映画『ドクター・スリープ』が2019年11月29日から日本でもいよいよ公開されました。
映画『ドクター・スリープ』はベストセラー作家スティーヴン・キング原作であり、巨匠スタンリー・キューブリック監督(1928年7月26日 – 1999年3月7日)が映画化した『シャイニング(1980)』の40年後の世界を描いた作品です。
映画『シャイニング』は当時大ヒットしたホラー映画として有名です。
ただ、ホラー映画と言ってもドラマ性が強く、ただ驚かせるだけではないのが『シャイニング』『ドクター・スリープ』の特徴であり魅力です。
『シャイニング』ではホラー要素は控えめでしたが、今回の『ドクター・スリープ』はホラー要素、怪奇性、シャイニング(特別な力)を出し惜しみなく描かれていました。
150分という長い時間もそれほど気になりませんでした。
今回はこの映画を楽しむために大切なポイントを順をおって紹介し、最終的には4つのキー・ポイントを紹介します。
映画『ドクター・スリープ』予告編映像
YouTube『ワーナー ブラザース 公式チャンネル』より
映画『ドクター・スリープ』本予告60秒 2019年11月29日(金)公開
この予告編はよくできていました。
ときどき予告編と同じ流れになる映画があったりしませんか?
劇場で観ていると、『この後、あの予告編の展開に繋がりそう。オチも見える。』と感じる感覚です。
しかし、この予告編はそんなことはありません。
1つ1つのシーンが独立しており、展開も早いので本編がどうなるんだろう?
と期待に満ちる予告編でした。
『おかえりなさい、ダニー!』めっちゃ怖いですよ。
オーバールックホテルも全ての幽霊たちも全て新しく撮られています。
当時の映像はありません。
実に映画に期待できる予告編でしたし、予告編負けもない最高の作品だったと思います。
映画『ドクター・スリープ』あらすじ
引用元: 公式サイト 映画『ドクター・スリープ』公式サイト 大ヒット上映中!
40年前の惨劇を生き延びたダニー(ユアン・マクレガー)は、心に傷を抱えた孤独な大人になっていた。
父親に殺されかけたトラウマ、終わらない幼い日の悪夢。
そんな彼の前で起こる児童連続失踪事件。
ある日、ダニーのもとに謎の少女アブラ(カイリー・カラン)からメッセージが送られてくる。
彼女は「特別な力(シャイニング)」を持っており、事件の現場を“目撃”していたのだ。
事件を謎を追う二人。
やがて二人は、ダニーにとって運命の場所、あの“呪われたホテル”にたどりつく。
“呪われたホテル”の扉が再び開かれるとき、全ての謎が明かされる。
映画『ドクター・スリープ』を見る前に知っておいて欲しい原作『シャイニング』の基本設定
1作目にあたる『シャイニング』を知らなくても、『ドクター・スリープ』は楽しめる作りになっていました。
ただ、原作『シャイニング』のキャラクター設定を知っている方がより深く映画を楽しめます。
そこで、原作『シャイニング』から重要と思われるキャラクターとその背景を抜粋してここにまとめます。
ダン(ダニー)・トランス
5歳のとき、父親ジャック・トランスが冬季期間中閉鎖されるオーバールックホテルの管理人の仕事についたため家族で10月から翌年5月までオーバールックホテルに滞在することになった。
ダニーは“シャイニング(かがやき)”と呼ばれる超能力を持っており、他人が考えている思考を読み取ることができた。
また、5歳当時は『トニー』という自分にしか見えない、10歳ぐらいの影の男の子の友達がいた。
『トニー』はいつもダニーの役に立つ未来や過去のビジョンを観せてくれていたが、ある時から恐ろしいビジョンを見せるようになる。
その恐怖のビジョンはこれから向かう『オーバールックホテル』で起きる数々の怪奇現象だった。
そして、『オーバールックホテル』に着いてから彼は様々な恐怖体験をすることになり、最後には自分の父親に命を狙われることになる。
『トニー』は警告するために恐ろしいビジョンを伝えていたということが後々わかる。
ジャック・トランス
