ミステリーホラー映画『犬鳴村』感想・レビュー・考察(実在する都市伝説・呪いの物語)

映画『犬鳴村(いぬなきむら)』 ホラー
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映画『犬鳴村(いぬなきむら)』はダムの下に沈んだいまなき街、実在する都市伝説、実在する心霊スポット。

ここにハリウッドが認めた清水崇監督と、脚本家保坂大輔がタッグを組むことで完全オリジナルのジャパニーズホラー映画が誕生した。

リメイク版“The Grudge”(邦題『THE JUON/呪怨』)で日本人監督として初の全米興行成績No.1を獲得。続く“The Grudge 2”(邦題『呪怨パンデミック』)も全米No.1。

世界も注目している清水崇監督の最新作「犬鳴村」。

過去の『呪怨』と比べると、驚かせるホラーは控えめ。
主人公の森田奏(三吉彩花)を取り囲むミステリー・サスペンスが物語の主軸であり、ミステリーホラー映画といった印象が強い作品でした。

もし、『呪怨』や『リング』といった昔からのホラー映画のテイストを求めて映画を観ると肩透かしを食らうかもしれませんよ。

『犬鳴村』の詳しい魅力は後に述べる『感想・レビュー・まとめ』をご覧ください。

その前にあらすじと予告の紹介です。

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映画『犬鳴村(いぬなきむら)』あらすじ

引用元:映画『犬鳴村』公式サイトより

臨床心理士の森田奏(かなで)の周りで突如、奇妙な出来事が起こり始める。
「わんこがねぇやに ふたしちゃろ〜♪」
奇妙なわらべ歌を口ずさみ、
おかしくなった女性、
行方不明になった兄弟、
そして繰り返される不可解な変死・・・。

 

それらの共通点は心霊スポット【犬鳴トンネル】だった。
「トンネルを抜けた先に村があって、そこで××を見た・・・」
突然死した女性が死の直前に残したこの言葉は、
一体どんな意味なのか?
全ての謎を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルに向かう。
しかしその先には、決して踏み込んではいけない、
驚愕の真相があった・・・!

映画『犬鳴村(いぬなきむら)』予告編

YouTube : 東映映画チャンネル(公式)より

犬鳴村 予告 60秒

2020年2月7日公開「犬鳴村」の最凶の予告解禁!
九州に実在する最恐の心霊スポット旧犬鳴トンネル。その先には”犬鳴村”と呼ばれる村があるという。決して触れてはいけない”犬鳴村”がホラー映画の第一人者・清水崇によって禁断の映画化!

心臓が弱い人は見ないでください

予告編は文句なしに、『ザ・ホラー映画』でした。

非常に怖い映画の予感を感じさせてくれます。
とはいえ、全年齢対象のホラー映画なので、本編は予告編程の怖さは控えめだったかもしれません。

なので、怖さを期待だけさせて、実際は「あれ?」という印象を覚えた人もいたかもしれません。

映画『犬鳴村』基本情報

キャスト 三吉彩花
坂東龍法
古川毅
宮野陽名
大谷凛香
海津陽
奥菜恵
高嶋政伸
高島玲子…etc
監督 清水崇
脚本 保坂大輔
清水崇
原案 清水崇
保坂大輔
紀伊宗之
企画プロデュース 紀伊宗之
プロデューサー 中林千賀子
撮影 福本淳
上映時間 108分
著作権 (C)2020 「犬鳴村」製作委員会

映画『犬鳴村』感想・レビュー

『犬鳴村 』 この場合、幽霊とゆうべきか、見せ方やタイミングが最高に怖い

ストーリー展開もいい。 去年観た某和製ホラーの某シリーズは怖くなかったし、今回は満足。 犬鳴村の見せ方がサイコウに怖い。
演技も振り切ってて不気味さが増してる俳優も。

120分前後のホラー映画は海外作品、国内作品問わずホラーだけではなく、ドラマ性が強くなる傾向があるのでそのつもりで観に行きましたが、正解でした。

リングや呪怨(じゅおん)のように90分前後で畳み掛けるように勢いで怖がらせる作品ではなく、120分使って犬鳴村と主人公 森田奏(三吉彩花)の背景を描いて、ジワジワ怖がらせてくる感じです。

清水崇監督は流石ですね。 詳しく知らなかったのですが、ハリウッドで評価されている監督だし、ホラーもコメディもなんでもできるって、ジェームズ・ワンみたい。 最高でした。

テンポがいい。
よくある『何かがおきそう。ああ、思ったとおり』といった安っぽい先読みができないし、先読みしてもいい方向で裏切られます。

現代の日本が舞台のはずなのに、昭和らしい懐かしい怖さの匂いがする。
それでいて現代観のリアリティーが伝わってくるこの作品の魅力。

映画『犬鳴村』は今までを否定し、新しい挑戦を感じさせる

ホラー映画を見始めた人にはちょうどいい怖さの映画だと思います。

逆にいろんなホラー映画を見比べていて耐性ができている人には物足りない作品かも?と思いました。

例えば、『リング』『呪怨』シリーズのノリで見ると物足りなさは残ります。

『リング』は「呪いのビデオテープ」「映像をみた者は1週間で死ぬ」「貞子」とわかりやすいホラー要素がつまり、全体的にストーリーよりも「呪いと死」という恐怖要素が常に見るものを襲います。

『呪怨』は『犬鳴村』の監督でもある清水崇監督がヒットさせたシリーズ。
「呪いの家」に訪れた人は誰もが悲惨な人が死をとげるという物語。
ここにもストーリー性は無い。
あるのは「不気味さ」と「暴力的な呪い」だけ。

