フォードvsフェラーリ』は1966年の「ル・マン24時間レース」における、王者フェラーリをフォードが打倒した実話を元にした物語である。
しかし、「フェラーリの買収に失敗したフォードが、フェラーリに勝つために新しい車を作る」までをみせる映画ではない。

映画『フォードvsフェラーリ』予告編

YouTube : 20世紀フォックス映画公式チャンネルより
映画『フォードvsフェラーリ』日本オリジナル予告『狙え!大逆転』編 2020年1月10日(金)公開

映画『フォードvsフェラーリ』あらすじ

気鋭のカー・デザイナーであるキャロル・シェルビー(マット・デイモン)の下に、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード・モーター社から思いがけない依頼が舞い込んでくる。

『ル・マン24時間耐久レース(世界三大レース)で絶対王者フェラーリに勝てる車を作ってくれ』というものだった。

キャロル・シェルビーはアメリカ人で唯一、過去にル・マンで勝利したことがある元レーサーでもあった。
心臓の病気が原因でレースの一線から退いたとは言っても、レース魂に火がついたキャロル・シェルビーは絶対勝てるチーム作りの一員としてイギリスの凄腕ドライバーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)を招き入れる。

自ら経営するする自動車修理工場が国税局に取り押さえられ、資金難に陥ったケンは妻モリー(カトリーナ・バルフ)と息子ピーター(ノア・ジョブ)に応援されながら、シェルビーの無謀とも言える挑戦に協力する。

シェルビーとマイルズは世界最高速の車を開発するために、デザイン・設計・開発・テストを繰り返す毎日。

しかし、喧嘩っ早いマイルズはフォードの重役に目をつけられて要らない横槍をここぞとばかりに入れられ、チームから外されそうになる。

映画『フォードvsフェラーリ』基本情報

邦題 フォードvsフェラーリ
原題 FORD v FERRARI
監督 ジェームズ・マンゴールド
製作 ピーター・チャーニン
ジェンノ・トッピング
ジェームズ・マンゴールド
製作総指揮 ケヴィン・ハロラン
デーニ・バーンフェルド
マイケル・マン
脚本 ジェズ・バターワース
ジョン=ヘンリー・バターワース
ジェイソン・ケラー
音楽 マルコ・ベルトラミ
バック・サンダース
製作会社 チャーニン・エンターテインメント
ターンパイク・フィルムズ
出演者 マット・デイモン
クリスチャン・ベール
配給 Twentieth Century Fox Film Corporation
上映時間 153分
著作権 © 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.

映画『フォードvsフェラーリ』出演者情報

キャロル・シェルビー(マット・デイモン)

映画『フォードvsフェラーリ』より マット・デイモンが演じる、キャロル・シェルビー
映画『フォードvsフェラーリ』より
マット・デイモンが演じる、キャロル・シェルビー
© 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.

心臓の病気が原因でレーサーを引退。
カー・デザインをしているキャロル・シェルビー。
多くの名車を世に残している。代表的な車にコブラ(軽自動車並みの軽量ボディに4.2リッター V8エンジンなど)がある。
作中でキャロル・シェルビーの愛車がコブラである。

  • Matt Damon(マット・デイモン)
  • 生年月日 1970年10月8日
  • 出生地 アメリカ合衆国マサチューセッツ州
  • 主な映画出演作品
    • Ford v Ferrari(フォードvsフェラーリ・2019) / 主演 キャロル・シェルビー 役
    • Jason Bourne(ジェイソン・ボーン・2016) / 主演 ジェイソン・ボーン 役
    • The Martian(オデッセイ・2015) / 主演 マーク・ワトニー 役 / ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)受賞 / ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 2015・主演男優賞受賞 / アカデミー主演男優賞ノミネート
    • Interstellar(インターステラー・2014) / マン博士 役
    • The Bourne Ultimatum(ボーン・アルティメイタム・2007) / 主演 ジェイソン・ボーン 役
    • Ocean’s Thirteen(オーシャンズ13・2007) / ライナス・コールドウェル 役
    • Ocean’s Twelve(オーシャンズ12・2004) / ライナス・コールドウェル 役
    • The Bourne Supremacy(ボーン・スプレマシー・2004) / 主演 ジェイソン・ボーン 役
    • Ocean’s Eleven(オーシャンズ11・2001) / ライナス・コールドウェル 役

ケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)

映画『フォードvsフェラーリ』より クリスチャン・ベイルが演じる、ケン・マイルズ
映画『フォードvsフェラーリ』より
クリスチャン・ベイルが演じる、ケン・マイルズ
© 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.

