こんにちは映画ファン宮川(@miyakawa2449)です。
2019年アカデミー賞で三冠(作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚本賞)に輝いた映画「グリーンブック」。
1960年のアメリカ南部では根強い黒人差別がまだ残っていた時代に、黒人差別がほぼ無いアメリカ北部で活躍していた才能に溢れ、名声もある黒人ピアニストのドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)がアメリカ南部でピアノコンサートのツアーを行うことになる。
アメリカの北部と南部では黒人への風当たりが全く違う。
はっきり言えば、アメリカ南部における黒人差別は著しく激しい時代だった。
ドクター・シャーリーはある決意を胸にイタリア系アメリカ人のトニーを運転手に採用し旅に出ます。
生まれも考え方も、価値観も全く真逆の2人が。
この旅がきっかけで生涯の友となる2人の物語が映画「グリーンブック」です。
それでは映画をご紹介します。
映画「グリーンブック」予告編映像
ギャガ公式チャンネルのYouTube「【公式】『グリーンブック』3.1(金)公開/本予告 《本年度アカデミー賞作品賞含む3部門受賞!》」より
映画「グリーンブック」あらすじ
引用元:ABOUT THE MOVIE | 映画『グリーンブック』公式サイトより
時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。
ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。
彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。
二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。
原題 | Green Book |
監督 | Peter Farrelly(ピーター・ファレリー) 代表作『There’s Something About Mary(メリーに首ったけ・1998) |
脚本 | Nick Vallelonga(ニック・バレロンガ) Brian Currie(ブライアン・カリー) Peter Farrelly(ピーター・ファレリー) |
プロデューサー | Jim Burke(ジム・バーク) Charles B. Wessler(チャールズ・B・ウェスラー) Brian Currie(ブライアン・カリー) Peter Farrelly(ピーター・ファレリー) Nick Vallelonga(ニック・バレロンガ) |
製作総指揮 | Jeff Skoll(ジェフ・スコール) Jonathan King(ジョナサン・キング) Octavia Spencer(オクタヴィア・スペンサー) Kwame L. Parker(クワミ・L・パーカー) JohnSloss(ジョン・スロス) Steven Farneth(スティーヴン・ファーネス) |
出演者 | Viggo Mortensen(ヴィゴ・モーテンセン) Mahershala Ali(マハーシャラ・アリ) Linda Cardellini(リンダ・カーデリーニ) |
音楽 | Kris Bowers(クリス・バワーズ) |
衣装デザイン | Betsy Heimann(ベッツィ・ハイマン) |
製作会社 | Participant Media DreamWorks (as DreamWorks Pictures) Amblin Partners Cinetic Media Innisfree Pictures Louisiana Entertainment Storyteller Distribution (copyright holder) Wessler Entertainment |
配給 | アメリカ合衆国 Universal Studios GAGA CORPORATION |
公開 | カナダ 2018年9月11日(TIFF) アメリカ合衆国 2018年11月16日 日本 2019年3月1日 |
上映時間 | 130分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
コピーライト | TM & © 2018 Universal Studios. All rights reserved. |
「黒人用旅行ガイド=グリーンブック」とは
映画「グリーンブック」のパンフレットを購入すると詳しく解説されていますが、黒人ドライバーがアメリカ南部を旅するときに利用していたガイドブックの名前が「グリーンブック」です。
1936〜1966年まで、毎年作成・出版されていた黒人対象の旅行ガイドブックで、黒人が利用できる宿やお店、黒人の日没後の外出を禁止する情報(迂闊に日没後に外出していると逮捕される)などがまとめられています。
黒人が差別や、暴力、逮捕を避けて、車で移動するために欠かせないガイドブックに当時なっていました。
映画「グリーンブック」を理解するためのアメリカ合衆国の歴史
アメリカ合衆国での奴隷制度の歴史は植民地時代の1600年代まで遡ります。
アメリカ建国の1776年7月4日以降もアメリカ全土で行われていた奴隷制度。
奴隷はほとんどが黒人でした。
しかし、時代が流れて奴隷制度が誤っているという風潮がアメリカ国内で生まれます。
そして、ついに奴隷制度廃止を契機とした内戦がアメリカ合衆国で勃発しました。
1861年から1865年にアメリカ内部で起きた南北戦争(American Civil War)です。
奴隷制度撤廃を掲げるアメリカ合衆国の北部諸州を代表する正規軍と、奴隷制度存続を訴えるアメリカ連合軍(南部諸州)との戦争です。
当時、アメリカ合衆国の大統領だったエイブラハム・リンカーンが1862年9月、連邦軍の戦っていた南部連合が支配する地域の奴隷たちの解放を命じます。
これを「奴隷解放宣言」といい、このあと「奴隷解放運動」が活発化していきます。
映画「グリーンブック」の時代のアメリカ
映画の舞台のとなるのは、奴隷解放宣言が発令してからおよそ100年後の1960年代のアメリカ。
当時は「アフリカ系アメリカ人公民権運動」が活発に行われていた時代です。
公民権運動とは簡単に言えば「黒人に公民権(市民権・選挙権)を与えて、人種差別を解消する」大衆運動です。
1862年後の奴隷解放宣言を機に黒人奴隷制度は廃止されていきましたが、これに不満を持つアメリカ南部の人たちは多く、その不満が黒人差別に繋がっていました。
映画「グリーンブック」感想・レビュー
主演はヴィゴ・モーテンセンが演じるトニーですが、マハーシャラ・アリが演じるドクター・シャーリーがもうかっこよすぎて、可愛くて僕はドクター・シャーリーの方が好きでした。