今回の『犬鳴村』は清水崇監督の『呪怨』シリーズのような、「不気味さ」や「暴力的な呪い」はあまり姿を見せず、「怪談ストーリー」が物語の中心を貫いていたのが特徴でした。

全年齢対象のホラー映画なので、ホラー映画というよりは横溝正史や京極夏彦のミステリー作品に本物の物の怪が出てきたような映画だと思っていただけたらわかりやすいでしょう。

(横溝正史・・・金田一耕助シリーズの原作者。八つ墓村、悪魔の手毬唄などが有名で劇場版が多数あり)
(京極夏彦・・・百期夜行シリーズの原作者。「魍魎の匣」はアニメ化、劇場版がありなかなか面白いです)

『犬鳴村』はミステリー風のホラー映画だと思ってみると、ホラー慣れしている人も楽しめる映画だと思います。

今までの『呪怨』の成功体験をいったん忘れて、新しい挑戦に取り組んだ清水崇監督の作品です。

これまでのノリでは楽しめないかもしれません。

まとめ

この『犬鳴村』という映画はホラー映画要素を残しつつ、ミステリー&サスペンス風の映画です。

Twitterを見ると「怖くなかった」「リング・呪怨みたいのを期待していたのに」と残念がる声が多かったです。それもそのはずです、この『犬鳴村』は絶叫系ホラー映画では無いのです。

ホラー映画の昔からのファンにはいまいちな作品だったかもしれませんが、ライト層には十分ニーズのある作品だったと思います。

ストーリーはよく練られているいると思いますので、気になる方は劇場で是非見てほしい作品です。

公衆電話が出てくるシーンでは聞き耳を立ててください。

あることに気が付きますよ。

映画『犬鳴村』の評価

これより『犬鳴村』の解説記事です。

そのため『犬鳴村』のコアに迫ります。
作中のネタに関する紹介も含まれます。
ネタバレしても問題ない人が観てください。
ネタバレごめんっていう方はここから先へすすまないようにしてください。

映画は観たけれど、全体像が曖昧で映画全体を復習したい人向けの記事です。

考察したい人は是非、読んで楽しんでいただければと思います。

逆に映画をまだ観ていない人がこれから先を読むと先入観が植え付けられるので読むことをお勧めしません。

※映画ネタバレ・評価のエリアここから始まります

5段階評価で ★★★☆☆ といったところかと。

個人的には楽しめたし、面白かった。

怖いことは怖かった。

ホラー映画として観るとホラー映画風の要素はたくさんでているが、「呪怨」や「リング」のように恐怖要素が「線」として繋がっておらず、全ての恐怖要素が「点」で存在している。

簡単にまとめると振り切った怖さは少なくて、サスペンス、サイコパス、ホラーを小出しに繋いでいるように見えました。
だから「恐怖の持続」や「恐怖の相乗効果」がこの映画は弱い。

そして、主人公の森田奏を演じた三吉彩花さんですが、彼女からは恐怖が伝わってこない。

どういう演技指導なのかわからないが、三吉彩花さんが演じる森田奏は怖さよりも自分の出生に不信をいただき、自分が何者なのか調べようともがいているだけに見える。
怪奇現象には関心がない様子。

だから、彼女の演技からは怖さが伝わってこない。

主人公が恐怖を押し殺していたら、観ている側も冷静になってしまいがちでは無いだろうか。

一族の物語だが肝心のモノが見えてこない

映画『犬鳴村』より

映画『犬鳴村』より
(C)2020 「犬鳴村」製作委員会

この映画には様々な一族が出てきます。

まず、主人公 森田奏の一族であり、昔から裕福な森田家。

森田家の長男 森田悠真がお付き合いしている西田明菜(大谷凛香)の西田家は一般的な庶民で父親は森田家に頭が上がらない。

森田家と昔から懇意にしている間柄で主治医を務める、山野辺家の山野辺医師。そこはかと怪しげな雰囲気を醸し出している。

これだけではない、森田奏が担当している遼太郎(笹本旭)は人には見えない何かが見えているらしい。

犬鳴村と都市伝説を映画で描くために複雑な人物相関を描いてしまった。

また、細かい設定がされていることがパンフレットには描かれているが、作中では表現されないため伝わってこないのだ。

せっかく緻密な背景を設定し、映画を表現という媒体に用いていて作中で伝えられなければわからない。

例えば、籠井家の設定だがパンフレットではこうだ。

『犬鳴村の一族で村の長を務める。代々、村の禰宜(ねぎ)・巫女として神事を執り行う一家。殊(こと)に女性は、犬と交わりを持つことで犬の言葉を操り、霊的能力を持つと伝えられる。<山犬の精霊>の言葉を口寄せし、飢餓や災害を乗り越えてきたと伝えられる』

この設定だが映画を観ていても描かれていないため、知っているか、知らないかで怖さが変わってくると思う。

しかも、映画の中で出てくる「籠井摩耶(宮野陽名)」だが、『呪怨』でおなじみの伽椰子と剛雄を両親に持つという設定だが、本編では1ミリも触れていない。

せっかく設定されていても本編で描かれないのではもったいなさすぎる。

複数の一族が複雑に絡み合い、サイコパスな一面が幾重にも見えそうだが、伝え切れていない。

なんとも歯がゆい映画だった。

映画慣れしていて、登場人物の背景や心情変化を巧みに読み取れば非常に楽しめる映画だったが、そうでなければ面白さが伝わらない人も多かったかもしれない。

先の『まとめ』でも述べたが、絶叫系ホラーを期待していると怖く無いので、この映画はミステリー&サスペンス映画を観る流れでホラーを楽しむと面白い作品ではなかったかと、今にして思っています。

以上、「ミステリーホラー映画『犬鳴村』感想・レビュー・考察(実在する都市伝説・呪いの物語)」でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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