フォードがフェラーリに勝てるなど1mmも信じていなかったケン・マイルズ。
キャロル・シェルビーに口説き落とされて、打倒フェラーリの車開発に協力する。

喧嘩っ早いところが欠点でス、ポンサーでもあるフォード・モーター社の重役に目をつけられて妨害に合う。

  • Christian Bale(クリスチャン・ベール )
  • 生年月日 1974年1月30日
  • 出身地 ウェールズ・ペンブルックシャー
  • 国籍 イギリス・アメリカ合衆国
  • 主な映画出演作品
    • Ford v Ferrari(フォードvsフェラーリ・2019) / 主演 ケン・マイルズ 役
    • Vice(バイス・2018) / ディック・チェイニー 役 / アカデミー主演男優賞ノミネート・ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)受賞
    • The Big Short(マネー・ショート 華麗なる大逆転・2015) / マイケル・バーリ 役 / アカデミー助演男優賞ノミネート・ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)ノミネート
    • The Dark Knight Rises(ダークナイト ライジング・2012) / 主演 ブルース・ウェイン 、 バットマン 役
    • The Fighter(ザ・ファイター・2010) / ディッキー・エクランド 役 / アカデミー助演男優賞受賞・ゴールデングローブ賞 助演男優賞受賞
    • The Dark Knight(ダークナイト・2008) / 主演 ブルース・ウェイン 、 バットマン 役
    • Batman Begins(バットマン ビギンズ・2005) / 主演 ブルース・ウェイン 、 バットマン 役

■ケン・マイルズを演じた、クリスチャン・ベールが主演したバットマン三部作の紹介記事

モリー・マイルズ(カトリーナ・バルフ)

映画『フォードvsフェラーリ』より カトリーナ・バルフが演じる、モリー・マイルズ
映画『フォードvsフェラーリ』より
カトリーナ・バルフが演じる、モリー・マイルズ
© 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.

ケンの妻モリー。
ケンに負けじと気が強いが、ケンを心から信じ、愛していることが伝わってくる。

  • Caitriona Balfe(カトリーナ・バルフ)
  • 生年月日 1979年10月4日
  • 出身地 アイルランド・ダブリン州
  • 主な映画出演作品
    • Ford v Ferrari(フォードvsフェラーリ・2019) / モリー・マイルズ 役
  • 備考(ファッションモデル・女優)

ピーター・マイルズ(ノア・ジュブ)

映画『フォードvsフェラーリ』より ノア・ジュプが演じる、ピーター・マイルズ
映画『フォードvsフェラーリ』より
右:ノア・ジュプが演じる、ピーター・マイルズ
© 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.

父を心から尊敬しているピーター。
父の仕事場にちょくちょく顔をだす。

  • NOAH JUPE(ノア・ジュブ)
  • 生年月日 2005年2月25日
  • 出身地 イングランド・ロンドン
  • 主な映画出演作品
    • A Quiet Place : Part II(クワイエット・プレイス・: Part II・2020 ) / マーカス・アボット 役
    • Ford v Ferrari(フォードvsフェラーリ・2019) / ピーター・マイルズ 役
    • A Quiet Place(クワイエット・プレイス・2018 ) / マーカス・アボット 役
    • Wonder(ワンダー 君は太陽・2017) / ジャック・ウィル 役

