2020年のアカデミー賞で視覚効果賞など3部門で受賞した映画『1917 命をかけた伝令』。全てのカットをワンカット撮影し、全編ワンカットで撮影しているように見せた驚異の作品。
監督は007シリーズの『007 スペクター』『007 スカイフォール』などで知られるサム・メンデス監督。
サム・メンデス監督は祖父の体験談をベースに第1次世界大戦のフランス西部戦線の伝令兵の1日の動きを映画に仕上げた。
観客は伝令兵の2人の動きを目で追い、まさに戦場を体験することになります。
没入感が半端ない『1917 命をかけた伝令』。
ワンカットの話やアカデミー賞の話ばかりが目立つ本作だが、 絵作り、音も最高すぎる。
ストーリーもシンプルで分かりやすい。
スクリーンで観た時の構図や映像の美しさは群を抜いて素晴らしい。
ワンカットの繋ぎ目を探すより、映像の素晴らしさと主人公達の心情に注目して欲しいそんな映画です。
『1917 命をかけた伝令』の詳しい魅力は後に述べる『感想・レビュー・まとめ』をご覧ください。
その前に予告編・あらすじの紹介です。
映画『1917 命をかけた伝令』予告編
YouTube : ユニバーサル・ピクチャーズ公式チャンネルより
予告編をまず観て欲しい。
1917年はライト兄弟が有人飛行を成功させた1903年からまだ15年が経っていない時代だ。
早朝の攻撃作戦を中止させ、1600人の命を守るための伝令作戦がスコフィールド上等兵(ジョージ・マッケイ)とブレイク上等兵(ディーン=チャールズ・チャップマン)にくだる。
周辺の電話線は全てドイツ兵により切断され、通信手段が存在しない。
2人の上等兵は戦地の中をドイツ兵に見つからないように進まなくてはならない。
予告編だけでもこの『伝令』という任務がどれほど過酷なのかが伝わってきます。
彼らはひた走ります。
多くの兵士の命を守るために。
映画『1917 命をかけた伝令』あらすじ
引用元 : ABOUT THE MOVIE|映画『1917 命をかけた伝令』公式サイト
第一次世界大戦真っ只中の1917年のある朝、若きイギリス人兵士のスコフィールドとブレイクにひとつの重要な任務が命じられる。
それは一触即発の最前線にいる1600人の味方に、明朝までに作戦中止の命令を届けること。進行する先には罠が張り巡らされており、さらに1600人の中にはブレイクの兄も配属されていたのだ。
戦場を駆け抜け、この伝令が間に合わなければ、兄を含めた味方兵士全員が命を落とし、イギリスは戦いに敗北することになる―
刻々とタイムリミットが迫る中、2人の危険かつ困難なミッションが始まる・・・。
映画『1917 命をかけた伝令』基本情報
- 原題:1917
- 監督・脚本・製作 サム・メンデス
- 脚本 クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
- 製作
- ピッパ・ハリス
- ジェイソン=アン・テングレン
- カラム・マクドゥガル
- ブライン・オリバー
- 撮影監督 ロジャー・ディーキンス
- プロダクション・デザイナー デニス・ガスなー
- 編集 リー・スミス
- 衣装
- ジャックリーン・デュラン
- デイビッド・クロスマン
- 音楽 トーマス・ニューマン
- (C)2019 Universal Studios and Storyteller Distribution Co., LLC. All Right Reserved
映画『1917 命をかけた伝令』感想・レビュー
あっという間に映画が終わりました。
ストーリーは単純明快、将軍に委ねられた伝令を2人の若い伝令兵が遠く離れた味方の軍に伝えること。
伝令兵はトラップやドイツ兵の影に気をつけながら突き進むが旅はそう簡単には終わらない。
全てのシーンがワンカット撮影。
ワンカットとは1台のカメラのみでカットを切らずに撮影する手法です。
具体的なワンカット撮影の手法は「映画『1917 命をかけた伝令』特別映像 “驚異のワンショット撮影”」の動画をみていただければ一番わかりやすいと思います。
YouTube : ユニバーサル・ピクチャーズ公式チャンネルより
ただ、撮影技法にだけ気をとれていると映画が楽しめません。
とにかくこの映画の魅力は映像の美しさ、巧みなカメラワーク、音の使い方の素晴らしさです。
そして、その結果生まれる戦時中の迫力、あふれる臨場感の高さです。
恐れ、痛み、戸惑い、死といったモノがスクリーンを通じて襲ってきます。
焦土と化した戦場の悲惨な地面を見せる。
ドイツ兵が占領した市街地を暗闇の中ひた走る等身大に見えるように見せるシーンなど、映画館の大型スクリーンだからから伝わる臨場感。
観ている側も緊張し続ける事が多い映画です。
各セクションごとにいろいろな立場の人間に関わって、場面が自然に変わっていきます。
主人公はひた走り、目的地を目指しますが、彼の前には仲間の兵士やドイツ兵などその都度、いろいろな立場の人間が目の前に現れていきます。
全体の『伝令』と言う軸は共通なのに、場面場面で解決しなくてはならない課題がさり気なく出てくる。
「えっ!、目の前に民家が出てきた!何が起きるの?」「銃弾が飛んできた!敵はどこから?次はどうなるの?」ただ、走っているだけなのに戦場は刻一刻と戦況が変わっていく。
距離にしても十数キロだというのに。
映画でみせられる塹壕、前線、毒ガス、機関銃、戦闘機、伝令などあらゆる事象は当時の戦争をリアルに縮尺して見せられている。
スケールで言えば1つの隊から別隊への『伝令』と言うミニマムな出来事ではあるが、『戦争』というスケールではかると、とても大きなものを見せられたと思いました。
