映画『百円の恋』は主演:安藤サクラ、監督:武正晴の作品で、公開は2014年12月でR15指定になります。
安藤サクラさんは昔からまっすぐではない癖の強いキャラクターをよく演じてらっしゃいます。
アラサーでニート、親のスネをかじって毎日テレビゲームをしながら自堕落な生活をしている。
これだけ聞くと主人公として全く魅力を感じないタイプです。
安藤サクラさんが演じる斉藤一子(いちこ)を中心にダメ人間が集まり、怒りや、憐れみ、軽蔑といった人間が持つ負の感情を揺さぶってくれます。
ダメ人間だったはずの女子力ゼロの斉藤一子がボクシングを通じて魅力的な主人公に変わっていく、そんな映画です。
問題作ではありますが、日本アカデミー賞をはじめ、たくさんの賞を受賞している話題作でもあります(後述あり)。
安藤サクラファンはもちろん、アラサー、アラフォーの大人にも観て欲しい。
アラフォーといえば、今年観た映画『オー・ルーシー』も『百円の恋』に通じるものがありました。
女子力ゼロ、自己中で万年独身のアラフォー女子が恋した英会話の先生を追いかけて、カルフォルニアを旅する映画。主演は寺島しのぶさん。
それでは映画『百円の恋』の感想・レビューを紹介します。
映画「百円の恋」予告
映画「百円の恋」あらすじ
引用元:百円の恋公式サイトより
32歳の一子(安藤サクラ)は実家にひきこもり、自堕落な日々を送っていた。
ある日離婚し、子連れで実家に帰ってきた妹の二三子と同居をはじめるが折り合いが悪くなり、しょうがなく家を出て一人暮らしを始める。夜な夜な買い食いしていた百円ショップで深夜労働にありつくが、そこは底辺の人間たちの巣窟だった。
心に問題を抱えた店員たちとの生活を送る一子は、帰り道にあるボクシングジムで、一人でストイックに練習するボクサー・狩野(新井浩文)を覗き見することが唯一の楽しみとなっていた。
ある夜、そのボクサー・狩野が百円ショップに客としてやってくる。狩野がバナナを忘れていったことをきっかけに2人の距離は縮めていく。なんとなく一緒に住み始め、体を重ねるうちに、一子の中で何かが変わり始める―――。
監督 | 武正晴 |
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脚本 | 足立紳 |
製作 | 間宮登良松 |
出演 | 安藤サクラ 新井浩文 根岸季衣 稲川実代子 早織 宇野祥平 坂田聡 沖田裕樹 吉村界人 松浦慎一郎 伊藤洋三郎 重松 収 |
音楽 | 海田庄吾 |
制作会社 | 東映ビデオ |
配給 | SPOTTED PRODUCTIONS |
公開年 | 2014年 |
映画『百円の恋』受賞記録(一部抜粋)
- 第27回東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門作品賞受賞
- 第88回キネマ旬報ベスト・テン(2014年)
- 主演女優賞 – 安藤サクラ(『0.5ミリ』と合わせて受賞)
- 第39回日本アカデミー賞
- 最優秀主演女優賞(安藤サクラ)
- 最優秀脚本賞(足立紳)
- 優秀作品賞
- 優秀監督賞(武正晴)
- 優秀助演男優賞(新井浩文)
キャスト
斎藤一子(いちこ)(安藤サクラ)
32歳アラサー、無職、親のすねかじりで、家業の弁当屋も手伝わず自堕落な生活を続けるダメ人間。
女の色気もゼロ。
妹との大げんかで家を飛び出し、24時間営業の百円ショプでアルバイトを始めるが、アルバイト先はダメ人間の巣窟だった。
百円ショプの常連客でボクサーの狩野にデートに誘われて、女に目覚めるが、捨てられる。
ボクシングを始めて生きる目的らしきものを見つけて輝き始める。
- 名前 安藤サクラ
- 生年月日 1986年2月18日
- 出身地 東京都
- ご主人 柄本佑
- ご両親 奥田瑛二、安藤和津
- 曽祖父 犬養毅
- 主な映画作品 「万引き家族(2018)」、「かぞくのくに(2012)」、「0.5ミリ(2011)」
- 主なドラマ 「まんぷく(2018・NHK ・連続テレビ小説)」、「ゆとりですがなにか(2016・日本テレビ・日曜ドラマ)
- 「百円の恋」受賞について
第88回キネマ旬報ベスト・テン 主演女優賞
第39回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞
第57回ブルーリボン賞 主演女優賞