■ピーター・マイルズ役のノア・ジュプが出演している作品『クワイエット・プレイス』

映画『フォードvsフェラーリ』まとめ

車の開発やレースをテーマに持ってきている映画です。
ル・マン24時間レースなどレースシーンなども手に汗握って観てしまい、とても見応えのある作品です。
映画館の大型スクリーンと音響でみるレースシーンだれだけでも最高ですが、それだけではないドラマがありました。

車の開発やテスト、レースと行った男臭くてドロドロしたドラマの中に、ケン・マイルズの家族のドラマが潤いを足してくれているところがより映画の魅力を高めています。

父(ケン・マイルズ)に憧れ、尊敬する息子ピーター(ノア・ジョブ)、夫を愛し、尊敬するモリー(カトリーナ・バルフ)のこの2人の絡むドラマがまた胸を熱くさせる。
ケン・マイルズは自分のやりたいことだけにまっすぐに突き進み、家族はそれに心配をするが、それ以上に応援し、ケンの成功をすごく喜んでくれる。

家族を持っている父親ならわかってくれるだろうか。
家族から受ける賛辞と、仕事仲間であり友人のシェルビーからの賛辞では味わい方が全く違っただろう。

キャロル・シェルビー、ケン・マイルズ、といった名前を知らなくても、フェラーリやフォードと言った名前はご存知だろう。

車を知らなくても楽しめる男たちのドラマは涙なくては見れない作品でした。

クリスチャン・ベイルの芝居は最高だがアカデミー賞ノミネートならず

普段、『まとめ』に小見出しをつけないのだが、どうしても言いたいことがあり、小見出しをつけることにした。

この映画を観た人はレースの激しさに興奮し、クリスチャン・ベイルが演じたケン・マイルズが受けたフォード重役からの横槍に同情し、彼の闘争心むき出しの心に共感したことだろう。

クリスチャン・ベイルの芝居は最高だった。

最高だったがアカデミー賞 主演男優賞ノミネートには上がらなかった。

これは残念なことだった(ホアキン・フェニックスファンの私としてはホッと一安心ではあるが)。

審査員ではないので審査基準はわからないが、クリスチャン・ベイルの芝居はオスカーにふさわしいものだったと思う。

例えば、昨年のアカデミー賞で3部門で賞をとった『グリーンブック』はマハーシャラ・アリが助演男優賞を取得している(作品書、脚本賞の3部門受賞)。
ヴィゴ・モーテンセンもアカデミー賞主演男優賞にノミネートをしているのだ。

この映画『グリーンブック』では田舎者で喧嘩っ早く、何事にもルーズで黒人嫌いで、エリートが嫌いだった男トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)が黒人エリートと旅をして心を開き、かつ、トニー・リップが人間として成長する物語だった。

助演男優賞をとったマハーシャラ・アリが演じたのはその真逆。
何事にも潔癖な完璧さを求めるエリート階級のピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は雇ったルーズなトニー・リップとの旅を通じてドクター・シャーリーも人間的に成長していく。

映画『グリーンブック』ではトニー・リップとドクター・シャーリーがお互いに影響しあい、互いに人間としての魅力を高め合う物語でした。

さて、『フォードvsフェラーリ』はどうだったか。
これは映画を観た人が自身で結論を出して欲しいが、私は次のように感じた。
ダブル主演、初共演したクリスチャン・ベイルの演じたケン・マイルズも、マット・デイモンが演じたキャロル・シェルビーも映画を通して特に成長している様子はあまりみられなかった。
映画の始まりから終わりで変わったことは、レースの勝利という結果を残しただけで人間的にはほとんど変化がみられていなかった。

『実話ベース』『男2人』という素材が共通の映画ということで比較してみたが、キャラクターの成長を魅力的に魅せる脚本が『フォードvsフェラーリ』になかったのが、クリスチャン・ベイルがアカデミー賞にノミネートされなかった理由の1つだとすると納得するしかないと思った。
実際、脚本賞はノミネートされていない。

以上、「映画『フォードvsフェラーリ』感想・レビュー(男たちが戦ったのはフェラーリだけではなかった。クリスチャン・ベイルの芝居は最高だが。)」でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。