映画『1917 命をかけた伝令』キャスト
スコフィールド上等兵(ジョージ・マッケイ)
20代の青年でブレイクより1年早く入隊し、悲惨な作戦を経験している。
伝令命令については慎重にことを運びたいと思っている。
- George MacKay(ジョージ・マッケイ)
- 生年月日 1992年3月13日
- 出身地 イングランド・ロンドン
ブレイク上等兵(ディーン=チャールズ・チャップマン)
地図を読むのが得意な19歳。
入隊したてで戦地の経験が浅いため、怖いもの知らず。
- Dean-Charles Chapman(ディーン=チャールズ・チャップマン)
- 生年月日 1997年9月7日
- 出身地 イングランド・エセックス州
以下のキャスト紹介で役割を説明するとネタバレになると思われるので、役名とキャスト紹介のみにします。
スミス大尉(マーク・ストロング)
- Mark Strong(マーク・ストロング)
- 生年月日 1963年8月5日
- 出身地 イングランド・ロンドン
- 主な主演映画作品
- 1917(1917 命をかけた伝令・2019) / スミス大尉 役
- Shazam!(シャザム!・2019) / Dr.サデウス・シヴァナ 役
- Kingsman:The Golden Circle(キングスマン: ゴールデン・サークル・2017)/ マーリン 役
■悪役のイメージが強いマーク・ストロングが出演している2つの作品紹介
レスリー中尉(アンドリュー・スコット)
- Andrew Scott(アンドリュー・スコット)
- 生年月日 1976年10月21日
- 出身地 アイルランド
- 主な出演映画作品
- 1917(1917 命をかけた伝令・2019) / レスリー中尉 役
- Alice Through the Looking Glass(アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅・2016) / アディソン・ベネット 役
- Spectre(007 スペクター・2015) / C(マックス・デンビー) 役
■したたかで油断できない敵役をさせると右に出るものがいないイメージのアンドリュー・スコットが出演している『007 スペクター』
ブレイク中尉(リチャード・マッデン)
- Richard Madden(リチャード・マッデン)
- 生年月日 1986年6月18日
- 出身地 スコットランド・レンフルーシャイア
- 主な出演映画作品
- 1917(1917 命をかけた伝令・2019) / ブレイク中尉 役
- Rocketman(ロケットマン・2019) / ジョン・リード 役
- Cinderella(シンデレラ・2015) / キット王子 役
エリンモア将軍(コリン・ファース)
- Colin Firth(コリン・ファース)
- 生年月日 1960年9月10日
- 出身地 イングランド・ハンプシャー州
- 主な出演映画作品
- 1917(1917 命をかけた伝令・2019) / エリンモア将軍 役
- Mary Poppins Returns(メリー・ポピンズ リターンズ・2018) / ウィリアム・“ウェザーオール”・ウィルキンズ 役
- Kingsman: The Golden Circle(キングスマン: ゴールデン・サークル・2017) / ハリー・ハート 役
マッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)
- Benedict Cumberbatch(ベネディクト・カンバーバッチ)
- 生年月日 1976年7月19日
- 出身地 イングランド・ロンドン
- 主な映画出演作品
- 1917(1917 命をかけた伝令・2019) / マッケンジ大佐 役
- Avengers: Endgame(アベンジャーズ/エンドゲーム・2019) / スティーヴン・ストレンジ / ドクター・ストレンジ 役
- Doctor Strange(ドクター・ストレンジ・2016) / スティーヴン・ストレンジ / ドクター・ストレンジ 役
- The Imitation Game(イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密・2014) / アラン・チューリング 役 / アカデミー主演男優賞ノミネート・ハリウッド映画賞男優賞
■ベネディクト・カンバーバッチは個人的にはドラマ版『シャーロック・ホームズ』のイメージが強いですが、世間では『ドクター・ストレンジ』のイメージが強いですね。
まとめ:『1917 命をかけた伝令』は究極のロードムービー
そう、この映画は『究極の戦場ロードムービー』です。
伝令を受けて、遠く離れた軍に伝令を届ける。
常に主人公の彼らが画面に映り続ける。
それは味方の塹壕から始まり、戦場に変わり、目の前で仲間が傷つき、ときにはセーフエリアに、ときには突然ドイツ兵に襲われたり、追われたりします。
没入感が半端ない『究極の戦場ロードムービー』です。
映画館の大きなスクリーンを目の前にするからこそ、実物大のスケールを感じ、生の音を感じれます。
いま、このとき映画館で観なければ価値が半減するもったいない作品です。
以上「映画『1917 命をかけた伝令』感想・レビュー(究極のロードムービーは何がすごいのか)」でした。
最後までお読みいただいてありがとうございました。
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