安藤サクラさんのご主人 柄本佑さんが出演している「きみの鳥はうたえる」は若者の青春映画ですが、自由に生きる若者の無茶振りに焦点を絞った作品でした。
狩野祐二(新井浩文)
イケメンボクサー、黙っていればいい男。
しかし、プライドが非常に高く、意外とウジウジしている。
人に指図されること、期待されることが嫌い。
都合のいい女にしか興味がない。
一子を引き立てるためのダメ男の1人。もし、一子と元サヤに戻っても同じことを繰り返しそう。
期待するだけ無駄な男。
この映画にはいろんなダメ男が出てくるが、狩野もダメ男の1人。
- 生年月日 1979年1月18日
- 出身地 青森県
- 国籍 韓国
- 主な映画作品 「松ヶ根乱射事件(2006)」、「ゲルマニウムの夜(2005)」、「青い春(2002)」
感想
安藤サクラさん、綺麗な女優さんなのに一癖も二癖もある個性的な役を演じることが多い。
この映画もそうでした。
安藤サクラさん好きな女優さんですが、冒頭の堕落した生活を送っている斉藤一子を演じているとき、別人か!というぐらい安藤サクラさんのキャラクターが崩壊しており、一瞬ドン引きしました。
それぐらい印象が全く違う。
ニートのアラサー役で、親のスネをかじりながら日々過ごし、家業の弁当屋も手伝わない。
映画の主人公だがダメ人間を絵に描いたような女、それが斉藤一子。
一子もダメ人間ですが、一子を取り囲む人たちもダメ人間ばかりです。
一子が惚れるボクサーは顔はいい男だがプライドが高すぎる。
一子のアルバイト先の男どもは根暗、ネチネチ、おしゃべり、レジのお金を盗むなどダメな人間の巣窟。
映画の初めはダメ人間のオンパレードです。
怒りや、憐れみ、軽蔑の感情が湧き上がってくるぐらいドロドロしています。
このダメ人間の集まりが、映画の後半の一子を引き立てます。
そんな一子が引退間近のボクサーと知り合い、恋をして、共同生活を始めるが捨てられる。
一度見たボクシングの試合の感動を忘れられず、一子自身がボクシングを始める。
ボクシングを始めてからの一子がすごい。
すごい勢いでシャープになって、体の動きも鋭くなる。
2週間しか撮影期間がなので午前と午後で演じ分けすることもしばしばあったそうです。撮影期間、撮影中のエピソードはこちらのインタビュー記事に乗っています。因みに安藤サクラさん中学生時代にボクシングをしていたそうです。
“肉体を使って表現する”ことへの憧れ 『百円の恋』安藤サクラ インタビュー – インタビュー&レポート | ぴあ関西版WEB
初めはボクシングのポージングも動きも整っていませんが、夢中になり徐々に上達していく一子の姿がかっこいい。
一子のアルバイト先での、シャドーボクシングなどもどんどん上達していく。
どんなにダメな奴でも、人生の目標を持って死ぬ気になれば道が開ける!ってことを、語っている映画。
一子がボクシングで戦う最初で最後の試合は泣けました。
最後に
ボクシングの試合に出て形勢逆転一発KOとか、憧れのボクサーとよりを戻してハッピーエンドというありきたりの映画ではありません。
そもそも主人公の一子がダメ人間から始まっている時点でありきたりの映画ではないのですが。
一子がボクシングを通じて輝き始める話は上で紹介した通り。
一子を引き立てるために脇を固める俳優陣たちも、一癖も二癖もあるキャラクターたちも魅力的で一子を引き立てています。
その脇の俳優陣を一部紹介します。
他にも個性的な俳優が出演しており、登場人物が意外と多いんです。
生理的に嫌われる役の人間が多いし、ときおり怒りや、憐れみ、軽蔑といった負の感情を感じる作品ですが、思い出すとまた観たくなる。
そんな中毒性を感じる映画でした。
そういえば、今年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞(最高賞)を受賞した「万引き家族」もそんな負の感情を揺さぶる映画でしたね。
安藤サクラさんの芝居が冴えていました。
安藤サクラさん、改めてすごい女優さんです。
以上、『安藤サクラ主演映画「百円の恋」感想・レビュー(人間の負の感情を揺さぶる映画)』でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
宮川(@miyakawa2449)でした。
それではまた〜♪
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