「音を立てたら、即死」の映画「クワイエット・プレイス(原題: A QUIET PLACE)」みてきました。
私、映画を楽しむために大事にしていることがあります。
「直感を信じる」「公式情報をチェックする」「社会的な背景を予習する」「疑問の思考を持たない」
今回特に大切だったのは「疑問の思考を持たない」。
「音を立てたら、即死」って、「どの程度の音なんだろう」とか、「音のない世界ってないだろう」みたいな疑問の思考で映画を観ても面白くないと思うんです。
「音を立てないように生き残ること。音を立てたら何が起こるんだろう?」という期待の思考を持つようにしました。
ツッコミ精神を持たず、素直に世界観を受け入れることにしたってことです。
映画のあらすじ紹介、感想、映画の見どころを紹介して行きたいと思います。
後半には「ネタバレ」を書いています。
ネタバレ部分には「以下から映画を観た人向けネタ合わせ(豪快なネタバレ)」と印をつけているので注意してください。
■次回作映画『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』の紹介記事
A QUIET PLACEのあらすじ
STORY:公式サイトより
音を立てると”何か”がやってくる
音に反応し人間を襲う“何か”によって荒廃した世界で、生き残った1組の家族がいた。
その“何か”は、呼吸の音さえ逃さない。誰かが一瞬でも音を立てると、即死する。
手話を使い、裸足で歩き、道には砂を敷き詰め、静寂と共に暮らすエヴリン&リーの夫婦と子供たちだが、
なんとエヴリンは出産を目前に控えているのであった。
果たして彼らは、無事最後まで沈黙を貫けるのか――?
監督 | JOHN KRASINSKI(ジョン・クラシンスキー) |
脚本 | BRYAN WOODS(ブライアン・ウッズ)
SCOTT BECK(スコット・ベック) JOHN KRASINSKI(ジョン・クラシンスキー) |
原案 | BRYAN WOODS(ブライアン・ウッズ)
SCOTT BECK(スコット・ベック) |
製作 | MICHAEL BAY, p.g.a.(マイケル・ベイ p.g.a)
ABDREW FORM p.g.a.(アンドリュー・フォーム p.g.a) BRAD FULLER, p.g.a.(ブラッド・フラー p.g.a) |
出演者 | EMILY BLUNT(エミリー・ブラント)
JOHN KRASINSKI(ジョン・クラシンスキー) MILLICENT SIMMONDS(ミリセント・シモンズ) NOAH JUPE(ノア・ジュブ) |
音楽 | Marco Beltrami(マルコ・ベルトラミ) |
上映時間 | 90分 |
著作権 | © 2021 PARAMOUNT PICTURES. All RIGHT RESERVED. |
p.g.a.(全米製作者組合(Producers Guild of America)の略称)
この物語は、音を立てるとやってくる「何か」によって荒廃した世界に残された1組の家族の物語です
「クワイエット・プレイス」観終わった作品の感想
まず始めにひとこと「最高でした」。
怖かった、席を飛び上がることもあった、ハラハラしたし、もうダメか!とも思った。
生き残った一家が必死に生き続けようとする傍ら、隣り合わせの死の恐怖。
世界を壊滅させた謎の「何か」
でも、最後のシーンが終わったとき、達成感と安心感・・・、違うな達成感と期待感と生きる心強さを感じました。
「音を立てると、やってる何か」は厄介で怖かった。
「ジョーズ(1975)」のような演出で、その全容はなかなか現れない。
しかし、この演出がより恐怖を煽っている。
ただ、怖らせるホラー映画ではありません。
この映画は荒廃した世界で、家族が生き残るためのサバイバルホラーです。
そして、観終わったときわかるのは、この映画は「アボット家」の愛情物語だったんだなと。
「クワイエット・プレイス」セリフなき芝居についての感想
俳優陣の芝居が超クールでよかった。
「音を立ててはいけない」この世界において、設定上、俳優陣にはセリフはほとんどありません。
でも、俳優たちの芝居は生きていました。
セリフがないシーンをどうやって演じるのか?