ダニーの父親。
ジャックは自分の父親が彼の子ども時代アルコール依存症であり、家族に手を上げていた。
そんな父親になりたくないと、ジャックは恐れていた。
そんなジャックは学校の教師をしていたが、願い叶わずアルコール依存症になり、癇癪(かんしゃく)持ちであった。
自身の癇癪のせいで生徒に手を上げてしまい、学校から追われてしまう。
家族をこよなく愛し、母親のウェンディがヤキモチを焼いてしまうほどダニーとの仲はよい。
断酒を続け、社会復帰をしようと努力を続けていた。
金持ちの友人の口利きにより「オーバールックホテル」の冬季管理人の仕事をもらい、冬ごもりしてる間に新しい作品(作家でもあった)を書き上げ、実績を積みもう一度学校の現場復帰を目指していた。
しかし、『オーバールックホテル』の持つ毒気にやられ、連れてきた家族(妻のウェンディ、息子のダニー)に襲いかかる。
ディック・ハローラン(ハロラン)
“かがやき”を持つ黒人の老人。
オーバールックホテルのコックをしており、初めて出会ったダニーに“かがやき”のことを詳しく教えてくれた、ダニーとっては“かがやき”の師匠である。
ハローランはダニーに“かがやき”を持つ人間は自分たちだけではないこと、また、ダニーは特に強い“かがやき”を持っていることを教えてくれた。
ハローランは映画『シャイニング』で、ダニーの窮地に彼を助けるため、オーバールックホテルに戻ってくるがジャックの手にかかり絶命する。
ハローランは原作では『オーバールックホテル』のダニーの元を目指すまでに、ホテルの力に幾度と襲われるが、無事たどり着き、ダニーたちを町まで連れて行ってくれ、生涯の友だちとなる。
ダニーにとっては師匠であり、よき相談者であった。
オーバールックホテル
『展望台ホテル(オーバールックホテル)』は5つ星の由緒ある高級リゾートホテルである。
コロラドの山奥にあり、政界の重鎮や銀幕スターなど富裕層がおとずれる歴史あるホテル。
10月から翌年の5月中旬まで雪に覆われるため、その間はホテルが休業期間に入る。
ダニーやハローランのように“強いかがやき”を持っていなくても、勘が強いと言われる“弱いかがやき”を持つ人が奇妙な現象を目にしてしまう、そんなホテルである。
どんなホテルでも奇妙な噂というものは1つや2つあるモノだが、1909年に開業し70年近い歴史がある『オーバールックホテル』には“人ならざる意思”が存在していた。
ホテルに魅せられた人間はホテルに取り込まれてしまい、ホテルの手足となってしまう。
オーバールックホテルはダニーを欲していた。
“強いかがやき”を持っていたダニーをオーバールックホテルが取り込もうとするため、ホテルはジャックを取り込みダニーを襲わせることとなる。
もし、原作『シャイニング』を未読の人はぜひ読んで欲しい。
映画版とは全く違うほど恐ろしいホラー小説です。
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映画『ドクター・スリープ』レビュー
映画『シャイニング(1980)』の続編である『ドクター・スリープ』は見事な新作であり、続編の形をしていました。
映画『シャイニング』は原作をかなりカットしており、しかも、エンディングが異なっていました。
そのため今回の映画化にあたり、どのように『ドクター・スリープ』を『シャイニング』に結びつけるのか気になっていました。
例えば、ディック・ハローラン(ハロラン)は原作『シャイニング』では生き延びており、ダニーの行く末に大きな影響を与えています。
しかし、映画版『シャイニング』ではオーバールックホテルのフロアーでジャックの手によって殺められています。
また、前作の舞台となった『オーバールックホテル』自体が原作では消滅していますが、映画版ではホテルが残っています。
映画と原作の違いをまとめて、どのように映像化しているのか気になっていましたが、映画らしくとても自然に繋がっていました。
ぜひ、『ドクター・スリープ』と『シャイニング』の両方の原作を読んで欲しいと思います。
