こんにちは映画大好き宮川(@miyakawa2449)です。
公開初日 9/7 に映画「MEG ザ・モンスター(原題: The Meg)」を観てきました。
絢爛豪華な贅沢な映画です。
すごいですよ。
「MEG ザ・モンスター」は予算も、スタッフも、キャスト、シナリオなど全てつぎ込めるモノのはつぎ込んで挑んだ作品です。
娯楽映画としての最高の映画です。
製作費・広告費合わせて 3 億ドル以上。
監督はクールランニングのジョン・タートルトーブ監督。
俳優はジェイソン・ステイサム、李冰冰(リー・ビンビン)、レイン・ウィルソン他。
撮影シーンは海底、海中、海上、海洋基地に潜水艇各種、ヘリコプター、爆弾、銃撃、海水浴場と多岐に渡り、何もかもが詰め込まれた欲張りな映画です。
話のネタに観ておいて損はありません。
絶対楽しめます。
さて、サメが出てくる海洋パニック映画を語るとき「ジョーズ(原題:JAWS)」1975 年は絶対にはずせません。
「ジョーズ」はスティーブン・スピルバーグ監督の出世作であり、当時 28 歳でした。
「ジョーズ」は海洋パニック映画の金字塔であり、このジャンルでは不朽の名作と言われています。
「ジョーズ」以降、サメを使った海洋パニック映画が多数作られていますが、全てがB級映画止まりと言われています。
「MEG ザ・モンスター」を観た後、どうしても「ジョーズ」が観たくなったので昨日、YouTubeで 400 円(HD版)で観ました。
「ジョーズ」が何故サメ映画で不朽の名作として君臨し続けるのか、その魅力に今日は迫ってみたいと思います。
映画「ジョーズ」1975年
映画「ジョーズ」のあらすじ
アメリカの田舎町アミティの浜辺に女性の遺体が打ち上げられた。
検死官から「サメの襲撃」という検死結果報告を受けた、警察署長のマーティン・ブロディ(ロイ・シャイダー)は遊泳禁止の準備を始める。
しかし、夏の観光収入が入らなくなることを危惧する、市長と町の有力者たちの反対で署長ブロディは遊泳禁止を断念。
その結果、海で泳いでいた少年がサメの第2の被害者になる(スティーブン・スピルバーグ監督作品の中では珍しく子どもが犠牲者になった)。
被害者少年の両親がサメ退治に賞金をかけたことで、全米から賞金稼ぎが現れて町は大混乱に。
署長ブロディは混乱する町をおさめようと奮闘する傍ら、海洋学者マット・フーパー(リチャード・ドレイファス)に協力を要請する。
フーパーは被害者の遺体をみると、非常に大型のサメの仕業だと見抜いた。
集まった賞金稼ぎのあるチームが一匹のイタチザメを捕まえて、町のみんなはこれで平和になったと安心する。
しかし、海洋学者のフーパーは遺体に残されたサメの歯形よりも、イタチザメのサイズが小さいため他にサメがいることを主張し、被害者たちを襲ったサメであるかどうか確認するため解剖を訴える。
しかし、市長はそれを拒んだ。
署長と海洋学者は巨大なホオジロザメが近海にいることを突き止めるが、証拠を出すことができず、事態は進展しないまま海開き当日を迎える。
そして、大勢のリゾート客で溢れる浜辺にサメが現れ、浜辺は大パニックになり第 3 の犠牲者が、、、。
市長もようやくことの重大さを理解し「サメ退治」を認め、署長ブロディ、海洋学者フーパー、漁師クイントの3人がサメ退治に海へ向かう。
監督 | スティーブン・スピルバーグ |
---|---|
脚本 | ピーター・ベンチリー カール・ゴッドリーブ |
原作 | ピーター・ベンチリー |
製作 | デイヴィッド・ブラウン リチャード・D・ザナック |
出演 | ロイ・シャイダー ロバート・ショウ リチャード・ドレイファス |
受賞 | 第48回アカデミー賞(作曲賞、音響賞、編集賞を受賞) |
「MEG ザ・モンスター」については次の記事をご覧ください
「ジョーズ」以外は B 級作品と言われる理由を考察してみた
「ジョーズ」は「ジョーズ」だし、「MEG ザ・モンスター」をはじめとした他の海洋映画は全く別の作品ですから、比較するのはナンセンスです。
しかし、「ジョーズ」以降のサメ映画は「ジョーズ」と比較して、なぜB級映画と言われるのでしょうか。
「ジョーズ」は 1975 年公開で予算も少なく、スピルバーグは当時 28 歳でキャリアも浅い若手の監督でした。
しかし、「ディープブルー」も今回の「MEG ザ・モンスター」も莫大な予算があり、監督も俳優陣も一流どころです。
予算もスタッフも、俳優も、脚本も計算し尽くされていても「ジョーズ」を超えられない壁があるとすれば、何が理由なんでしょうか?
