2019年の第72回カンヌ国際映画祭の幕開けはまさかのゾンビコメディ映画『デッド・ドント・ダイ』でした。
監督はジャンルを問わず活躍しているジム・ジャームッシュ監督の最新作。
登場している俳優陣はほぼ全てジム・ジャームッシュ監督が手掛けてきた数々の映画の出演者たち。
豪華にして多彩なジャームッシュ・ファミリーが総集結した本作。
物語の中心でありゾンビたちの集団に立ち向かっていく田舎警察の迷コンビの2人。
署長クリフ・ロバートソンを演じたのは「ゴースト・バスターズ」「ゾンビランド」のビル・マーレイ。
ロニー・ピーターソン巡査は「スター・ウォーズ」シリーズや「パターソン」のアダム・ドライバー。
ミンディ・モリソン巡査は「ブロークン・フラワーズ」のクロエ・セヴィニー。
葬儀屋ゼルダは「少年は残酷な弓を射る」「ドクター・ストレンジ」「ブロークン・フラワーズ」のティルダ・スウィントン。
例を挙げるとキリがなく、まだまだ続きますが、俳優陣がのびのび演技しているように見える作品です。
コーヒー・ゾンビからWiFiゾンビまで、最高にユーモラスな生ける屍たちに、田舎警察の迷コンビが立ち向かいます。
ゾンビ映画ではありますが、コメディー映画なのでリラックスして力を抜いて楽しめる作品です。
映画『デッド・ドント・ダイ』予告編
YouTube:映画配給会社ロングライド公式チャンネルより
6/5(金)全国公開『デッド・ドント・ダイ』/日本版60秒予告編より
映画『デッド・ドント・ダイ』あらすじ
引用元:映画『デッド・ドント・ダイ』公式サイト|6月5日(金)公開より
警察官が3人しかいないアメリカの田舎町センターヴィルで、前代未聞の怪事件が発生した。
無残に内臓を食いちぎられた女性ふたりの変死体がダイナーで発見されたのだ。
困惑しながら出動した警察署長クリフ(ビル・マーレイ)と巡査ロニー(アダム・ドライバー)は、レイシストの農夫、森で野宿する世捨て人、雑貨店のホラーオタク青年、葬儀場のミステリアスな女主人らの奇妙な住民が暮らす町をパトロールするうちに、墓地で何かが地中から這い出したような穴ぼこを発見。
折しも、センターヴィルでは夜になっても太陽がなかなか沈まず、スマホや時計が壊れ、動物たちが失踪する異常現象が続発していた。やがてロニーの不吉な予感が的中し、無数の死者たちがむくむくと蘇って、唖然とする地元民に噛みつき始める。
銃やナタを手にしたクリフとロニーは「頭を殺れ!」を合言葉に、いくら倒してもわき出てくるゾンビとの激闘に身を投じるが、彼らの行く手にはさらなる衝撃の光景が待ち受けていた……。
映画『デッド・ドント・ダイ』基本情報
- 第72回カンヌ国際映画祭オープニング作品
- 原題:The Dead Don’t Die
- 監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
- 製作:
- ジョシュア・アストラカン
- カーター・ローガーン
- 製作総指揮:
- 波多野文朗
- フレデリック・W・グリーン
- 共同製作:
- キャリー・フィックス
- ベイター・カルネヴァーレ
- 撮影監督:フレデリック・エルムズ
- 美術:アレックス・ディゲルランド
- 衣装デザイナー:キャサリン・ジョージ
- 音楽:SQURL
- オリジナル曲:「THE DEAD DON’T DIE」スタージル・シンプソン
- 製作国:スウェーデン・アメリカ
- 公開年:2019年
- 上映時間:104分
- 年齢制限:R15指定
- © 2019 Image Eleven Productions Inc. All Rights Reserved.
映画『デッド・ドント・ダイ』感想・レビュー
ゾンビコメディ映画でありながら演技、演出、音楽、全ては一流の作り。
超上質なコント映画のような作りでもありました。
伏線の張り方もよく考えられていました。
伏線をしっかり張っておきながら、あえて放置されるものもあり、昨今の伏線をきっちり回収しなくてはいけない風潮に物を申しているようにも感じられました。
昨今の映画は伏線を張り巡らせて、きっちり回収しないと終わらない映画が多すぎる。
この映画ほどざっくりと作り込まれた脚本の方が真実味もでてきます。
ゾンビ映画というとゾンビが人を襲い、肉を食いちぎる映像が全体を覆うイメージが強いが、今作は違う。
ゾンビたちが生前の欲望に従い動く様があまりにも人間らしさを演出しており、現代の人間の多くが欲望に振り回されている姿としても表現されているように見えました。
コーヒーが大好きなコーヒーゾンビ、Wi-Fiを探すWi-Fiゾンビ、スマホの画面を覗きながらゴソゴソ集団で動き回るスマホゾンビ、あまりにも滑稽な様子ではあるが、その容姿はゾンビのそれである。
現代人への警告とも取れる演出がそこにはありました。
R15指定映画なのでゾンビや死体の描写は容赦ない作りですが、ストーリーはゆるいゾンビコメディーで意外な作りで面白かったです。
映画『デッド・ドント・ダイ』をキャストで振り返る
クリフ・ロバートソン署長(ビル・マーレイ)
平凡な田舎町の平凡な警察署の署長のクリフ。
警察署とは名ばかりで署員は自分を含めて3人だけ。
平凡な事件も起きそうもないど田舎で、突然猟奇殺人の知らせを受けて駆けつける。
- Bill Murray(ビル・マーレイ)
- 生年月日 1950年9月21日
- 出身地 アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ
- 主な映画出演作品
- The Dead Don’t Die(デッド・ドント・ダイ・2019・ジム・ジャームッシュ監督)/ クリフ・ロバートソン 役