これは俳優の力量のみせどころだったことでしょう。
セリフがほとんどない映画なのに印象深いシーンがたくさんありました。
そして、各キャラクターの個性や感情もヒシヒシと伝わってきて魅力的な作品でした。
夫婦役の EMILY BLUNT と、JOHN KRASINSKI がリアルでも夫婦だったということもあるかもしれない。
それ以上に4人の主人公たちの関係が濃密だったからこそ、あれだけリアルな演技ができたんだと思う。
特に母親役を演じた EMILY BLUNT と、長女役の MILLICENT SIMMONDS の芝居には主演女優賞、助演女優賞を上げたいぐらいです。
「音を立てない」静かな場所という我々の日常生活では想像できない、この非日常の空間は映画館で体験しないと本当のよさは伝わってこないんじゃないかな。
劇場で観た人にしか、分からない作品だと思います。
映画のパンフレットの見立てがアルバムのような形になっていたけど、どこの写真を観てもキャラクターの心の叫びが思い浮かんできました。
ホラー映画として、いい作品でした(先日観た 「死霊館のシスター」とはまた違う作品)。
ただ、家族愛をテーマとした、ホラー仕立ての映画だと紹介を受けても納得できる作品でした。
以上、ここまでがネタバレなしの通常の感想です。
以下から映画を観た人向けネタ合わせ(豪快なネタバレ)
ここから下は映画を観たことある人。
映画観てきたからネタ合わせしたい人向けの記事です。
または、ネタバレしても問題ない人が観てください。
ネタバレごめんっていう方はここから先へすすまないようにしてください。
贅沢すぎる環境がこの作品を生み出した
映画「クワイエット・プレイス」の原案は、次の2人が生み出しました。
- BRYAN WOODS(ブライアン・ウッズ)
- SCOTT BECK(スコット・ベック)
この2人の原案を、監督・出演者でもあるJOHN KRASINSKI(ジョン・クラシンスキー)が脚本にも参加して、今回の映画になっています。
自分で監督して、脚本製作にも関わって、自分で演じるって贅沢な環境だと思いませんか。
実際、そういう映画も多いですけどね。
でも、今回はそれだけではなかったんですね。
映画を観終わってパンフレットを読んで驚きました。
贅沢な環境には続きがあったんです。
- JOHN KRASINSKI(ジョン・クラシンスキー)/リー・アボット
- 生年月日:1979年10月20日
- 国籍:アメリカ
- 主な出演作品:「最高の家族の見つけかた(2016・出演・監督・製作)」「プロミスト・ランド(2012・出演・脚本・製作)」
一家の中心である夫婦役
知ってる人は知ってることだったと思いますが、映画観終わって、パンフレットを読むまで知りませんでした。
夫婦役の2人が日常生活でもリアル夫婦だったとは!
しかも、母親を演じるEMILY BLUNT(エミリー・ブラント)は最近赤ちゃんを実際に産んでいたということ。
脚本が先か、脚本を書き換えたかは分かりませんが、実生活の身近なリアルを演技に持ち出せるってすごく贅沢だと思います。
作中、「何か(エイリアンだったわけだけど)」に襲われながらも出産する母親エブリン。
お兄ちゃんになるマーカス・アボット(NOAH JUPE(ノア・ジュブ))が花火を打ち上げて「何」かを陽動し、出産中のお母さんと赤ちゃんを救ったシーンはあの作品の中でも見せ場の1つでしたよね。
彼が花火を上げに行かなかったら、お母さんも赤ちゃんも襲われて死んでいたんだろうね。
示し合わせたわけじゃないけど、すごい連携アクションでした。
- 名前:EMILY BLUNT(エミリー・ブラント)/エヴリン・アボット役
- 生年月日:1983年2月23日
- 国籍:イギリス
- 主な出演作品:「プラダを着た悪魔(2006)」「ヴィクトリア女王 世紀の愛(2009)」「ボーダーライン(2015)」
■エミリー・ブラントが出演している作品
- 名前:NOAH JUPE(ノア・ジュブ)/マーカス・アボット役
- 生年月日:2005年2月25日
- 国籍:イギリス
- 主な出演作品:「ワンダー 君は太陽(2017)」
■ノア・ジュプが出演している映画
長女役ミリセント・シモンズが熱演、まさに天才子役
4人家族のアボット家の長女にして、父から憎まれていると悩み続けるリーガン・アボットを演じたミリセント・シモンズ。
作中の最大のキーマンであった彼女は聴覚障碍者役を演じていましたが、本人自身が本当の聴覚障碍者だったんですね。
その聴覚障碍の特性を活かして脚本にアドバイスをして、実際に採用されるなどリアル感が半端ないですよ。
※障碍(しょうがい)
周りの家族は音が聞こえていても、リーガンは音が聞こえていない。
だから、周りで音が鳴っていてもリーガンだけがテンポが遅れるし、自分1人だと気づけない。
そんな障碍の特徴などもうまく演出に利用されていたし、最大の伏線にもなっていましたよね。
障碍は障碍ではなく、個性なのだと思いました。
ミリセント・シモンズ、これから先が楽しみな女優さんです。
- 名前:MILLICENT SIMMONDS(ミリセント・シモンズ)/リーガン・アボット役
- 生年月日:2003年3月1日
- 国籍:アメリカ
- 主な出演作品:「ワンダーストラック(2017)」
「クワイエット・プレイス」を振り返る
上でまとめた情報はパンフレットを購入して読めばだいたいわかることだったんですが、あまりにも恵まれた作品だったのでまとめたくなってまとめてみました。
改めて映画を見直したい衝動にかられています。
想像力が必要。説明描写が少ない作品は日本人には理解が難しい映画かも
この映画は状況説明がほぼ無い映画でしたね。
- なぜ、89日目にして世界が荒廃して、この家族しか生き残っていないのか?