何もない映画「ジョーズ」、全てを備えた映画「MEG ザ・モンスター」
「ジョーズ」の映画は実にシンプルです。
現代の映画と比較すると本当に何もありません。
驚きますよ。
ジョーズ | MEG ザ・モンスター | |
---|---|---|
ターゲット | ホオジロザメ(大きくても 8 m弱) | MEG(27m)・・・200〜260 万年前に絶滅したため存在しない |
CG/VFX | ありません | VFX 使いまくり |
SF要素 | 全くありません | 新発見の海底ワールド 深海探査艇 海洋調査基地 |
主人公 | 中年で海が苦手なうだつが上がらない警察署長(ロイ・シャイダー) | 筋肉バキバキでハンサムな男(ジェイソン・ステイサム) |
ヒロイン | いません | 中国系美人 (リー・ビンビン) |
海洋学者 | 中年のサメのオタク(リチャード・ドレイファス) | 中国系美人でヒロイン役(リー・ビンビン) |
助っ人 | アル中っぽい漁師の偏屈じいさん(ロバート・ショウ) | ヒロインをはじめ、何人ものスペシャリストがいます |
トラブルを拡大する大バカ者 | 市長、サメの事実を隠蔽します | 莫大な予算を持つ出資者。MEGを捕獲するように指示をだします。 |
ド派手な救出作戦 | ありません 被害者が出るばかり |
何度かあります |
装備 | 中古の古い船 1 艘 銛(もり) 警官装備の拳銃 1 丁 ライフル 猛毒 浮き 3 つ 酸素タンク 2 個 |
ネタバレになるので詳しく書きませんが、超近代的な装備が多数 |
上記表の通り、「ジョーズ」は SF 要素は皆無です。
ハンサムで運動神経抜群で筋肉バキバキな主人公は「ジョーズ」にはいません。
残念ですが、うだつが上がらない中年の海が苦手な警察署長が主人公です。
実在する「ホオジロザメ(大きくなっても 8m 弱)」がターゲットです。
ヒロインも、大掛かりな救出する作戦もありません。
あるのはただ、「サメが出た」「死人が出た」「サメを退治しないといけない」という事実と、それに立ち向かう中年男子 3 人の死闘だけです。
それでも「ジョーズ」が名作と言われ続けるということは、映画の評価は予算やキャスト、シナリオだけでは決まらないことを証明しているように思えます。
なかなか出てこないジョーズの「ホオジロザメ」と、出たがり「MEG」
何もない「ジョーズ」はそれだけシンプルな演出で映画を構成できるという点で、メリットがあり他の映画たちより優っているのかもしれません。
構成要素を増やせば増やすだけ、伏線が増え、話が大きくなりすぎます。
伏線が増えれば、伏線を回収しようにも話の 1 つ 1 つのエピソードが短くなってしまい、伝わりにくい話になってしまう恐れがあるからです。
この現象は「MEG ザ・モンスター」でも同じことが言えました。
作中で「ジョーズ」のターゲットである「サメ(ホオジロザメ)」は2時間ある映画の中でほとんど姿を現しません。
映画が開始されて80分を過ぎてからようやく姿をはっきり確認できるのです。
「MEG ザ・モンスター」は 1 回しか観ていないので、MEG の細かい回数や時間帯は答えられませんが、お腹いっぱいになるくらい見た気がします。
「ジョーズ」ではサメの姿が出てこないにも関わらず、人の恐怖を煽ることができる演出を考えたスティーブン・スピルバーグは天才と言っていいと思います。
実はこれには理由があって、撮影用の機械仕掛けのサメ(ニックネーム:ブルース)が、カメラテスト初日に壊れて海底に沈んでしまったのです。
修理に1ヶ月はかかるということになり、次のエピソードがあったのです。
西村書店
スピルバーグ その世界と人生より翌日にスピルバーグが出した解決案が「サメを見せずに、その存在だけを暗示する。ともかく全身は見せない。」大事なのは、ここにあるヒレ、あそこにある尾、それからどこかにある鼻先だ。
サメがその強烈な偉容を現すまで、その全貌をみることができない。「そのシーンの前までに、サメが度々出てきたり、姿形がはっきり見えていたなら、これほどのショックにはならないはずなんだ。」