- The Grand Budapest Hotel(グランド・ブダペスト・ホテル・2014) / M.アイヴァン 役
- Broken Flowers(ブロークン・フラワーズ・2005・ジム・ジャームッシュ監督)/ 主演 ドン・ジョンストン 役
- Ghost Busters(ゴーストバスターズ・1984)/ 主演 ピーター・ヴェンクマン博士 役
ロニー・ピーターソン巡査(アダム・ドライバー)
平凡な町の平凡な巡査ロニー・ピーターソン。
クリフが現場検証している猟奇殺人現場に訪れて、事件の犯人はゾンビの仕業に違いないと断定するピーターソン。
彼は何かを知っているのか?そして、事あるごとに不吉な事態の結末を予言する。
なお、ジム・ジャームッシュ監督が監督を務めた映画「パターソン」でアダム・ドライバーが演じた主人公の名前からもじられている。
- Adam Driver(アダム・ドライバー)
- 生年月日 1983年11月19日
- 出生地 アメリカ合衆国カリフォルニア州
- 主な映画出演作品
- The Dead Don’t Die(デッド・ドント・ダイ・2019・ジム・ジャームッシュ監督)/ ロニー・ピーターソン 役
- Star Wars: The Rise Of Skywalker(EP9 スカイウォーカーの夜明け・2019) / カイロ・レン 役
- Marriage Story(マリッジ・ストーリー・2019) / チャーリー・バーバー
- BlacKkKlansman(ブラック・クランズマン・2018) / フィリップ・“フリップ”・ジマーマン刑事 役 / アカデミー助演男優賞ノミネート・ゴールデングローブ賞 助演男優賞ノミネート・英国アカデミー賞 助演男優賞ノミネート
- Star Wars: The Last Jedi(EP8 最後のジェダイ・2017)/ カイロ・レン 役
- Paterson(パターソン・2016・ジム・ジャームッシュ監督) / 主演 パターソン 役 / ロサンゼルス映画批評家協会賞主演男優賞受賞
- Star Wars:The Force Awakens(EP7 フォースの覚醒・2015) / カイロ・レン 役
- Hungry Hearts(ハングリー・ハーツ・2014) / ジュード 役 / ヴェネツィア国際映画祭男優賞受賞
ミンディ・モリソン巡査(クロエ・セヴィニー)
警察署紅一点の女性署員のミンディ。
猟奇殺人事件、ゾンビの出現と事態の把握に務めるが、町の混乱がより強くなるに連れて気が弱くなっていく、至って普通な女性。
- Chloë Sevigny(クロエ・セヴィニー)
- 生年月日 1974年11月18日
- 出生地 アメリカ合衆国 マサチューセッツ州スプリングフィールド
- 主な映画出演作品
- The Dead Don’t Die(デッド・ドント・ダイ・2019・ジム・ジャームッシュ監督)/ 巡査ミンディ・モリソン 役
- Broken Flowers(ブロークン・フラワーズ・2005・ジム・ジャームッシュ監督)/ カルメンのアシスタント 役
葬儀屋ゼルダ(ティルダ・スウィントン)
葬儀屋のゼルダ。
死体安置所の隣には和室と仏像と刀を持っていると噂されている謎多き風変わりな(ストレンジ)女性。
- Tilda Swinton(ティルダ・スウィントン)
- 生年月日 1960年11月5日
- 出生地 イングランド・ロンドン
- 国籍 イギリス
- 主な映画出演作品
- The Dead Don’t Die(デッド・ドント・ダイ・2019・ジム・ジャームッシュ監督)/ 葬儀屋ゼルダ 役
- Doctor Strange(ドクター・ストレンジ・2016)/エンシェント・ワン 役
- The Grand Budapest Hotel(グランド・ブダペスト・ホテル・2014)/マダム・D 役
- We Need to Talk About Kevin(少年は残酷な弓を射る・2011)/ 主演 エヴァ 役
- Michael Clayton(フィクサー・2007)/カレン・クラウダー 役/アカデミー助演女優賞 受賞・英国アカデミー賞 助演女優賞 受賞
- Broken Flowers(ブロークン・フラワーズ・2005・ジム・ジャームッシュ監督)/ ペニー 役
- The Chronicles of Narnia:The Lion, the Witch and the Wardrobe(ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女・2005)/白の女王 役
映画『デッド・ドント・ダイ』まとめ
ゾンビは死してなお蘇り、動き回る死体。
だから殺しても死なない。
様々なゾンビ映画があるが、共通している弱点は頭だ。
頭あるいは脊髄を破壊して初めて奴らは動きを止める。
ゾンビが徘徊する理由や人を襲う理由は映画によって異なる説が描かれるが、この映画『デッド・ドント・ダイ』では生前の欲に起因していると描かれている。
どういう事なのかは映画を自分の目で確かめてみて欲しい。
この映画は『怖い』『恐ろしい』というよりも、『滑稽な映画』というのが第一の印象だ。
ジム・ジャームッシュ監督とキャストが総出でコント映画を撮っているようなものです。
ユーモアを楽しんでいただきたいユニークなゾンビコメディ映画でした。
以上、「映画『デッド・ドント・ダイ』感想・レビュー(死なない死者と、死んでるように生きる生者)」でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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