- 軍隊や政府などは機能していなさそうだが、どうなったのか?抵抗できなかったのか?
- 家のあかりや無線を使ってSOSを打ち続けているが、電気はどうしているのか?
- なぜ、子どもを作り、出産しようとしたのか?
何が起きていて、世界がどうなっているのか、どうして、こうなったのか詳細な説明がない。
時折、新聞のスクラップなどが映るので、そのときにヒントが出るくらい。
視聴者は見せられる映像や音声から状況を推察していき、自身の脳内に世界観を作り上げていく。
劇場にいるみんなの脳内にそれぞれ「静かなる場所」の世界があったと思います。
私の解釈はこうです。
- 人類を襲ったエイリアンは凶暴で、数も多かったんでしょう。
最後、ライフル銃を撃った銃撃音で集まってきた奴らの数からも想像できます。
外皮が鋼鉄並みに強く銃などは基本通じなかったと考えられます。 - 手話をベースとした生活をしていた家族だから、生活音を押さえることで生き残れたのでしょう。
- 電気は風力か、水力、太陽光などのエネルギーを使えば発電できます。
- 89日目に末っ子ボーを失った悲しみから立ち直りたくて、子どもを作ったのでしょう。
それでいいじゃないですか。
細かいことは気にしなくていい。
気にしすぎてツッコミしまっくてたら楽しめないですよ、この映画。
シナリオから行間を読み取ることが求めらる映画でした。
私はこういう演出の映画は好きです。
悪くはない。
日本人は作中で説明される作品に慣れてるし、英語圏の作品なので理解に難しかったかもしれないけど。
家族の心の絆を描いた作品
また、生き残った4人の家族の心の悩み、末っ子ボーを失ったことにより起こっている心理描写もまた見直したいです。
みんな末っ子ボーが襲われて死んでしまったこと、守れなかったことが心の傷になっていましたよね。
リーガンは弟よりしっかりしていて、頑なに父の役に立とうとしていた。
なぜ、そこまで必死に魚を捕まえにいく父に付いていこうとしていたのか、初めわからなかった。
ここで反抗期か?
でも、違ってましたよね。
弟ボーの死んだ原因が自分だと思っていて、父に「愛されていない。憎まれている。」と思っていた不安が行動に現れていた。
でも、このことは息子のマーカスから聞かされるまで、父のリーは気づいていなかった。
マーカスはリーガンとずっと一緒にいたからこそ、リーガンの悩みに気づいていて父親に教えるわけだけど。
父リーも母エヴリンも末っ子ボーが死んだ原因、守れなかった原因が自分にあると思っていたんだけど。
生命の危機に直面したとき、父が手話で気持ちを伝えてたというのは、なんだか皮肉な気もしたけど。
でも、これって映画の中だけの話じゃなくて、リアルの「家族」でも言えることで、気持ちはまっすぐには伝わらない。
誤解で伝わることはたくさんある。
だから、大好きなもの同士ならなおさら、正直に語り合うことが大切なんだよって教えてくれているんだと思いました。
この物語は、音を立てるとやってくる「何か」によって荒廃した世界に残された1組の家族の物語だったんですよね。
家族愛の映画を「ホラー映画」という世界を借りて演出している映画でした。
以上、『ホラー映画「クワイエット・プレイス(2018)」感想・レビュー(これは家族の物語)』でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
宮川(@miyakawa2449)でした。
おまけ
EMILY BLUNT(エミリー・ブラント)は「プラダを着た悪魔(2006)」に出ていました。
12年前とはいえイメージが全然違いますね。
いいお母さん役を演じていました。
そのとき同じ映画に出ていたStanley Tucci(スタンリー・トゥッチ)に姉妹のフェリシティを紹介していて、2人は結婚しています。
スタンリー・トゥッチとエミリー・ブラントは親戚ってことですね。
「プラダを着た悪魔」繋がりのプチネタでした。
因みにこの映画はAnne Hathaway(アン・ハサウェ)が演じるアンドレアが主人公です。
ファッションセンスゼロ、ビジネスセンスゼロの田舎娘が悪魔のような上司の元で前向きに頑張り、一流のファッションセンスとビジネスセンスを磨いていくコメディー映画です。
EMILY BLUNT(エミリー・ブラント)はこの映画の中でアンドレアの先輩役です。
初めはアンドレアの田舎臭さをバカにしていますが、成長していくアンドレアに途中から好感を持ち始めます。
コメント
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