ジョーズを見ていて私も感じましたが、サメの姿を見せずに「見えない暗示」だけですごく恐怖を感じさせてくれました。
映画開始 5 分もみたないところで、最初の女性の犠牲者がでますが、ここではサメの姿は一切でてきません。
彼女が泳ぐ海の下に「何かがいる」という暗示と、演技と音楽の3つの相乗効果で恐怖がすごく伝わってきます。
第 2、第 3 の被害者が出るときも全容は一切出てこないのです。
「何もない」ことで怖さを演出できたというのはすごいと思います。
サメの大きさよりも、恐怖をどう演出するか、そこがやはりポイントなのでしょう。
しかし、カメラテスト初日に機械仕掛けのサメが壊れず、成功していたら、「ジョーズ」はまた違った映画になっていたかもしれません。
偶然のトラブルが、スティーブン・スピルバーグを追い詰め、結果としていま評価されている名作「ジョーズ」を完成させたのではないでしょうか?
同じ映画はもちろん誰にも撮れないし、超えることはとても難しいのかもしれません。
トラブルを味方にしたスティーブン・スピルバーグはやはり天才としか言いようがありません。
海洋撮影した監督は 2 度と海での撮影をやりたがらない
海の撮影は「シーン」と「シーン」を繋ぐのが大変だそうです。
それはなぜか?
海は生きており、自由にできないからです。
波の大きさや方角、光の反射、遠くに映る邪魔なモノ、そう言った条件を整えて撮影に挑もうとすると、1 日準備して 1 カットすら撮れないことも多々あるそうです。
「ジョーズ」ではそのため撮影は順調には行えず、撮影期間が延びに延びて、制作予算は莫大に膨れ上がり、制作中止が検討されていました。
実際、スティーブン・スピルバーグ監督も撮影中止を迫られたそうですが、多くのプレッシャーの中で 28歳の彼は撮影をやりきりました。
スピルバーグ自身も言っています。「次の映画は乾いた土地で撮るよ。それこそバスルームのシーンだって出すものか」。
「MEG ザ・モンスター」のジョン・タートルトーブ監督も、海洋撮影にはかなり苦労をさせられていたようです。
そう考えると一発勝負の海洋映画で A 級評価をとるのは至難の技かもしれませんね。
結論として
はじめに断っておきますが、今から書く話は作品の良し悪しを決めるモノではありません。
作品の特徴の話です。
「ジョーズ」は海洋パニック・ホラー・サスペンスのドキュメント映画だと私は考えます。
そして、「MEG ザ・モンスター」は海洋パニック・ホラー・サスペンスの娯楽映画です。
観た人に自然の脅威を「サメ」という姿を借りて伝えようとしているのが「ジョーズ」です。
ドキュメンタリー映画に近いんです。
俳優陣や映像ももちろん見せていますが、サメの恐怖を通じて自然の脅威の事実(ドキュメント)を伝えている映画です。
逆に「MEG ザ・モンスター」は観た人に「主人公 ジョナス・テイラーたちの活躍を見せる」映画です。
最新の VFX 映像、有名俳優の演技やアクションを前面に押し出した完全娯楽作品。
ユーモアが優っている映画です。
観せる方向性、目指している点が違うんです。
「自然の脅威の前に人は無力なんだ」ということを伝えるドキュメンタリー映画、それが「ジョーズ」だとすれば、どんな娯楽作品を持ってきても「ジョーズ」を超えられないのもうなずけます。
土俵が違うんですから。
1975 年、スティーブン・スピルバーグ監督は海と戦っていたのです。
海に負けない、屈しない新しい監督が出てきたら「ジョーズ」を超える作品がでてくるかもしれませんね。
以上、『サメ映画「MEG ザ・モンスター(2018)」と不朽の名作「ジョーズ(1975)」比較してみた』でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
宮川(@miyakawa2449)でした。
それではまた〜♪
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