じゃあ、ドクター・シャーリーがいればいい映画かと言えば、そうではなくてトニーとドクター・シャーリーが2人で1人。
マフィアの用心棒をしていて教養よりも腕っ節と、話術で世の中をわたるトニーは黒人差別主義者でした。
ドクター・シャーリーはアメリカ生まれであり、幼い時にロシアの音楽学校に入れられて、アメリカでも差別とは無縁のアメリカの大学に入れられて、黒人差別をほぼ受けたことがない環境で育っていました。
全く、正反対の2人が最初は「ギャラ」というお金の縁でアメリカ南部を旅しているんだけど、トニーもドクター・シャーリーも少しずつ距離が縮まっていき、信頼関係が強固になっていく姿が観ていてすごく感動的でした。
トニーもドクター・シャーリーもそれぞれに違ったコンプレックスを持っていて、お互いに欠けている部分を補い合っていたようにも見えていました。
映画「グリーンブック」をキャストで振り返る
トニー・”リップ”・バレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)
ニュー・ヨークでイタリア系マフィアのボディーガードをしている男トニー・“リップ”・バレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)。
腕っぷしと、話術でどんなトラブルも解決するトニーだが、教養や品性はなくガサツな男。黒人に対して印象はよくなく、彼にとっては差別の対象だった。
- Viggo Mortensen(ヴィゴ・モーテンセン)
- 生年月日 1958年10月20日
- 出生地 アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市
- 主な映画出演作品
- A Dangerous Method(危険なメソッド・2011)/ジークムント・フロイト 役/ゴールデングローブ賞 助演男優賞ノミネート・バンクーバー映画批評家協会カナダ・助演男優賞受賞など
- The Road(2009)/第5回ユタ映画批評家協会賞主演男優賞受賞・放送映画批評家協会賞主演男優賞ノミネートなど
- The Lord of the Rings(ロード・オブ・ザ・リング・2001, 2002, 2003)三部作/アラゴルン 役/多数受賞&ノミネート
ドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)
1927年生まれの黒人ピアニスト、ドクター・ドナルド・シャーリー。
9歳からロシアのレニングラード音楽院に生徒になり、後にピアニスト、作曲家、編曲家として活躍。
複数の博士号を持っていることからドクターと呼ばれている。
カーネギーホールの上にある高級マンションに住み、ホワイトハウスでの演奏経験もある実力派。
黒人差別が色濃く残るアメリカ南部を旅する彼の目的は?
- Mahershala Ali(マハーシャラ・アリ)
- 生年月日 1974年2月16日
- 出生地 アメリカ合衆国 カリフォルニア州オークランド
- 主な映画出演作品
- Moonlight(2016)・アカデミー賞作品賞/フアン 役/アカデミー助演男優賞受賞・英国アカデミー賞 助演男優賞ノミネート・ゴールデングローブ賞助演男優賞ノミネート
- Predators(2010)/モンバサ 役
- The Curious Case of Benjamin Button(ベンジャミン・バトン 数奇な人生・2008)/ティジー 役
ドロレス(リンダ・カーデリーニ)
トニー・リップのキュートな奥さん。
トニー・リップは8週間自宅を留守することとなり、ドロレスに手紙を書くことを約束する。
ガサツなトニー・リップにどんな手紙が書けるのか楽しみ。
トニー・リップが旅する間に彼の深層心理の変化にいち早く気がつくことになる。
- Linda Cardellini(リンダ・カーデリーニ)
- 生年月日 1975年6月25日(43歳)
- 出生地 アメリカ合衆国カリフォルニア州レッドウッドシティ
- 主な映画出演作品
- Avengers: Age of Ultron(アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン・2015)/ローラ・バートン 役(クリントの妻)
- Scooby-Doo 2: Monsters Unleashed(スクービー・ドゥー2・2004)/ヴェルマ 役
- Scooby-Doo(スクービー・ドゥー・2002)/ヴェルマ 役
プロデューサー兼、脚本家ニック・バレロンガ
ニック・バレロンガは映画「グリーンブック」のプロデューサーであり、脚本家の1人です。
バレロンガは、トニー・リップのラストネームです。
そう、トニーの実の息子であるニックがこの映画化を実現した立役者の1人です。
自分の父親が昔した旅の物語をずっと映画化したいと考えていたそうです。
映画「グリーンブック」のパンフレットの後半で「PRODUCTION NOTES」というタイトルで2ページに渡って思いを語っています。
「グリーンブック」を映画化した経緯や監督ピーター・ファレリーとの出会い、ヴィゴ・モーテンセンが演じるトニーが父親そっくりになるエピソードや、当時の美術を再現度の高さ(当時暮らしたトニーのアパートや、ドクター・シャーリーの部屋、車や服装など)など。
最後に
実話を元に作られた映画ですが、とても友情が美しくて楽しい作品でした。
この旅がきっかけで生涯の友人になる2人。
最初はお互いの価値観が違い、行き違いが多々ありますが、足りないところを補い合うことでトニーとシャーリーの信頼関係が生まれ、そして、友情が芽生えていく素晴らしい作品でした。
「差別はいけないことだ」「間違っている」ということを声高に非難する映画ではありませんが、幾多の困難を超えて友情を育んだ2人の間に「人種の違い」というものは関係ありませんでした。
差別や攻撃してくる相手だとしても、価値観や考え方を否定するのではなく、相手の考えを受け入れた上で、自分がどうしたいか考えて行動することが大切。
そして、やりたいことをやりきった先に納得のいく答えが見つかる。
そんな作品だと私は解釈しました。
以上、『映画「グリーンブック」感想・レビュー(アメリカの南北戦争まで黒人差別の歴史を遡るとより深く理解できる)』でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
映画ファン宮川(@miyakawa2449)でした。
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コメント
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