映画『ドクター・スリープ』の私の目で観たあらすじ
『ドクター・スリープ』は『シャイニング』の事件があった数年後、ダニーの子ども時代から物語がスタートしますが、物語の本筋は彼が40代の中年男性になってからです。
ダニーのアルコール依存症から立ち直りたいという気持ちの葛藤を示すヒューマンドラマ。
アブラという少女の“かがやき”の覚醒と、彼女が巻き起こしたサイキックドラマ。
ダニー、アブラの敵となる集団たちとの駆け引きや戦いを表すサスペンス・サイキックアクション。
そして、オーバールックホテルにまつわる呪いと歴史の終着。
この4つが見事に融合した映画になっていました。
1回目観たときはダニーの子ども時代、オーバールックホテルの再現映像(新しい俳優と新しいセット)に最初度肝を抜かれました。
このシーンがあるからこそ、『シャイニング』の続編だと観ているものに理解させることができますが、映像およびセットの再現性が非常に優れていました。
一緒に観ていた連れは『過去映像の使い回しかと思った』といっていましたが、演じている俳優は顔が違っていたので新しく撮り直しています。
オーバールックホテルの映像は作中に何度か出てきますが、今回の映画化にあたり、2週間でセットを組み上げたそうです。
因みに『シャイニング』の当時はセットを組むのに6ヶ月かかっていたとか。
映画『ドクター・スリープ』の中では『シャイニング』で描かれた映像表現がなんども出てくるので、まだ『シャイニング』を未視聴の方はぜひ『シャイニング』を観てから映画館に行くことをおすすめします。
『シャイニング』を未見で『ドクター・スリープ』を観た方は、『シャイニング』を必ず観て欲しいと思います。
おそらくもう1度『ドクター・スリープ』を観たくなるのではないでしょうか。
映画『ドクター・スリープ』のキャスト
ユアン・マクレガー(ダン(ダニー)・トランス)
ダン(ダニー)について多くは上で紹介した通り。
アルコール依存症であり、父親の影とオーバールックホテルの呪い、そして、自分自身の“かがやき”に苦しめられている流浪人。
アメリカ中を旅して、仕事を探して回っていたが、フレイジャー市でのある男との出会いをきっかけに腰を据えることとなります。
- Ewan McGregor(ユアン・マクレガー)
- 生年月日 1971年3月31日
- 国籍 イギリス
- 主な映画出演作品
- Christopher Robin(プーと大人になった僕・2018)/主演 クリストファー・ロビン 役
- The Ghost Writer(2010)/主演 ゴーストライター
- Angels & Demons(天使と悪魔・2009)/ パトリック・マッケンナ 役
- Star Wars Episode I, II, III(1999, 2002, 2005)/オビ=ワン・ケノービ 役
■ダヴィンチコードの続編であり、ユアン・マクレガーが出演している歴史サスペンスミステリー
カイリー・カラン(アブラ・ストーン)
少年ダニーが当時持っていたか、あるいはそれ以上の“強力なかがやき”を操る13歳の少女アブラ。
映画でも物心つく前の幼いアブラが描かれるので、年齢を重ねるごとに“かがやき”がより強力になっていくところを注意深く見て欲しい。
- Kyliegh Curran(カイリー・カラン)
- 生年月日 2005年12月10日
- 出身地 アメリカ合衆国 マイアミ
レベッカ・ファーガソン(ローズ・ザ・ハット)
映画ではダンやアブラと敵対する集団のリーダーとして描かれるローズ・ザ・ハット。
原作『ドクター・スリープ』を読んでいる人は分かると思うが、謎が多い集団である。
レベッカ・ファーガソンが演じるローズ・ザ・ハットが非常に美人で可愛く、そして、恐ろしい。
原作では彼らの集団は『真結族(しんけつぞく)』と呼ばれている。
『真結族』に入ったメンバーは運命と命を共にすることになる。
原作でもたくさんのメンバーが描かれるが、その中でもキーマンになる『真結族』のメンバーはローズ・ザ・ハットを含めても3人だけである。
