映画『パラサイト 半地下の家族』
第92回アカデミー賞® 6部門ノミネート‼
【作品賞】【監督賞】【国際長編映画賞】【脚本賞】【編集賞】【美術賞】
第92回アカデミー賞® 4部問で受賞‼
【作品賞】【監督賞】【国際長編映画賞】【脚本賞】
カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドール賞を受賞、そして、この度 第92回アカデミー賞にて【作品賞】【監督賞】【国際映画賞】【脚本賞】を受賞しました。
【作品賞受賞】についてはアジア映画として初の快挙でした。
(2020年2月10日にリライトしました)
定職に付かない家族が、富裕層の家族を騙して仕事を取り、面白おかしく進んでいくコメディー映画のていで、前半がすすんでいく。
『騙して』という言い方を変えれば嘘、詐欺を働き仕事をとっていく。
これがあまりにも簡単に面白ろおかしく仕事をとっていくところは映画ならでは。
しかし、無職でありながらも、それに似合わずそれぞれがある一家を騙しきれるほどの技能を持っているところも興味深い。
持っている技術は高くてもどこかでレールを踏み外してしまい、社会の底辺で過ごすことになってしまった4人家族が主人公の物語だった。
彼らは身元、身分を偽り、ある富裕層の一家に寄生(パラサイト)して生活していくことに。
まずは長男キム・ギウ(チェ・ウシク)が富裕層のパク家の長女パク・ダヘの家庭教師になるのだが、そのギャラの高さに味をしめたギウは、ギウの妹ギジョンをパク家の長男パク・ダソンの家庭教師に推薦し、兄妹はパク家に潜り込んでいく。
この流れがあまりにも滑稽なのだ。
嘘を重ねれば、重ねるほど嘘がバレるぞ!とハラハラして観ていくのだが、観ている側の心配をよそに彼らは順風満帆(じゅんぷうまんぱん)なパラサイト生活を満喫していく。
あまりにも堂々として幸せそうでもある。
自分たちのついた嘘の綻びがパラサイト先の家族にバレそうになりつつも、なかなかバレないハラハラ感がたまらない。
コメディー路線で進んできた映画が後半、突然のミステリー映画の様相を呈する。
彼らの嘘が予想もしていない角度から彼らを脅かしていく。
一難去ってまた一難という言葉があるが、まさにそんな展開なのだ。
パラサイトを続けてきた家族には決して道徳的には共感してはいけないが、彼らの嘘は果たしてバレるのか?
バレないのか?
嘘をつき通した場合、家族の未来は?
いろいろな思考が観ている側の頭を巡ります。
そして、全く想像しない結末が待っています。
全てが想像しない角度から観客を楽しませてくれる、喜怒哀楽、エンターテインメントの全部入りが『パラサイト 半地下の家族』。
カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞(最高賞)受賞に納得した作品でした。
映画『パラサイト 半地下の家族』予告編
YouTube : 公式 BITTERSENDincより
『パラサイト 半地下の家族』90秒予告
映画『パラサイト 半地下の家族』あらすじ
引用元 : 映画『パラサイト 半地下の家族』オフィシャルサイトより
過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク。
そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク。
大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ。
美大を目指すが上手くいかず、予備校に通うお金もない娘ギジョン… しがない内職で日々を繋ぐ彼らは、“ 半地下住宅”で 暮らす貧しい4人家族だ。“半地下”の家は、暮らしにくい。窓を開ければ、路上で散布される消毒剤が入ってくる。
電波が悪い。
Wi-Fiも弱い。
水圧が低いからトイレが家の一番高い位置に鎮座している。
家族全員、ただただ“普通の暮らし”がしたい。「僕の代わりに家庭教師をしないか?」受験経験は豊富だが学歴のないギウは、ある時、エリート大学生の友人から留学中の代打を頼まれる。
“受験のプロ”のギウが向かった先は、IT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸だった——。パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。
更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“ 高台の豪邸”で暮らすパク一家。
この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。
映画『パラサイト 半地下の家族』基本情報
邦題 | パラサイト 半地下の家族 |
英題 | PARASITE |
原題 | GISAENGCHUNG |
出演者 | ソン・ガンホ チャン・へジン チェ・ウシク パク・ソダム イ・ソンギュン チョ・ヨジョン チョン・ジソ チョン・ヒョンジュン イ・ジョンウン パク・ソジュン |
監督 | ポン・ジュノ |
脚本 | ポン・ジュノ ハン・ジヌォン |
製作 | クァク・シネ ムン・ヤング グォン |
プロデューサー | チャン・ヨンファン |
撮影 | ホン・ギョンピョ |
プロダクション・デザイナー | イ・ハジュン |
衣装 | チェ・セヨン |
ヘア&メイク | キム・ソヨン |
音楽 | チョン・ジェイル |
編集 | ヤン・ジンモ |
提供 | CJエンターテインメント |
製作 | Baruson E&A |
製作国 | 韓国 |
公開 | 2019 |
上映時間 | 132分 |
年齢制限 | R12 |
著作権 | © 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED. |
映画『パラサイト 半地下の家族』キャスト
キム・ギテク(ソン・ガンホ)
キム・ギウ(チェ・ウシク)
キム・チュンスク(チャン・ヘジン)
キム・ギジョン(パク・ソダム)
映画『パラサイト 半地下の家族』まとめ
『格差社会』を題材に使われている映画のため、『Joker(2019)』『万引き家族(2018)』と比較されるが同じ映画ではない。
テーマが全く違うのだ。
『Joker(2019)』はホアキン・フェニックスが主演を務め、こちらの作品はアカデミー賞11部門に最多ノミネートされている。
いわば、『パラサイト 半地下の家族』のライバル的なポジションである。
『Joker(2019)』でも格差社会が題材に使われているが、テーマはそこではなかった。
喜劇と悲哀の対比と、狂気から生まれる笑い。
上手く表現できないが、人間の感情のある一点を超えることで暴力(犯罪)のカリスマとしてのJokerが誕生した。
『Joker(2019)』のテーマはあくまで『Jokerの誕生』なのだ。
『万引き家族(2018)』この作品のテーマは結論を先に言えば『家族の繋がり』だった。
同じ場所、同じ空間で家族として暮らしていたみんなは寄せ集めの人間たちばかりだった。
しかし、そこには『家族』としての『情』や『おもいやり』といった繋がりがそれぞれにあったよね、と問いかけていた作品でした。
核家族化という言葉はもう擦り切れてしまった言葉ではあるが、『家族』のあり方を問う映画だったと思う。
では、『パラサイト 半地下の家族』はどんな映画だったのか。
ここに集まる人間は血を分けた本当の家族だった。
しかし、詐欺を悪いことだとは思わない、当たり前のこととして捉えていた家族だった。
嘘を重ねて、ある家族を騙し続けて、他人の不幸の上に自分たちの嘘を正当化する、そんな『嘘』がテーマの映画である。
『パラサイト 半地下の家族』『Joker』『万引き家族』などはどの映画も道徳的には間違っている作品ではある。
しかし、なぜか魅力的なのだ。
魅力的に観せるために俳優陣、監督や製作、脚本、演出家が関わっているのだ。
ある一線を超えた人間の狂喜(狂気)をこうも魅力的に演じられる俳優たちは本当にすごいと思います。
以上、「映画『パラサイト 半地下の家族』感想・レビュー(『Joker/万引き家族』と違うテーマ)」でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント
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