- Rebecca Ferguson(レベッカ・ファーガソン)
- 生年月日 1983年10月19日
- 出生地 スウェーデン
- 主な映画出演作品
- Men in Black: International(メン・イン・ブラック:インターナショナル・2019) / リザ・スタヴロス 役
- Mission: Impossible – Fallout(ミッション:インポッシブル/フォールアウト・2018) / イルサ・ファウスト 役
- The Greatest Showman(グレイテスト・ショーマン・2017)/ジェニー・リンド 役
- Mission: Impossible – Rogue Nation(ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション・2015) / イルサ・ファウスト 役
■レベッカ・ファーガソンが出演している作品紹介
クロウ・ダディ(ザーン・マクラーノン)
『真結族』でのポジションはローズの右腕であり、恋人でもある。
恋人でもあるが、ローズに接するときは常に敬意を示している。
アンディ(エミリー・アリン・リンド)
『真結族』の新入りで15歳設定。
原作では32歳であり、8歳の頃に実の父親にレイプされた設定になっている。
そのため少女趣味のある大人の男性を憎んでいる。
映画『ドクター・スリープ』まとめ
もし、あなたが映画『シャイニング』を観ていなくても、映画『ドクター・スリープ』は立派に楽しめる映画だったと思います。
世の中には無駄にシリーズの長い映画がたくさん存在します。
また、前作を全て観ないと楽しめないも存在します。
映画とは本来、その作品だけで楽しめるように作るべきだと私は思っています。
この映画『ドクター・スリープ』を見るにあたって必要とされる情報は、全てこの作品の中に含まれていました。
映画『シャイニング(1980)』からほぼ40年経ってからの『ドクター・スリープ』。
正直言えば今更感がありますが、原作者のスティーブン・キングはシリーズ作品以外の続編は描かないことで有名でした。
しかも、巨匠スタンリー・キューブリック(1928年7月26日 – 1999年3月7日)が監督した映画『シャイニング』を非常に嫌っていることでも有名です。
スティーブン・キングの作品はたくさん映画化されていますが、『シャイニング』関して言えば原作者が認めていない作品であったのに、その続編が映画化された。
それだけで話題性があり、興味がそそられました。
上の「映画『ドクター・スリープ』の私の目で観たあらすじ」でも書きましたが、この映画の見所は4つあるんです。
- ダンこと、ダニーのアルコール依存症から立ち直りたいという気持ちの葛藤を示すヒューマンドラマ。
- アブラという少女の“シャイニング”の覚醒と、彼女が巻き起こしたサイキックドラマ。
- ダン、アブラの敵となる集団たちとの駆け引きや戦いを表すサスペンス・サイキックアクション。
- そして、オーバールックホテルにまつわる呪いと歴史の終着。
150分という長尺の映画ではありますが、『40年間』の展開が早いので油断していると映画はどんどん先に進み、終わってしまいます。
注意せずに観ていると『新しいサイキックアクション映画』という印象しか、持ちかねません。
この映画『ドクター・スリープ』という作品を隅々まで見尽くして、余すとこなく楽しむためには今あげた4つのポイントを意識して観て欲しいです。
映画『シャイニング』はもちろんですが、原作本も読んでおくとより、深くスティーブン・キングの世界にのめり込めると思いますが、上下巻合わせて4冊あるので読むのは映画を見終えてからでもいいかもしれません。
3回目を劇場で観ても惜しくない作品だと個人的には思っています。
以上、「映画『ドクター・スリープ』感想・レビュー(楽しむための4つのポイント!)」でした。
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